どれだけ音の良さを謳おうが、まともに使えないサーバーに用はない。

 「信頼」の名を背負ったfidataはどうだろう。



 まず、サーバーの中に音源を保存しないことには話にならない。
 この「音源の保存」という流れについても、fidataは筐体の見た目同様、極めてシンプルである。

 もちろん、fidataはDELAのようにディスプレイに自身のIPアドレスを表示させるなんて芸当はできない。
 というわけで、ソフト(mfinder)経由で該当するサーバーのIPアドレスやらデバイス名やらを確認する。
20160103fidataPC01

 このmfinderは基本「見つけるだけ」なので、音源ファイルの保存や設定は別途行う。


 まず、音源ファイルの保存。
 何のことはない、エクスプローラーのアドレスバーに、

¥¥IPアドレス
(※Word Pressで¥の半角を打つと「\」になってしまうので全角の「¥」を使っている)

 と打てばいい。この場合、¥¥192.168.11.31という感じに。なお、ここはIPアドレスではなくデバイス名でもいい。
 すると、「contents」フォルダが現れるので、あとはその中にファイルを保存する。
20160103fidataPC07

 うーむ……
20160103fidataPC08

 基本的に音源ファイルを保存しさえすれば、問題なくサーバーとして使用可能である。
 が、ここで踏みとどまる私ではないので、設定画面を覗いてみるとしよう。


 fidataの設定画面に入るには先ほどのmfinderから「デバイス設定」の「ブラウザ」を押してもいいが、ブラウザのアドレスバーに直接IPアドレスを打ち込むのが一番早い。
 そして、コレがfidataの設定画面。
20160103fidataPC02

 用があるのはもっぱら「システム設定」と「メディアサーバー設定」の二つだろう。

 「システム設定」はその名のとおり。
 「オーディオサーバー」の名に恥じぬマニアックな設定項目あり、逆に「コレをオフにするとサーバーとして使えなくなるんじゃ……」という項目もあり。
 この手のものはよほど自信がない限り手を付けないのが得策である。幸いにして「設定項目を確認する」のボタンを押さない限り変更が反映されないので一安心。
20160103fidataPC03
20160103fidataPC04
20160103fidataPC05

 これらの設定画面でのレスポンスは必ずしも速いわけではないが、フリーズしてるんじゃないか的な危うさを感じることもない。

 とりあえず、こんな風に設定を変えてみた。
 個人的に「ランプの明るさ」で「消灯」という選択肢が欲しかったところだが。「暗い」にしても結構眩しいので……
 さらにここで「設定を行う」を押さないと変更が反映されないので二重に安心。
20160103fidataPC06


 「メディアサーバー設定」は、つまるところTwonky Serverの設定である。
 Twonky Server??? という人も、そうでない人も、詳しくはコチラへ。
20160103fidataPC09

 fidataの発売当初は例によってトンキー病が発症する場合もあったが、予定通りファームウェアのアップデート(バージョン1.10)により改善されている。やったね。

 Twonky Serverのナビゲーションツリーにも手が入っていて、「フォルダー」が一番上にきていたり、「フォーマット」の項目が増えていたりする。フォルダー…………いや、別にいいんだけどもね。
 アイコンもきちんと「fidata」になっている辺りに注目。こういう所で手を抜いてはいけないのである。
20160103fidata14
20160103fidata15


 HDDモデル、SSDモデルともに一週間ほど使ってみて、オーディ用のサーバーとして運用面で不安や不満を感じることは特になかった。
 ただ、それはあくまで「オーディオサーバーとして」であって、純粋にファイルを保存する際の速度はもっと速くならないものだろうかと思わないこともなかった。
 もっとも、「ファイルサーバーとして」速くないというのはDELAもRockDisk for Audioも同様であり、「オーディオサーバーとして」高音質を望めば、引き換えになるべくノイズを出さないCPU的なアレで自ずとそうなってしまうのだろう。ま、遅いと感じるのは主として最初にファイルを流し込む時なので、それが終わってしまえばさほど大きな問題にならないことも確かである。

 DELAとfidataに採用されることで一気に知名度が上がり、今までまったくその名を口にすることもなかった人まで頻繁に言及するようになったTwonky Serverも、特に問題なく動いている。
 「ユーザーにアンケートを取ると一番使用頻度が高いので[フォルダー]を一番上に持ってきました」なんて現状において、「Twonky Serverでは機能不足だ!」なんて言われることはまずあるまい。かくいう私も、色々と可能性を追求しつつも結局ほとんど「ジャンル/アルバム」しか使わないくらいだし。
 なお、本気でTwonky Serverなんてやだ! という人にはAsset UPnPRoonをおすすめする。


 「真にオーディオ機器と呼び得るサーバー」の条件の内、最も重要な「良いサーバーであること」も問題なくクリアである。



【レビュー】fidata HFAS1

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】