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【UHD BDレビュー】第3回『キング・オブ・エジプト / GODS OF EGYPT』 米国盤 【DTS:X】

公開日: : 最終更新日:2017/08/12 BD・ホームシアター関連, オーディオ・ビジュアル全般

【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/07/31初出の記事を更新・追記】



 記念すべき初UHD BD、2本の内の1本。
 邦題はキングだが原題はゴッド。

UHD BDエジプト

画質:8 (HD環境・BDと同じ土俵での暫定評価:11)
音質:13
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:HEVC 6K撮影・2Kマスター
音声:DTS:X トップスピーカーの活用:中 オブジェクト効果:中


○画質
 CGで塗りたくられた絢爛豪華な画。そもそもの時点で美しい作品である。6K撮影なのにマスターは2Kというのは悲しむべき事態だが、HD環境で見てもなお、凄まじいポテンシャルの高さは伝わってくる。
 強烈な解像感がある一方で、強調感はなくあくまでも滑らか。精細感のブーストに粒状感を付加するまでもなく、潤沢なディテールで満ちている。これらは最近の高画質なBD/作品に共通する傾向で、本作にも共通する。
 序盤、式典に集まった群衆をロングショットで捉えたシーンなどは『ダークナイト』のIMAXシーンのような隔絶した情報量と解像感を両立しており、感嘆に値する。
 主なトーンはエジプトらしく(?)見事な金ぴかで統一され、特に神々が纏う繊細な意匠の施された煌びやかな装いはディテールの塊である。変身後も露骨なCG臭さえ気にしなければやっぱり視覚の御馳走である。この衣装に注目すると、BDではハイライト部を飛ばして輝きを強めているのに対し、UHD BDでは滑らかに諧調が出ている。そのため、むしろUHD BDの方がパッと見ではおとなしく見える。HDRと言うととにかく「鮮烈な光の表現」的な文言ばかり目にするが、このような階調表現の深化もまた、「輝度のレンジが拡大して明暗の表現幅が広がる」、すなわちHDRのもたらす恩恵なのだろう。輝き以外に色彩でも、UHD BDは派手派手なBDに比べると少々落ち着いている印象を受けた。
 ただ、画質は全編通じて安定せず、さらに映像の質というかCGの出来もシーンによってかなりばらつきがあり、画もそれに伴って急激に安っぽくなったりする。

【4K/HDR環境での追記】
 解像感の向上や、より鋭利かつ濃厚な輝きなど、UHD BDとして順当な恩恵が得られる。
 燃え盛るじいさんが闇の中を泳ぐどでかいワーム的を光の槍で爆撃するシーンなどは、闇と光の対比こそが肝であり、まさにHDRが活きる瞬間と言える。
 じゅうぶんすぎるほど冴えた画であり、マスターが2Kであることの問題点は特に感じられない。

○見どころ
 群衆
 神々(変身時)のANUBISと鴉-KARAS-を足して2で割ったようなデザイン


○音質
 うちのシステムはオブジェクトオーディオ非対応なのでコンパチのDTS-HD Master Audio 7.1chで視聴。私にとっての初DTS:X作品となった。
 (ちょっと普通より大きいけど)人間サイズの神々の躍動感と、「巨大なもの」が吐き出す重厚感が織り成す音。古代エジプトの宇宙観に(それなりに)沿って宇宙論のレベルにまで舞台は展開するが、そのスケールを表現しようと頑張る映像に負けない見事な音である。勇壮な劇伴も朗々と鳴り響いて煮え切らなさを感じさせない。
 本作の神々は変身する。変身後の姿はまんま『鴉-KARAS-』のようで、強化外骨格的なアレに翼を生やして縦横無尽に飛び回る。右から左へ下から上へ、重力を引き千切って飛翔する神々にカメラワークと音響構築もぴたり追随して極め付きの移動感を味わえる。これこそマルチチャンネル・サラウンドの醍醐味である。
 もうひとつの音響的主役である「巨大なもの」はその偉容を音においても存分に表現する。蛇的ななにか、スフィンクス的ななにか、混沌を泳ぎ回って世界を呑み込むよくわからないなにか、それらが画面を揺らすたびに部屋の空気も激震する。単なる雰囲気の醸成ではなく、きちんと衝撃と威力を感じられる低音なので聴いていて楽しい。
 総じて音の完成度は極めて高い。ちなみに神々の格好だけじゃなく音も『鴉-KARAS』とよく似ている。きっと監督、見たな。盛り上がるんだか盛り上がらないんだかわからない話の展開まで似なくてもよかったのに。
 現時点でも上下方向の感覚は十分に表現できるが、オブジェクトオーディオ環境構築の暁には、きっとさらなる明瞭な移動感と定位感が実現するのだろう。本作はDTS:Xの威力を示すうえで格好のソフトになると思われる。

【DTS:X環境での追記】
 Pioneer SC-LX59とECLIPSE TD307MK2Aの導入に伴いDTS:Xで聴いた。
 参照:DTS:Xのソフトを片っ端から聴く

○聴きどころ
 ホルスvs魔改造セト
 燃え盛るじいさんvsよくわからないでっかいなにか


○総評
 画と音の宝石箱、視覚と聴覚の御馳走である。
 しかし話は……『ダークシティ』や『ノウイング』を撮った監督にしてはあまりにも……



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DMP-UB90

・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
→LG OLED55B6P

・音響(センターレス6.1ch)
Pioneer SC-LX85
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122
Dynaudio Audience52
ECLIPSE TD316SWMK2



【Dolby Atmos/DTS:X】オブジェクトベースシアターへの道・まとめ

【UHD BDレビュー】総まとめ

【BDレビュー】総まとめ

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