【4K/HDR環境の導入に伴い、2017/03/12初出の記事を更新・追記】



『オペラ座の怪人』のUHD BD




画質:5 (HD環境・BDと同じ土俵での暫定評価:9)
音質:15
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:HEVC
音声:リニアPCM 5.1ch 96kHz/24bit ドルビーTRUEHD 5.1ch 48kHz/24bitも収録



○画質
 Panasonic DMP-UB90とVictor DLA-X30でのダイナミックレンジ変換を経たうえで見る画は、白が飛ぶうえに色彩が抜け落ちるという、本来HDRに期待されるものとは正反対のものとなってしまった。白いドレスで舞台に立つシーンなどは特に厳しい。HDR非対応のディスプレイで見るぶんには、あくまでもSDRの領域内で稠密かつ完璧に仕上げられていたBDに比べると、明らかな劣化を感じると言わざるを得ない。
 「お前の画質設定がおかしいのだ」と言われるのかもしれないが、『X-MEN: アポカリプス』『レヴェナント』のように現状の設定で神がかった画を見せるタイトルも存在するため、それもいかがなものか。
 とはいえBDに比べて全体的にS/Nや情報量の向上も感じられ、白飛びが派手に発生する一方、高輝度方向に表現の幅が広がっていることも確かである。
 「完璧だったBDに比べて色彩の減退と白飛びが発生する」という印象は『パシフィック・リム』『ローン・サバイバー』で感じられたものと同様であり、むしろこれらのタイトルは、HDR対応ディスプレイで見ないとまったく真価を発揮できないという突き詰めた画作りがされているのかもしれない。

【4K/HDR環境での追記】
 こりゃ駄目だ
 やっぱりメリットよりもデメリットの方がでかい。
 輝度を上げて白飛びした部分に階調や色が出てくるかと思いきや、結局何も出てこなかった。「元が良かったからきちんとHDR環境で真価を発揮した」『パシフィック・リム』『ローン・サバイバー』とは異なり、本作は「ただ輝度を高めて吹っ飛んだだけ」で終わってしまっている。
 残念ながら、画質的にはUHD BD化の失敗例と言わざるを得ない。

○見どころ
 オープニング
 マスカレード


○音質
 怒涛のリニアPCM 5.1ch 96kHz/24bit収録!
 ついでにドルビーTRUEHDも5.1ch 48kHz/24bitで収録!
(※BDはリニアPCM・ドルビーTRUEHDともに48kHz/16bit収録)
 ギャガの商品情報にはその手の記載がなく、お得意のドルビーTRUEHD 5.1ch Advanced 96K Upsampling収録もなしか、と思っていたら、なんとリニアPCMで96kHz/24bitを収録してくるとは。
 さすがギャガ。これ以上ないくらいに最高。いくら褒めても褒め足りない。
 UHD BD収録のドルビーTRUEHDの時点で、BD収録のドルビーTRUEHDから大きな改善があり、特に低域の解像感の向上が著しい。
 そしてリニアPCMになると、もはや素の状態の包囲感でさえUHD BD収録のドルビーTRUEHDにDolby Surroundを掛けた状態を凌駕する圧倒的な音が聴ける。
 リニアPCMは解像感・繊細さ・力強さのすべてを兼ね備えた、BDとは完全に別物という圧巻の仕上がり。ソロの歌唱パートなどは、音楽ものの作品として久々に鳥肌が立つほどの体験を味わった。
 そうなのである。オブジェクトオーディオがどうこう言う前に、こういうチャンネルベースでの本質的な音の良さこそ、真っ先に評価されるべきなのである。

○聴きどころ
 すべて


○総評
 「BDのクオリティ」という点で、ギャガはディズニーと並んで最も信頼に値するメーカーのひとつである。
 それはUHD BDにおいても変わらないということが、『オペラ座の怪人』によって証明された。画だけでなく、音においてすら歴然たる向上を実現したことには惜しみない称賛を送る。高いだけの価値は間違いなくある。
 画は……駄目みたいですね…………



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DMP-UB90

・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
→LG OLED55BP6

・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2



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