【BDレビュー】第106回『ターミネーター2』
画質:8
音質:10
(評価の詳細についてはこの記事を参照)
映像:HEVC 4Kリマスター
音声:DTS-HD Master Audio 5.1ch/24bit
○画質
これは凄い!
冒頭の未来での戦闘シーンからしてBDとは別物である。薄汚れていた暗部はノイズが一掃されてにわかに透明感と闇の深さを増し、終末を迎えた世界が素晴らしい見通しの良さで露わになる。あらゆるシーンで解像感も情報量も見違えるほど向上を見せている。初期のCGも、古さこそ感じても情報量不足が画質に悪さをしていない。
HDRも実に効果的。筋トレに励むサラの肌に浮かぶ汗が窓から差し込む光を鋭く照り返す様をはじめとして、豊かな光量と輝度ピークの伸びは映像にさらなる力強さを与えている。作中のいたるところで起こる爆発を見ても、色も明度も減退していたBDに対し、輝度ピークが大いに伸びたうえにBDでは白く吹っ飛んでいた炎のディテールが克明に見えるようになった。まさにHDRの理想を体現するような仕上がりと言える。金属光沢の鋭い輝きも随所で冴え渡る。オープニングにて、劫火の向こうから灼熱の視線を投げかけるターミネーターの凄み!
色彩も大幅な向上がある。サイバーダイン社でターミネーターの残骸を保管しているスペースは、BDでは青一色といった色合いだが、UHD BDで見るとうっすらと紫の光が空間に満ちているのがわかる。橙から赤に到る炎の鮮やかさもBDとは段違い。
「古い作品だから画質がしょぼくても仕方がない」だなんて、とんでもない! 『スターシップ・トゥルーパーズ』や『許されざる者』に並ぶ、90年代作品の偉大なリマスターである。海外での画質に対する低評価がちょっと信じられん。
○見どころ
全部
○音質
日本盤BDとは別物レベルで音が良い。音楽の存在感も銃撃の威力も爆発の圧も申し分なく、サラウンド感もおおいに楽しめる。さすがに近作と比べると精緻なマルチチャンネルの活用という点では敵わないにしても、BDで感じていた音のしょぼさは完全に払拭されている。同じ5.1ch/24bitでこうも違うのか。
当初音声仕様はDTS:Xになっていたような気がしたが、気のせいだったのだろうか。とにかく、BDから比べると大幅な向上である。素晴らしい。
○聴きどころ
全部
○総評
日本盤↓BDのTHX認証とは何だったのか。
なお、今回のUHD BDは「劇場公開版」であって「特別篇」ではなく、音声もオブジェクトオーディオ仕様ではないなど、中途半端な印象は否めない。
本作のような歴史的タイトルのUHD BD化がこれで終わるはずがない(と、私は信じている)ので、特別篇とオブジェクトオーディオを収録した完全なるターミネーター2のUHD BDを待ち望む。画質的にも音質的にも買うだけの価値があることは証明された。
○再生環境(詳細はコチラ)
・ソース
Panasonic DMP-UB90
・映像
LG OLED55B6P
・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59(AVプリとして使用)
SOULNOTE A-2(フロント)
Nmode X-PW1 ×4(フロント以外の全チャンネル)
Dynaudio Sapphire(フロント)
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2(サブウーファー)
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