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【BDレビュー】 第143回『鴉 -KARAS-』

公開日: : 最終更新日:2013/12/15 BD・ホームシアター関連, オーディオ・ビジュアル全般

言いたいことは腐るほどある。

そもそもモデリング解像度が足りてねーとか、
なんでラストバトルを夜にしなかったんだとか、
ゆりね様かわいいとか、
主役の声はいいけどどうしようもなく棒だとか、
いつの間にか「凝りまくって尖りまくった映像作品」から「ポストエフェクトが物凄く豪華な作画アニメ」に趣向が変わってんじゃねーかとか、
しまいにゃ3D鴉が全然アクション担当させてもらえてねーじゃねーかとか、
コンポジットがところどころ妙だとか、
正直言ってやっぱり脚本がうさんくせえとか。

色々あるが、とにかくこの作品と出会わなければ私はオーディオビジュアルに目覚めることも無かった。
一話の冒頭の七分、そこから全てが始まった。
ついにその原点に、BDをもって回帰したのだ。


画質:8 音質:11


映像はAVC、音声はドルビーTRUEHDの6.1ch(サラウンドEXなのでディスクリートではない模様)、24bit!

画質について。
全編に渡って“すりガラスフィルター”というべきフィルターが画面にかかっている。ソフトフォーカス、軟質な輪郭線、うっすらとしたグレインがその特徴である。それにより、鴉の画はいかにもデジタルアニメ然とした、透徹鋭利な画とは一線を画している。そのことがプラスに働くかマイナスに働くかはさておき、監督が意図したであろうところの“古臭さ≒レトロ”な感覚を出すことには成功している。
すりがらすフィルターのおかげもあってか、マッハバンドも非常に少なく抑えられており、視聴の妨げになることはまず無い。
惜しむらくは、スチームボーイやイノセンスに見られたような、DVDからBDになった時の歴然たる画の向上が見られなかったこと。理由としては何度も言うようにすりがらすフィルターの存在(DVDの時はフィルターの存在がそれほど気になることはなかった)や、BDになって露見した3DCGI部の解像度不足、映像製作における引き算の美学など。
それでもなお、DVDで何百回と見返してきた映像の中に、新たなディティールを何度も何度も何度も見つけ出すことが出来る、その喜びは十二分に享受できる。

音質について。
日本のアニメ作品で、鴉以上に音響製作を凝り抜いた作品を私は知らない。
特に、というより主に一話の冒頭の七分間。この七分間は、映像としての大いなる飛躍もさることながら、音響効果のあまりの素晴らしさにおいても伝説となるべきである。
点、線、面、この三要素を縦横無尽に駆使した絶後のマルチチャンネル・サラウンドである。
BD化によって、DVDに比べてあと一歩の鋭さと重厚さが加わり、実に聴き応えのある音となっている。
残念ながらダイナミックレンジや瞬間的な威力においては目を目張るようなものは無いが、サウンド・エフェクト、サラウンド・デザインは途方も無く素晴らしく、血沸き肉踊る音響を味わえることに変わりは無い。

日本も捨てたもんじゃない。
たった一度でも、映像そのものに心躍った経験のある方々には是非見ていただきたい。
正直脚本はうさんくさい。それは間違いない。
それでも、この作品は私の魂をどうしようもなくぶるぶるびくびく震わせてしまった。
この視聴記を書き始めて二年以上、初めて明確に、本文においてこの作品をお勧めしよう。





出会えてよかった



BDレビュー総まとめ

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