Roonは音楽鑑賞の未来たり得るか
Roon 導入編
Roonの「魔法」の正体
Roon 設定・再生編

続・Roonの「魔法」の正体と、その限界


 Roonはライブラリに魔法をかけて、Roon色に染め上げる。このRoon色というのは実質的に「AllMusic」のデータベースに拠るものが大きいようだが。→現在、Roonのデータベースは「MusicBrainz」を利用している。

 そしてRoonはライブラリに「音楽情報の海」という新たな魅力を付け加える。
 さらにTIDALと連携させることで、「音楽の海」は途方もない広がりを得る。

 年間119ドル、永年契約499ドルという金額は決して安くはないので、単純な再生ソフトの枠を越えた「サービス」という側面、「聴くだけにとどまらない多面的な音楽の楽しみ」を提供する「総合音楽鑑賞ソフト」としての価値を認めるか否かが鍵となる。
 再生ソフトとしても必要十分な機能を備えているが、単に音がいいというだけなら他にいくらでも選択肢がある。

 自分のライブラリに思い入れがあり、理想のライブラリの構築に邁進してきた人ほど、Roonの導入には葛藤を伴うだろう。
 一応、ライブラリを染めるRoon色を薄くすることも可能と言えば可能だが、それは同時にRoonの良さを薄めることでもある。
 「自分にとって理想的なライブラリ」を構築し、優れたコントロールアプリとの組み合わせで至極満足できるユーザビリティを現に味わっている身からすれば、確かにRoonの素晴らしさは分かるが、「これさえあれば他はいらない」的な感覚はない。
 ただ、特にライブラリの活用という点において、Roonはかつてない巨大な魅力を備えたソフトであり、サービスであることは間違いない。

 自分が蓄積してきた音源を自分以外の誰かに手渡し、その誰かのルールでライブラリを構築しても別に構わないとすれば、Roonはまさに魔法のようなソフトになり得る。
 Roonのライブラリ構築の手腕は見事の一言。出来上がったライブラリは美しく洗練され、膨大な情報から構築された「音楽の海」はこちらに退屈する暇を与えない。音源管理に要する手間をRoonに丸投げできて、それでいて素晴らしいライブラリがあっという間に出来上がるのだから、多くのユーザーにとっては万々歳だろう。
 さらに操作性はPC・タブレットともに洗練され、ネットワークオーディオとして考えても非常にレベルが高い。
 「聴くだけではない」音楽の楽しみを存分に味わいたいのなら、Roonは極めて魅力的な選択肢である。


 昨今、音源のクラウド化が凄まじい勢いで進んでいる。オーディオの領域にあっても、クラウドの音源をライブラリとしていかに美しく、楽しく提示するかは非常に大きな課題である。
 ローカルの音源とクラウドの音源。Roonはそのどちらもライブラリとしてシームレスに統合し、「音楽の海」として提示してくれる。さらに、クラウドの音源に対しても自分の意思を反映させられるようになる。これは音楽好きにとって、このうえなく素晴らしいことだ。
 
 Roonは音楽鑑賞の新たな可能性を見せてくれる。



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【2015/11/20追記】

 初出時に「Roonの魔法をかけるにしても、最低でもその音源が何なのかRoonがわかる程度のタグが付加されている必要はあるようだが」と書いたが、厳密に検証してみたら、WAVでもFLACでも、タグが空っぽでも、フォルダ名(アルバムタイトル)もファイル名も意味を成さない状態でも、Roonは情報を拾ってきた。これには素直に脱帽だ。
 以前の検証時にタグが空っぽのWAVでデータを拾ってこなかったのは、そもそも検証に使用した音源の情報がRoonのデータベースに存在しなかったからのようだ……
 ここまで出来るRoonのデータベースとて、やはり完璧ではない。そしてデータが見つからなかった場合、音源のタグがそのまま使われる。
 最後の最後に活きるのは、やはり自分自身の音源への愛情である。

【追記おわり】