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【レビュー】SOtM tX-USBultra

 どれだけPCとのUSB接続にオーディオ的な問題があると言っても、現にUSB以上の利便性と汎用性と発展性を持った接続方法が一向に現れないので、USB接続に文句を言うよりもそれを改良改善する方向に持っていった方がよほど建設的だ。

 ……こんな発想が根底にあるのかどうかは定かではないが、実際に様々なメーカーから、USB接続時のノイズ低減を図る「USBアイソレーター」的な製品が登場している。

 今回取り上げるSOtM tX-USBultraもその手の製品ジャンルに属するものだが、一応メーカーの呼称としては「USBリジェネレーター」となる。搭載するクロックによってUSB信号をリジェネレートすることで音質向上を図る、というものだ。
 あとは、PCと本機の接続に用いるUSBケーブルに電源線が必要ないため、そもそもPCから電源線を通じて流れ込むノイズを気にしなくていいという特徴もある。
 さらに、外部電源仕様になっていることから各種高品質な外部電源を利用でき、オプションでマスタークロック入力も搭載できる。

 マスタークロック入力を付けた時の値段は18万円(税別)にもなり、外部電源を用意すれば確実に20万を越える。さらにマスタークロックまで用意しようものなら確実に30万を越えてくる。こうなるともはや、ネットワークオーディオにおけるM12 Gold Switchの領域である。この手の製品の中で、SOtM tX-USBultraの価格は頭一つ抜けている。

 いやはやいったいどこまでいくのか。いったいどこまでやらなければならないのか。



【外観】

 まったく同じデザインの純正外部電源・SOtM sPS-500との組み合わせ。


 SOtM tX-USBultraの背面。マスタークロック入力あり。


 SOtM sPS-500の背面。今回のSOtM tX-USBultraは12V仕様である。



・再生環境詳細

canarino Fils + JRiver Media Center / ASIO
オンボードUSB出力 / JCAT USBカードFEMTO

SOtM tX-USBultra

SFORZATO DSP-Dorado

Nmode X-PM7
Dynaudio Sapphire



・音質所感

 試聴は純正外部電源・SOtM sPS-500と組み合わせで行った。
 マスタークロックは(そもそも持ってないので)使っていない。


 canarino Filsから、

①オンボードUSB出力
②オンボードUSB出力 × SOtM tX-USBultra
③JCAT USBカードFEMTO
④JCAT USBカードFEMTO × SOtM tX-USBultra

 の4パターンで聴いた。
 PCI Expressカードとして直接PCに組み込まれるか、外付けかという違いはあれど、JCAT USBカードFEMTOとSOtM tX-USBultraの価格差は電源込みで3倍~4倍にもなる。それに見合うだけの差を感じたいところだが……


 結果、音質は①<③<②<④という具合で順当に(?)向上していった。
 しかし、②と③の音質差は期待したほど大きくはなく、好き嫌いの範疇に収斂してしまってもおかしくはない。

 オンボードUSB出力と比べて、JCAT USBカードFEMTOもSOtM tX-USBultraも「雑味が取れて透明感が増し、見通しが良くなる」という基本は共通しつつも、その後の傾向が異なる。
 JCAT USBカードFEMTOは低音域の深みやエネルギー感の向上により音楽の熱をより伝えるのに対し、SOtM tX-USBultraは同社のtX-USBhubInsMS-1000SQ WEのように、静寂感を際立たせて一音一音の質感を浮かび上がらせる。後段の機器の性格をストレートに活かすという意味で喜ばれるのはおそらく後者だろう。
 ④は両者の強みが完全に活かされるかというと必ずしもそうではなく、微妙にどっちつかずになりつつ、とりあえず単独の状態よりは全体的に優れているといった具合になる。JCAT USBカードFEMTOもまた相当優秀なクロックを搭載しているので、これまた搭載するクロックによってUSB進行をリジェネレートすることで音質向上を図るSOtM tX-USBultraとは長所の食い合い的な何かが起きているのかもしれない。

 とにかく確かなのは、JCAT USBカードFEMTOにせよSOtM tX-USBultraにせよ、オンボードUSB出力とは一線を画す音が得られるということだ。
 PCとUSB DACを接続する(狭義の)PCオーディオで、「本気で」高音質を望むなら、とりあえずPCのオンボードUSB出力から卒業すべきということなのかもしれない。

 今回は外部マスタークロックを使わなかったが、使った際にどうなるかはおおいに気になるところではある。マスタークロックにこだわれば六桁どころか軽く七桁の世界に突入するので、「こだわる余地」という点ではSOtM tX-USBultraは恐るべき可能性を秘めているとも言える。

 また、SOtM tX-USBultraはあくまでも外付けの機器なので、PCだけでなく、SOtM sMS-200やDELAやらfidataといった、USB出力を持つ機器に使用可能という汎用性がある。
 「USB接続で音質追求」の闇は深い奥は深い。


 最後に、AudioStreamに掲載の興味深いレビュー記事を紹介する。

An Audiophile Conundrum: Sonore vs SOtM – AudioStream

 言の葉の穴でも何度か取り上げているSonoreのSignature Rendu SEと、SOtM sMS-200ultra × sPS-500 Power Supply × tx-USBultraセットの対決である。



【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

【レビュー】 視た・聴いた・使った・紹介した機器のまとめ 【インプレッション】

【Roon】関連記事まとめ

よくある質問と検索ワードへの回答

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