画質:9 音質:8


映像はAVC、音声はドルビーTRUEHDの24bit、5.0chという面白い仕様

画質について。
好く調律された上質なフィルムの画をベースとして、そこはかとなく色彩や光の工夫が見て取れる。
しっかりとした情報量、爽やかな解像感。70年代以前をどことなく彷彿とさせる、色温度の低い画風と飛ばし気味の明部、すとんと落ちる暗部。つまるところ、少々古臭い画作りを現代的なフィルムの情報量でもって再現した映像である。
昨今のデジタル撮影のようにディティールを抉り取るような代物ではないものの、94年撮影のフィルムとしてディティールの表出はじゅうぶん素晴らしいと言えるレベルであり、控えめなグレインもあいまってたおやかな透明感も満喫できる。
暗がりが大部分を占めるシーンでは時折甘さが顔を出すが、ノイジーに転ぶわけでもないし、どこかノスタルジックな画作りもあいまって許せてしまう。
見どころ:
マチルダ
おっさん二人の怪演

音質について。
鉄火が飛び交ったり血がしぶいたりするシーンがそれなりにある作品だが、残念ながらというか意図的にというか、銃声も爆音もそれ自体には何の力感も面白みもない。鉄砲の音が会話よりもよっぽど小さい。
つまるところ、アクション映画の音ではない。マルチチャンネルにケレン味や爽快感を求めるような作りにはなっていない。
というわけで完全に音響の主体はダイアローグになる。そして幸いにして、声の質感は非常に良好である。レッドドラゴンやゾロに比べると一歩及ばないが、声だけでなく唇と舌と喉の存在を感じられるレベルの質感の良さは備えている。
あくまでドラマとして見るのが吉である。
聴きどころ:
マチルダ



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