【2018/11/05追記】
JPLAYはバージョンアップで「JPLAY FEMTO」となり、バージョン6.○から大幅に仕様が変更された。
参照:JPLAY FEMTO × Diretta
【追記おわり】
再生ソフトを用いたPCのサーバー化――最も簡単なネットワークオーディオの形
foobar2000でネットワークオーディオする!
MediaMonkeyでネットワークオーディオする!
JRiver Media Centerでネットワークオーディオする!
再生ソフトのDLNA/UPnP機能は大抵レンダラーとサーバーがセットになっている。
再生ソフトによってPCをサーバー化するとともにネットワークオーディオプレーヤーとして使う方法が、一番手っ取り早いネットワークオーディオの形であるということを上の記事で書いた。
が、これらの再生ソフトによるPCのネットワークオーディオプレーヤー化は挙動が極めて怪しいため、あくまで操作の感覚を掴む「お試し」以上のものを求めるのは難しい、とも書いた。
Remote
JRemote
MonkeyMote
MonkeyMote 4 foobar2000
一方で、例えば以上のコントロールアプリを使えば、対応する再生ソフトをスマホ/タブレットからコントロールすることができる。
これはプレーヤーから音楽再生に関わるコントロールの一切を完全に独立させているという点で、ネットワークオーディオの方法論に他ならない。
実際に使っているユーザーからすれば、この方法論を実践した際のPC・再生ソフト・USB DACの挙動はネットワークオーディオプレーヤーを使っているのと何ら変わらない。
しかし、この手のアプリは基本的に再生ソフトと一対一の関係なので汎用性はない。
幸いにしてそれぞれなかなかの操作性を実現してはいるものの、DLNA/UPnPに対応する優れた汎用アプリが使えないことに変わりはない。厳密には使おうと思えば使えるのだが、上に示した通りレンダラーとしての挙動が怪しいため実質的に使い物にならないのだ。
PCオーディオでもネットワークオーディオの方法論を適用することにより、「快適な音楽再生」を実現することは可能である。
とはいえ、DLNA/UPnPに対応する純粋なネットワークオーディオプレーヤーに比べれば、そのための選択肢が限られることもまた事実。
はてさてどうしたものか。
そんななか、「JPLAY」というソフトがネットワークオーディオプレーヤーとして動作するようになったと聞いたので、どんなもんかと試してみた。
その存在は以前から聞き及んでいたが、JPLAYは……どう言えばいいのか……
……ごく最近出来た日本語サイトからそのまま引用する。
1. ASIOドライバー: 旧版からの機能を、音質をさらにブラッシュ・アップして継続
Windows上で動作するビット・パーフェクト出力ASIO対応ミュージック・プレーヤー(foobar2000など)のASIOドライバーとして機能します。ミュージック・プレーヤーは、オーディオ・デバイスの代りにJPLAYへ出力します。JPLAYはこの入力信号をタイミング・パーフェクトな形でオーディオ・デバイスへ渡します。つまり、JPLAYはミュージック・プレーヤーとオーディオ・デバイスとの間に位置する「整音フィルター」的に機能します。
2. OpenHome Media対応Renderer(Room): JPLAYStreamer(新機能)
UPnP AV standardsに基づきLinn社が提唱するOpenHome Media準拠のRendererとして機能します。
WAVへのトランスコードに対応しているUPnPサーバーより音楽データのストリーミングを受け、OpenHome Media対応のコントロール・ポイントで操作します。
設定完了後はPCの存在を意識すること無く、ストリーミング対応のネットワーク・プレーヤーとして、スマートフォンやタブレット上のアプリケーションで快適に操作できます。
1について。
要は、「ASIOドライバとして機能するPCの高音質化ソフト」といったところか。foobar2000など、既存の再生ソフトと併用するのが基本となっているようだ。
いちおうプレーヤーも付属するが、これを使えというのはさすがにちょっと……
2について。
この記事で重要なのはこっちだ。
付属プレーヤーとは異なりWAVにトランスコードしないと音源を受けられないというのが少々アレだが、まあいい。
何よりohMedia準拠というのが実にタイムリーだ。色々と確かめてみたい。
というわけで、実際に使ってみた。
JPLAYの設定画面。
音楽再生以外のあらゆる処理をPCが一切の操作を受け付けなくなる次元にまで踏み込んで停止させるなど、高音質化のためにかなり過激な設定も可能らしい。
しかし残念なことに、そもそもUSB DACを持っていない私にはとりあえず縁のない画面だ。結局音が出てくるのはPCに繋いだアクティブスピーカーというアレ。
ちなみにインストールした時点で、Kinskyを見ると「JPLAYStreamer」が表示されている。Kinskyを使ったのはOpenHomeのリファレンスになってるっぽいから。
おッと思ってTwonky Serverから選曲して再生しようと思ったが、できず。
そういえばWAVにトランスコードが必要なんだっけ……
日本語サイトにはサーバー設定の例としてMinimServerが上がっていたので私も素直にMinimServerを使う。
minimstreamerなるパッケージをインストールして……
ん? 設定画面が変わらんぞと思ったら、
MinimServerの再起動が必要なだけだった。
で、ffmpegが面倒だったのでトランスコードはとりあえず「flac:wav」のみ設定。
これで準備は完了したはず。
あえてKinskyではなくSongBook HDを使う。
ふむ。
で、再生する。
音が出る。ここまではいい。
さて、問題はここからだ。
OpenHome準拠なら当然オンデバイス・プレイリストに対応しているはず。
ということは、デバイス(この場合はPCとJPLAYが該当)側にプレイリストが保存されているので、使うアプリを変えても同じプレイリストが保持される。
さあどうだ。
!
!!
!!!
アプリ間でのプレイリスト保持、アプリ終了時のプレイリスト再生維持ともに、オンデバイス・プレイリストは問題なく機能した。
ほとんど何もすることなくPCがまともなネットワークオーディオプレーヤーになってしまった。これは少々感動的ですらある。
が、シークが機能しなかったり、全体的に得も言われぬレスポンスの不安定さを感じたり、あとはWAVしか再生できないなどの問題もある。
現状ではLINN DSやLUMINと比べられる次元にはないという印象だ。
もっとも、PCのネットワークオーディオプレーヤー化は最新バージョンの6で実装した新機能なので、今後完成度は上がっていくとは思うが。
ちなみにChorusDSはLUMIN A1同様に「見つけるだけ」で使えず、
LUMIN Appでは完全に除外されている。DSは動かせたのに、何を基準に判断しているのだろうか。
例えばJRiverとJRemoteといった再生ソフトとコントロールアプリの組み合わせは「PCをネットワークオーディオプレーヤーのように使う」ものなのに対し、JPLAYは「PCをネットワークオーディオプレーヤーそのものとして機能させる」。それだけならfoobar2000なりMediaMonkeyなりで以前から可能だったが、OpenHome準拠をひっさげてまともなユーザビリティを実現したというところにJPLAYの価値がある。
JPLAYはPCを「USB出力搭載ネットワークオーディオトランスポート」として使う際の有力な選択肢になるだろう。
あとは、PCをオーディオ機器として磨き上げるためのいつもの努力を地道に続けるだけだ。
ん?
音質?
ステレオミニジャックに安いアクティブスピーカーを繋いだだけの状態でそんなもん気にしてどうすんの。
USB DACを導入してまともに判断できるようになった。
続き:実践編
続き:音質編
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