居ても立っても居られず


画質:15 音質:15


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの7.1ch  日本版は5.1chなので注意


画質について。
デルトロ印のぐちょぐちょ画質の完成形。
雨が降っていないと気が済まない、パーティクルがないと気が済まない、濡れていないと気が済まない、汚れていないと気が済まない、変な色の光が乱舞していないと気が済まない、そんな監督の変態的こだわりに応え加速するエクストリーム高画質。ただでさえハイディティールのイェーガーやKAIJUの体表は様々な液体にまみれ、数多の光に炙られ、灼熱する情報量の塊となって目を焼くようだ。そしてパーティクル……そうパーティクルである。雨や波飛沫、実は恐ろしく複雑なディティールを秘めたKAIJUブルー、鋼と肉塊が撒き散らす火花、そして極大破壊によって舞い踊る破片に瓦礫、それらのひとつひとつが絶妙に不健康でいかがわしく鮮烈な色の中で狂乱跋扈する。爆轟する二大巨頭に負けず劣らず、光り輝くパーティクルが映像・画質面で果たす役目はとてつもなく大きい。
画質の基礎体力として、解像感もHD解像度としてこれ以上なくキレキレのキレを見せる。100インチで見ても、映像のキレにまったく不足なし。いちいち全部をクローズアップで見せつけてくるカメラワークの意図を寸分も損なうことなく、実写・CG問わず画面にみなぎる情報量を力強く支えている。オープニングのジプシー・デンジャー出撃シークエンス。兄弟のパイロットスーツのディティールの深さを見て、実写部分の高画質ぶりも確信した。
本格的な規格の始動から既に7年。BDにおける画質は、ノイズが出るとか、場面によっては甘くなるとか、そういう低レベルな次元はとうの昔に抜け出して、「いかに魅せるか」という領域まで進んでいる。そう断言できる画だ。
見どころ:
タンカーを引っ提げてオオタチへ向かうジプシー・デンジャーのカット
イェーガー、KAIJU、雨と瓦礫のパーティクル、極彩色の光という具合に、この映画の画の要素が端的に現れている

音質について。
相変わらず期待を裏切らない、デルトロ印の手の込んだ職人音響。
パンズ・ラビリンスにしろ、ヘルボーイ・ゴールデンアーミーにしろ、この監督の映画は恐ろしくサウンドデザインが磨き込まれている。観客を幻想で満たすには、映像だけでなく音響も決して欠かすことのできない要素だときちんと分かっているのだろう。さすが。大好き。愛してる。
パンズ・ラビリンスの神経質で夢幻的な音、ヘルボーイ・ゴールデンアーミーの芸達者で鮮烈な音に続くパシフィックリムの音は、神話的巨大音響、すなわち『KAIJUサウンド』である。
「でかいものの音はでかく」。低音主体でまとめられたBGMを轟々と響かせ、激突するイェーガーとKAIJUの激震がその上にけたたましく折り重なる。スピーカー7本は終始吠え猛り、人機のあらゆる躍動から、KAIJUのあらゆる威力から、砕け散り弾け飛ぶあらゆるパーティクルから、これでもかと音がほとばしる。力強く、おどろおどろしく、されど決して大味にならない職人気質、芸達者ぶりはさすがデルトロ映画。
リアル・スティールに求め、キング・コングに求め、それでも手に入れられなかった「ロボット」と「巨大生物」の音響体験をパシフィック・リムは与えてくれる。うぃーん、がしゃ。うぃーん、がしゃ。きゅい・きゅいーん、がちゃ。ごごごごごご、ずぎゃーん、ぎゃぎゃぎゃ、ぶぼぼぼぼぼ、ずどーん。子供の頃口走っていた、イメージの中の音。これだ。
聴きどころ:
パイロットスーツ装着→コックピットに接続→ドリフトの一連のメカニカルシークエンス
レザーバックとの殴り合い



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