*

【レビュー】Roon ― 音楽鑑賞の新たな可能性

公開日: : 最終更新日:2017/12/04 PC・ネットワークオーディオ関連, Roon, オーディオ・ビジュアル全般

Roonは音楽鑑賞の未来たり得るか
Roon 導入編
Roonの「魔法」の正体
Roon 設定・再生編

続・Roonの「魔法」の正体と、その限界


 Roonはライブラリに魔法をかけて、Roon色に染め上げる。このRoon色というのは実質的に「AllMusic」のデータベースに拠るものが大きいようだが。→現在、Roonのデータベースは「MusicBrainz」を利用している。

 そしてRoonはライブラリに「音楽情報の海」という新たな魅力を付け加える。
 さらにTIDALと連携させることで、「音楽の海」は途方もない広がりを得る。

 年間119ドル、永年契約499ドルという金額は決して安くはないので、単純な再生ソフトの枠を越えた「サービス」という側面、「聴くだけにとどまらない多面的な音楽の楽しみ」を提供する「総合音楽鑑賞ソフト」としての価値を認めるか否かが鍵となる。
 再生ソフトとしても必要十分な機能を備えているが、単に音がいいというだけなら他にいくらでも選択肢がある。

 自分のライブラリに思い入れがあり、理想のライブラリの構築に邁進してきた人ほど、Roonの導入には葛藤を伴うだろう。
 一応、ライブラリを染めるRoon色を薄くすることも可能と言えば可能だが、それは同時にRoonの良さを薄めることでもある。
 「自分にとって理想的なライブラリ」を構築し、優れたコントロールアプリとの組み合わせで至極満足できるユーザビリティを現に味わっている身からすれば、確かにRoonの素晴らしさは分かるが、「これさえあれば他はいらない」的な感覚はない。
 ただ、特にライブラリの活用という点において、Roonはかつてない巨大な魅力を備えたソフトであり、サービスであることは間違いない。

 自分が蓄積してきた音源を自分以外の誰かに手渡し、その誰かのルールでライブラリを構築しても別に構わないとすれば、Roonはまさに魔法のようなソフトになり得る。
 Roonのライブラリ構築の手腕は見事の一言。出来上がったライブラリは美しく洗練され、膨大な情報から構築された「音楽の海」はこちらに退屈する暇を与えない。音源管理に要する手間をRoonに丸投げできて、それでいて素晴らしいライブラリがあっという間に出来上がるのだから、多くのユーザーにとっては万々歳だろう。
 さらに操作性はPC・タブレットともに洗練され、ネットワークオーディオとして考えても非常にレベルが高い。
 「聴くだけではない」音楽の楽しみを存分に味わいたいのなら、Roonは極めて魅力的な選択肢である。


 昨今、音源のクラウド化が凄まじい勢いで進んでいる。オーディオの領域にあっても、クラウドの音源をライブラリとしていかに美しく、楽しく提示するかは非常に大きな課題である。
 ローカルの音源とクラウドの音源。Roonはそのどちらもライブラリとしてシームレスに統合し、「音楽の海」として提示してくれる。さらに、クラウドの音源に対しても自分の意思を反映させられるようになる。これは音楽好きにとって、このうえなく素晴らしいことだ。
 
 Roonは音楽鑑賞の新たな可能性を見せてくれる。



Roon関連記事まとめ

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

【レビュー】 視た・聴いた・使った・紹介した機器のまとめ 【インプレッション】

よくある質問と検索ワードへの回答



【2015/11/20追記】

 初出時に「Roonの魔法をかけるにしても、最低でもその音源が何なのかRoonがわかる程度のタグが付加されている必要はあるようだが」と書いたが、厳密に検証してみたら、WAVでもFLACでも、タグが空っぽでも、フォルダ名(アルバムタイトル)もファイル名も意味を成さない状態でも、Roonは情報を拾ってきた。これには素直に脱帽だ。
 以前の検証時にタグが空っぽのWAVでデータを拾ってこなかったのは、そもそも検証に使用した音源の情報がRoonのデータベースに存在しなかったからのようだ……
 ここまで出来るRoonのデータベースとて、やはり完璧ではない。そしてデータが見つからなかった場合、音源のタグがそのまま使われる。
 最後の最後に活きるのは、やはり自分自身の音源への愛情である。

【追記おわり】

スポンサーリンク


関連記事

WAVとFLACで音は変わるか?

 変わりません。     完

記事を読む

【祝】『スターシップ・トゥルーパーズ』がUHD BD化

凶悪4Kバグ襲来 『スターシップ・トゥルーパーズ』 (4K UHD BLU-RAY with DOL

記事を読む

【音源管理の精髄】手を抜いたライブラリの成れの果て 【ネットワークオーディオTips】

 ディスクだろうと、ファイルだろうと、整理整頓しなければ滅茶苦茶になる。  というわけで、最短

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第159回『風の谷のナウシカ』

画質:7 音質:6 映像はAVC、音声はリニアPCMの24bitステレオ 画質につい

記事を読む

LUMIN L1 続・音質編

前の記事  前回の試用ではS1との組み合わせだったが、本導入の今となってはA1との組み合わ

記事を読む

【レビュー】逢瀬 AK4495S試作DAC 運用・音質編

【レビュー】逢瀬 AK4495S試作DAC 外観編  本機のUSB入力はAmanero C

記事を読む

PS3の出荷(近日)完了に寄せて

PS3本体の出荷が近日終了 - GameSpark  私のPS3に対する感情は、普通のゲー

記事を読む

ヱヴァ新劇場版のサントラ3作が11月5日からハイレゾ配信

ヱヴァ新劇場版のサントラ3作が11月5日からハイレゾ配信。e-onkyo musicとmoraで

記事を読む

no image

【BDレビュー】第219回『電脳コイル』

この時代において攻殻機動隊を再解釈して再構築したとも言える傑作 画質:9 音質:10

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第60回『28週後…』

画質:8 音質:10 映像はAVCで30台中心のハイビットレート。 音声はDTS-HDM

記事を読む

スポンサーリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク

【ハイレゾ音源備忘録】The Beatles / Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band (Deluxe Anniversary Edition)

 祝・ビートルズのハイレゾ音源初配信。 ・アーティス

アニメ『宝石の国』が素晴らしい

 アニメから入って、原作漫画も全巻買ってしまった。フォス……

Fundamental LA10 version II / ATT10

「LA10v2」リリース文(PDF) 「ATT10」リリース文(

月刊HiVi 2018年1月号を読んで、ホームシアターでゲームをしよう!【おまけつき】

 本日発売。 月刊HiVi 1月号 12/16発売 

なぜハイレゾ音源を買うのか

 音がいいから、ではない。  私が「ハイレゾ」と言う時は

【UHD BDレビュー】第47回『トランスフォーマー/最後の騎士王』 英国盤 【Dolby Atmos】

画質:10 音質:14 (評価の詳細についてはこの記事

SFORZATO流「ネットワークプレーヤーの使いこなし」が掲載されたので

 我が身を振り返ってみた。 Netwok Audioについて

Bricasti Design M12 / M1 SE mk2のLAN入力がPCM 384kHz/24bit・DSD 5.6MHzに対応

M12およびM1 Special Edition mk2仕様変更のご案

ついに日本でロスレス音楽ストリーミングサービス「Deezer HiFi」が開始

日本初、ロスレス音楽ストリーミング「Deezer HiFi」開始。3,

【レビュー】日本テレガートナー M12 GOLD SWITCH

 魔境深淵注意。  みんなおこらずに楽しく読んでね。

【ハイレゾ音源備忘録】Nicogi / DigiFi No.28付録音源

・アーティスト / アルバムタイトル Nicogi /

「自分の音源ライブラリ」の未来

 言の葉の穴を本格的に始めてまだ間もない頃、こんな記事を書いた。

【Dolby Atmos/DTS:X】オブジェクトオーディオの威力を実感できるタイトル10選・2017年版

 せっかく、「さらなるサラウンド体験のために天井にスピーカーを付ける」

【BDレビュー】第353回『パトリオット・デイ』

 日本ではUHD BDが発売されないという悲劇。 https

LUMIN AppがiPad Pro 12.9インチにネイティブ対応

コントロールアプリのiPad Pro 12.9インチへの対応状況

【BDレビュー】第352回『バーニング・オーシャン』 【Dolby Atmos】

 日本ではUHD BDが出ないという悲劇。 https://

LINN KLIMAX DS/3・DSM/2(Katalyst DAC搭載モデル)がDSDの再生に対応

LINN FORUMS  LINN DSのファームウェア、Dav

WaversaSystems WCORE(Roon Server)

WCORE開発完了 - WaversaSystems  要は

【BDレビュー】第351回『ハードコア』

 一人称視点のアレ。 https://www.youtube.c

UHD BD化を待ち望む作品10選・2017年末版

BD化を待ち望む作品10選  未だBD化されていない作品も多いと

→もっと見る

PAGE TOP ↑