0.1の壁
導入編

 サブウーファー自体の音質を語る前に、各タイトルでどのような効果・変化があったかを片っ端から書いていく。

 今になってリファレンスBD10選・音質編なんてのをやったのは、実はこのための布石だったりもする。

20160319音質リファレンス10選



『鴉 -KARAS-』
効果:中

 戦闘機形態の機関銃や飛行音、剣戟などの様々な効果音にLFEの隈取りが施されており、重厚感の醸成に一役買っている。
 劇伴での活用や空気を震わせるような印象は希薄。



『ヘアスプレー』
効果:中

 劇伴で積極的に活用されている。ベースラインが太くなり、パーカッションもより深く力強くなる。
 音楽主体の作品にしては結構効く。



『ブレイブハート』
効果:大

 馬。騎馬突撃で蹄が草原を踏み鳴らす様、地響きの威力が段違いである。馬が倒れた時の重さも大増量。
 劇伴でもそれなりにLFEが活用されているようだ。



『プライベート・ライアン』
効果:小

 戦車の音など、低音の量の増加を感じる場面は多い。
 一方で、元から良すぎるせいで有意な差とも思えない。



『英国王のスピーチ』
効果:極小

 仕方あるまい。



『ローン・サバイバー』
効果:極小

 元から良すぎるのと、『プライベート・ライアン』ほど低音が咆哮するようなシーンもないので、致し方なし。



『GODZILA』(北米盤)
効果:極大

 期待通りの劇震、空気を震撼させる戦慄の低音。怪獣王の咆哮は別次元の恐ろしさ。
 「普通に効果音として認識される低音」と「空気を震わせる低音」を別々のスピーカーから出力することの意義を存分に感じられる。
 


『AKIRA』
効果:大

 冒頭の「ドォォォォォォォォン……」から深みと響きが違う。
 効果音と劇伴の両方で満遍なく効いている印象。



『ノーカントリー』
効果:極小

 銃声は瞬発力と鋭さにパラメーター全振りで、重さや厚みはあまりお呼びではない。
 そもそも音楽が流れず、サブウーファーが必要になるような効果音自体ほとんど存在していないので、致し方なし。



『レッド・ドラゴン』
効果:小

 本作において最重要の声の質感においてはなんら影響を与えるものではない。
 劇伴では重厚さの醸成にいくらか寄与しているようだ。




 とにもかくにも、作品ごとの効果の差が非常に大きい
 サブウーファーの導入に単なる「なんか低音増えたな」以上の、明確な意義のある効果を見出す……もとい聴き取るのは意外と難しい。それこそすべての作品にゴジラかAKIRAレベルの歴然たる効果を期待していたので、正直に言えば少々拍子抜け。
 元が良すぎたタイトルについては総体的に伸びしろも小さい印象を受ける。

 もっとも、TD316SWMK2にしてみれば、放り込まれた環境が非常にシビアだったというだけかもしれない。Nmode X-PM7が駆動するSapphireの20センチダブルウーファーの低音を質・量ともに凌駕するのは、たとえ再生帯域がLFEに限定されるにしても容易ではないようだ。
 なにせ、ボリュームを七割まで上げてこの結果なのだから。



リファレンスBD10選・画質編

【BDレビュー】 総まとめ