私のサラウンド再生環境は思想的にも使用機材的にも極めてオーディオ寄りである。と、少なくともシステムを組んだ私自身はそう思っている。
 ホームシアターの音に求めたのはあくまでも「映画館と同じレベルの感動」、すなわち感動の絶対値であって、「映画館の音そのもの」ではなかった。どのみち迫力や音量と空間のボリュームで勝負したところで本物の映画館に勝てるはずがないのだから、むしろオーディオ的な繊細さと精緻さを突き詰めたいと考えていたのである。

 物理的に低音をズンドコ出せる環境に長らくいなかったというのもあるが、映画館的な音ではなくオーディオ的な音と考えれば、低音の存在感にさして不満を覚えなかったことも事実。DynaudioとNmodeの組み合わせによる音響再生の品位や精度は我ながら見事なもので、主にSapphireのおかげで威力や迫力においてもなんら不足はなかった。
 サブウーファー以外で出来ることは可能な限りやってきた。音場補正に頼る前にスピーカーの厳密なセッティングを行うことなどは、ホームシアターにおいても基本中の基本である。それらを疎かにしたまま音を語れるほど、私は畏れ知らずではない。
 たとえサブウーファーがなくとも、マルチチャンネル・サラウンドの精華は存分に味わえる。これだけは胸を張って言える。

 ただ、AVアンプ側でLFEがフロントに振り分けられるにしても、「本当にLFEを効果的に再生できているのか」という疑念は常に付き纏った。そして、まさに映画館的な威力や迫力の面において、「サブウーファーを加えればさらに上に行けるのではないか」との思いも常にあった。
 今までとは異なり、現在の住環境は音漏れ云々をあまり気にせずに済む。
 ならば、Dolby AtmosにDTS:X、オブジェクトベース音声の再生環境を構築しようとしている今こそ、やり残したことを終わらせたい。トップスピーカーに低音を受け持たせるのはさすがに無理だろうし、その意味でも布石になる。
 

 というわけで、ついにサブウーファーを買った。
 ECLIPSE TD316SWMK2。
 はてさて、どうなるか。

20160325サブウーファー