画質:6 音質:8


映像はAVCでビットレートは常時30台後半を維持。
音声はリニアPCMの2ch、DTS-HDMAとドルビーTRUEHDの16bit。

画質について。
79年のアニメ作品としては及第点にして十分な画質。フィルムの保存状態の差か、80年代後半に作られたオネアミスの翼やパトレイバー1よりもマスターに起因すると思われる傷やらノイズやらは少ない。少ないといっても時代相応なのであくまで程度の話。
描線の滑らかさ、色彩の透明感はやはりBDならではのもの。圧縮由来のノイズも皆無で、手堅いソフト化という点では評価に値する。撮影の品質が不安定で静止・パン時関わらず時折画面が危なっかしく揺れますが、時代と技術を考えれば仕方が無いですかね。1080“i”収録ですけど、“p”との違いは特に感じませんでした。
これ以上の高画質を狙うとしたら、それこそ眠れる森の美女にディズニーがかけたのと同じレベルの情熱が必要になると思う。残念ながらそこまで期待するのは酷でしょうねえ。
そんなわけで、カリオストロの城における最後のアーカイブとしての価値は十分にあります。

音質について。
まず。DTS-HDMAとドルビーTRUEHDはスペックとしてはどちらもおんなじ。いい加減やめませんか、同じのを二つも入れるの。限りなく無意味でしょ。DTSとドルビーで音質差が……とかなんとか言うんだったら、製作時で音がいい方を選べよと。
で、肝心の音質ですが。収録音声に”擬似5.1ch”とあるとおり、このソフトの音はそもそもサラウンド前提で作られていないわけで、5.1ch時には全てのチャンネルに(ほぼ)同じ音声が振られているようでした。そのためにサラウンド・マルチチャンネルの醍醐味を真に味わうことは出来ませんが、特に効果音で包囲感による臨場感を得られます。音響のバランスが崩れているというようなこともありません。絶対的な音数はそりゃあ少ないですが、やっぱりステレオよりもサラウンドの方が聴いてて圧倒的に楽しいのも確か。
画質同様、情熱をもって音声をマルチチャンネルでリマスタリングすればまた色々と違ってくるんでしょうが……そこんとこどうなんでしょうねえ。

やっぱり眠れる森の美女っていう奇跡を見てしまうと、この程度じゃ物足りなくなっちまいます。
ちょいと比べる相手が悪い気もしますがね。



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