【4K/HDR環境の導入に伴い、2017/01/30初出の記事を更新・追記】
ちなみにパッケージ&ケースには記載はないが、「Ultra HD Premium」認定のようだ。
画質:8 (HD環境・BDと同じ土俵での暫定評価:13)
音質:11
(評価の詳細についてはこの記事を参照)
映像:HEVC 6.5K撮影・4Kマスター
音声:Dolby Atmos トップスピーカーの活用:中 オブジェクト効果:小
○画質
IMDbを信用するならば、全編『レヴェナント: 蘇えりし者』にも使われたArri Alexa 65, Hasselblad Prime 65 Lensesでの6.5K撮影からの4Kマスターという、現状望み得る最上級の映像仕様。正直なところ、4K解像度未満での撮影も混じる『レヴェナント』を越える超絶的な画質を期待していた。
が、冒頭でいきなりずっこけた。夢見の後、早朝のランニングを行うサリーを映した数カットが、脈絡もなく(私にはそうとしか見えなかった)ノイジーにすっ転ぶ。以降はそんなことはないのでこれは何かの間違いだったとしても、『レヴェナント』で見た息詰まるような解像感とは程遠い画が続く。と、ここで『レヴェナント』との比較は忘れることにした。
というわけで、カリカリの解像感とは異なるしっとりとした画である。とはいえ画質の基礎体力は凄まじく、膨大な情報量が全編みなぎり、画が甘くなるようなことは皆無。登場人物の異様な立体感は4K時代ならでは。表情のクローズアップはまさに迫真。さらに、透明感や切れ味は後半に進むにつれて強まっていく印象を受ける。
ただし、サリーの家のシーンは背景・人物ともに他のシーンに比べて振るわなかった。何故だろう。撮影条件的なアレだろうか。
どちらかと言えば地味な絵面が続く作品ながら、冬の晴天がもたらす激烈な光彩を表現しようと思えば、きっとHDRが大きな効果を発揮するのだろう。
【4K/HDR環境での追記】
んーそれなり。
撮影機材の良さからか、時としてとんでもなく冴え渡った画が飛び出すこともあるのだが(最後の公聴会とか)、全体的にはこれ見よがしに解像感を押し出すこともなく、豊富な情報量をベースにした穏やかな画が続く。
HDRはやはり冬空の表情の豊かさに繋がっているものの、それほど露骨な効かせ方ではなかった。
○見どころ
冬の晴天
サリーの表情
○音質
こちらも映像同様地味、と言うよりは過剰な演出を廃した音作りとなっている。
ハドソン川への着水に到る一連のシーンでも、どっかんばっきんと爆炎が吹き上がるようなことはなく、機体が震え軋む音がトップスピーカーを含む全方位から淡々と、重々しく響いてくる。極めて真面目かつ冷徹な音響であり、ケレン味はないが、映像演出との合わせ技でまさに致命的な状況に陥った機内にいるのだという強烈な臨場感を味わえる。息をするのを忘れるほどに。
Dolby Atmos収録作品として、別にオブジェクト効果がなくなったところで音響に本質的な変化があるとも思えないが、トップスピーカーの活用はなかなか凝っている。右エンジンが吹っ飛ぶ際はトップ・ライトがガガガと唸り、左エンジンが停止する際はトップ・レフトがギギギと軋む。監督の前作『アメリカン・スナイパー』とは打って変わった芸達者ぶりである。
飛行機と並ぶ音の主役はやっぱりダイアローグ。これまた役者の唇や喉の動きまでしっかりと伝える明瞭にして豊潤なもので、会話劇を聴く深い喜びが味わえる。
派手さはなくとも、完璧の上にさらなる魅力を頂く素晴らしい音である。
○聴きどころ
ダイアローグ
208秒
○総評
監督には長生きしてずっと映画を撮り続けてほしい。
○再生環境(詳細はコチラ)
・ソース
Panasonic DMP-UB90
・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
→LG OLED55BP6
・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2
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