【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/07/31初出の記事を更新・追記】



 記念すべき初UHD BD、2本の内の1本。

UHD BDデップー

画質:7 (HD環境・BDと同じ土俵での暫定評価:11)
音質:11
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:HEVC 3.4K/5K/6K/35mmフィルム撮影・4Kマスター
音声:Dolby Atmos


○画質
 なんともムラのある画。
 全体的に解像感志向というよりはむしろしっとり路線で、強調感のない滑らかな画が得られている。情報量がばっちり乗ったシーンでは精細感としとやかさが両立した実に見事な画が見られるものの、残念ながらそういったシーンはあまり多くない。シーンによっては明らかに甘く、情報量が足りず、ノイジーになることもある。
 ディテール表現で最も印象に残ったのはなぜかデッドプールのスーツ、特にケツの素材感。しょっちゅうクローズアップされていたせいだろうか。ケツが異様な存在感で迫りく来る。
 ダイナミックレンジは輝度・色ともに非常に広い。暗がりのシーンでは粘りに粘って立体的な闇を映し出し、燃え盛る炎のシーンでは色が飽和して白一色になるようなこともなく『007 慰めの報酬』で見られたような美しさが実現されている。その美しさの中で何をやっているかといえば素っ裸で殴り合っているのだが。
 本作は3.4K撮影の4Kマスターとのことだが、ことHD環境で見ている限り、これより高画質な作品/BDは数多くある。ただ、BDよりもUHD BDの方がHD環境においても圧倒的に高画質である。画面全体の立体感やコロッサスの鈍い輝きの表現などで、ダイナミックレンジの差が顕著に出る。また、BDは明らかに粒状感が強く、UHD BDのような清廉さは影を潜める。

【4K/HDR環境での追記】
 現時点ではまだまだ貴重な4Kマスターの作品ながら、解像感の向上も含め、期待していたほどの伸びしろはなかった。
 空に浮かぶ雲の立体感なんかはそれなりにHDRの恩恵を感じる。

○見どころ
 ケツ


○音質
 うちのシステムはオブジェクトオーディオ非対応なのでコンパチのドルビーTRUEHD 7.1chで視聴。
 BDのDTS-HD Master Audio 7.1chに比べて威力・空間表現ともに一段上であり、Dolby Atmos用の音声マスターを別個に作ったものと思われる。
 あまり創意工夫を感じる類の音響ではないものの、普通にアクション映画として十分すぎるほどのケレン味と盛り上がりが詰め込まれている。銃撃&剣撃の鋭さと重低音の威力が両立し、マルチチャンネル・サラウンドの活用による移動感・包囲感の表現も申し分ない。既存楽曲の劇伴使用もただ垂れ流すだけでなく、映画音響として実に聴き応えのあるミックスが施されている。
 ただ、とにかくしゃべりまくる映画の割には声の質感が大味で、もう少し繊細さがほしかった。

【Dolby Atmos環境での追記】
 Pioneer SC-LX59とECLIPSE TD307MK2Aの導入に伴いDolby Atmosで聴いた。
 参照:Dolby Atmosのソフトを片っ端から聴く

○聴きどころ
 スーパーヒーロー・ランディング
 コロッサスとエンジェル・ダストの殴り合い 


○総評
 HD環境で見ても、BDとUHD BDの差は歴然としている。
 さらに本作のように、BDとUHD BDで音声仕様にまで明らかな差が付けられるようでは、ますますBDを買うのが辛くなってしまう。
 なんだかんだ言って先にUHD BDの再生環境を作るという選択をしてよかった、と思える一本である。
 UHD BDのクオリティとしては……まぁ…………



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DMP-UB90

・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
→LG OLED55B6P

・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2



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