画質:8
音質:14


映像:AVC
音声:DTS-HD Master Audio 5.1ch


○画質
 フィルム撮りかな? と思ったらやはりその通り。
 デジタルで撮ったパリッとした画ではないし、暗部には時としてノイズがざわつくものの、いかにもイギリス然とした仄暗い闇の描写はフィルムならではといったところか。
 ハイビジョンのキャンパスに過不足なく行き渡る程度の情報量は確保されている。

○見どころ
 ローグのオフィスの空気感
 朝のロンドン散歩


○音質
 「声」が大きなテーマの一つなだけあって、ダイアローグの品位の高さは群を抜いて素晴らしい。
 冒頭のスピーチの時点で、本作におけるダイアローグの非凡さはこれでもかというほど示される。
 最終的に発せられる音ばかりではなく、喉の動き、下の動き、唇の動き、唾液の滴りに到るまで、声に関するあらゆる要素が音として収録されている。これだけ高品位なダイアローグは、幾度となく引き合いに出す『レッド・ドラゴン』に勝るとも劣らない。手放しで絶賛できるレベルにある。
 物語は最終的に歴史的な英国王のスピーチへと収束していく。最後のスピーチを最大限輝かせるためにも、かつての吃音を迫真の生々しさで表現することは不可欠だったのだろう。その意識は音声、特にダイアローグに対する並々ならぬ情熱となり、ソフトであるBDも極めて高音質となった。素晴らしいことである。

○聴きどころ
 英国王のスピーチ
 全ての声、舌と喉の動き
 ローグのオフィスで迫真の音で鳴るレコードと、それにかぶさるジョージ6世の朗読


○総評
 「声の素晴らしさ」という点で、初めて『レッド・ドラゴン』に匹敵するソフトが現れた、という印象。
 『レッド・ドラゴン』のオープニングにおけるグラハム捜査官とレクター博士の鬼気迫るダイアローグはBD史上に残る音響ハイライトだと思うが、本作もそれに負けていない。
 何より作品として素晴らしいし、AVの観点からも、高品位なダイアローグを堪能できるという点で逸品である。
 センタースピーカーに何かしら変化を加えた時、『レッド・ドラゴン』や『オペラ座の怪人』、『プライベート・ライアン』と並んで再生したいソフトが増えた。


○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
OPPO BDP-103

・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC

・音響
Pioneer SC-LX85
Nmode X-PW10
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Focus200C
Dynaudio Audience122
Dynaudio Audience52


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