【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/10/07初出の記事を更新・追記】



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画質:9 (HD環境・BDと同じ土俵での暫定評価:13)
音質:15
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:HEVC 5K撮影・2Kマスター
音声:Dolby Atmos トップスピーカーの活用:中 オブジェクト効果:中


こちらも参照
【BDレビュー】第234回『パシフィック・リム』 北米盤


○画質
 BDに比べて非常に輝きが鋭くなり、暗部は引き込みが増した。つまるところパッと見のコントラストが増した。結果的にBDとはだいぶ印象が異なるのだが、はたしてこれが良いことなのか悪いことなのかはちょっと判断に困るという印象。
 ただ、ダイナミックレンジ変換を経た映像でも「HDRっぽさ」はじゅうぶんに味わえる一方で、DLA-X30のコントラスト性能の限界なのか何なのか、明部では白飛びを起こし、暗部は引き込みが強すぎる。特に白飛びはなかなか問題で、高輝度領域の色彩が抜け落ちてしまっている。
 とにかく明暗が過剰な画であり、何もかもが完璧にハマっていたBDに比べるとなんとも荒削りに見える。あるいはコレが監督が本来意図した映像なのかもしれないのだが。
 解像感や情報量は相変わらず極めて優秀、なれどBDの時点であまりにも完成されていたため、コントラスト表現が荒削りという印象だけが残った。
 言い換えればダイナミックレンジ変換を経てもなお強烈な印象を残すレベルでHDR表現が為されているということでもあり、十全な性能のディスプレイで見たらどうなるのか気になるところだ。

【4K/HDR環境での追記】
 これぞHDR
 上で指摘した「明部では白飛びを起こし、暗部は引き込みが強すぎる」という問題は有機ELでは見事に払拭される。眩い光にも色褪せることなく色彩が乗り、暗部の情報量もしっかりと出るおかげで、鮮烈極まる光と闇の狂宴が展開する。おかげで目が疲れる。
 BDとはまったくの別物。ただしBDの画も捨てがたい。

○見どころ
 タンカーを引っ提げてオオタチへ向かうジプシー・デンジャーのカット


○音質
 北米盤BDのDTS-HD Master Audio 7.1chと比べると、既に完成されていた音響にさらなる包囲感と移動感が加わる。オブジェクト効果はぶんまわされるタンカーの軌跡がさらに明瞭に部屋の中を切り裂くといった具合に活かされる。トップスピーカー込みでスピーカーの台数が増えたおかげか、全体的な威力も増しているように感じる。
 トップスピーカーの活用はそれなり。避難所の天井から響くオオタチの足音など、鳴るべきところではしっかり鳴るほか、KAIJUの雄叫びは問答無用でトップスピーカーに響きが割り振られているようで、彼らの巨大感の醸成に一役買っている。
 その他面白いトップスピーカーの使い方としては、イェーガー内のナビゲーション音声であるGLaDOSの声が全面的かつ明瞭にトップスピーカーに割り振られているということ。基本しっちゃかめっちゃかな状況で鳴るので上から聴こえるという実感は薄いのだが、なるほど確かに包囲感の向上も感じられる。
 移動感、包囲感、定位感、創意工夫、威力、あらゆる要素が極めて高いレベルで構築された本作の音響は、Dolby Atmosによって僅かに、されど確かな向上を果たした。
 とはいうものの、『プライベート・ライアン』『ランボー 最後の戦場』に感じた恐怖、『AKIRA』『ガールズ&パンツァー 劇場版』に感じたある種の狂気、そういった次元に達することはなかった。
 よって☆は付かず、音質評価は10点満点中の15点据え置きである。

○聴きどころ
 天井から聴こえるGLaDOSの声
 でかいもの全般


○総評
 本作が4Kマスターではなかったというたった一点を除き、UHD BDになっても、特に音響面でずっとリファレンスたり得る作品である。
 BDの時点で良すぎたこともあり、はたしてBDを既に持っている人が買い換えてどれだけの向上を実感できるかは謎だが、あとはもう作品に対する愛情次第といったところか。



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DMP-UB90

・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
→LG OLED55B6P

・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2



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