オーディオ・ビジュアルの領域において、ハードの画質音質を評価するためにはソフトが必要になり、ソフトの画質音質を評価するためにはハードが必要になる。

 私は頻繁にハードを買い替えられるような資金力など持ち合わせていないため、ハードはある程度固定されている。特に現在使用しているスピーカーについては、数年やそこらで移り変わるものではない。
 しかし、ディスプレイ(テレビまたはプロジェクター)やAVアンプなど、相対的に買い替えサイクルが短いハードについては、個人的に評価する機会もそれなりに多い。

 今まではその時々でなんとなく思い付いたソフトを片っ端から試していたわけだが、いかんせんそれでは統一された視点から評価できない。
 そこで、ディスプレイにおける他ならぬ私自身の評価基準とするため、画質のリファレンスとして用いるBDを選ぶことにした。BDの本格的なローンチから10年目を迎えて、今まで評価してきたBDの総決算をするという意味もある。

 というわけで、画質編である。
 死ぬほど悩んで、悩んで、この10本を選出した。



20160319画質リファレンス10選



『ブレードランナー』

 一昔前のフィルムの代表。
 主な見どころはチャプター2、70mm特撮のシーン。
 黒がしっかり沈むと同時に黄昏の階調も出るか。
 70mmフィルムに写し撮られた建物の膨大なディテールが際立っているか。



『300』 コンプリート・エクスペリエンス

 いじりまくった画の代表。
 主な見どころはチャプター14、対峙と激突。
 黒側の階調、端的に言えばペルシアの使者に投げられた槍が峡谷の中でもきちんと見えるかどうか。
 武具の質感、鋭く輝きつつ早々に白飛びしていないか。日を浴びる筋肉も同様。
 血とマントの濃厚な赤。赤が黄ばんでいたり紫に寄っていたりすればすぐにわかる。
 グレインをきちんと表出し、解像感の向上に寄与させているか。
 チャプター18も暗部階調を試すにはもってこい。
 多少胡散臭かろうが、カッコ良ければ本作ではそれが正義。



『ダークシティ』(北米盤)

 最も美しい黒。
 主な見どころはチャプター2~3、ホテルでの目覚めからジャズバーの冒頭。
 深い深い闇を描きつつ、闇の中の人物や小道具のディテールがどこまで浮かび上がるか。
 透明な闇とでもいうべき見通しの良さをどこまで表現できるか。



『ダークナイト ライジング』

 フィルムの代表。
 主な見どころはチャプター14、激突。
 IMAXならではの隔絶した立体感と情報量、「フィルムライク」などという空虚な言葉が意味を失う究極のフィルム画質をどこまで引き出せるか。
 警官隊の服装など、黒側の濃密な階調にも着目。
 本作は音質においてもリファレンスたり得るが、涙を呑んで画質で選出した。



『オブリビオン』

 現代的な画質の代表。
 主な見どころはチャプター19、クライマックス~エピローグ。
 今風の広いダイナミックレンジの中で、闇と煌めきが階調を保ったまま伸びているか。
 被写体との間に不純物が一切介在しないかのような凄まじい解像感と透明感をどこまで出せるか。
 実は風景や植物など、自然物の描写も素晴らしく、それらの表現力を評価するうえでも好適。



『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』

 デジタル制作時代の国産アニメ代表。
 主な見どころはチャプター33、ヤシマ作戦。
 黒側の階調、特に司令車内のディテールがどこまで見えるか。
 HDらしい解像感を出しつつジャギーが出ていないか。
 マッハバンドが出ていないか。
 ラミエルの青に透明感があるか。



『耳をすませば』

 フィルム時代の国産アニメ代表。
 主な見どころはチャプター17、雫の脳内映像。
 極まったフィルムならではの空気感。
 夢のように豊かな色彩をどれだけ情緒的に表現できるか。



『パシフィック・リム』(北米盤)

 現代的な画質の代表。
 主な見どころはチャプター9~10、ジプシー・デンジャー対レザーバック&オオタチ。
 夜の香港に舞い散る鮮やかな色彩と煌めくパーティクル、イェーガーの金属光沢、KAIJUの体表の立体感、暗部が潰れず、白飛びもせず、すべてのディテールを取りこぼすことなく描き出せているか。
 本作は音質においてもリファレンスたり得るが、涙を呑んで画質で選出した。



『眠れる森の美女』

 究極のアニメーション・フィルム。
 主な見どころはチャプター3~7。
 かつて夢見た究極的な色彩表現・情報量・解像感、神がかった撮影が生む立体感、妖精の贈り物における闇と光の美しさ。



『WALL.E』

 3DCGアニメ代表。
 主な見どころはチャプター12、地球から宇宙へ。
 CGの質感、立体感、極めて膨大なディテール、イヴのボディの透明感。
 宇宙空間の表現、太陽の表面の色が飽和していないか。



惜しくも選外
『リアル・スティール』
『コンタクト』
『イノセンス』 アブソリュート・エディション
『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』



 今後、私がディスプレイの画質をアレコレ言う時は、基本的にこの10本を使って評価しているものと考えてもらいたい。
 UHD BDのタイトルがある程度出揃い、画質評価のステージがまた一段上がる時まで、当分の間は役に立ちそうだ。



リファレンスBD10選・音質編

【BDレビュー】 総まとめ