*

【UHD BDレビュー】第29回『許されざる者』 米国盤




【BDレビュー】第112回『許されざる者』


画質:8
音質:10
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:HEVC
音声:DTS-HD Master Audio 5.1ch


○画質
 なんて美しい映画なんだ……
 光量の多いシーンであれば、近作にまったり見劣りしないどころか凌駕さえしそうな素晴らしい画が拝める。
 BDに比べて解像感や情報量も間違いなく良くはなっているが、それ以上にHDRの恩恵が著しい。HDRという器を得てフィルムに本来写し撮られていた豊潤な光量を存分に活かせるようになった結果か、特に抜けるような青空が全編通じて実に美しい。青空を背にして登場人物が逆光になるシーンでは、青空はさらに光量を増しつつ、BDに比べて明らかに人物の描写が明確になっている。これぞHDRである。他にも雪原の中の小屋でのシーンや、強烈な日差しが差し込む崖(山岳地)での銃撃戦など、HDRのおかげでBDとは別次元の力強い描写を獲得したシーンは枚挙に暇はない。
 ただ、夜の酒場兼娼館に顕著に見られるように、過剰とも思えるほどに暗いシーンが暗くなっており、ちょっと首をかしげたくなるような場面もあった。「暗いシーンがきちんと暗い」こともまた「自然」な描写を実現するHDRの本懐とはいえ、ここまで暗いとなると……難しいところだ。あるいは西部劇時代の夜の室内の明るさなんてたかが知れている、これが本来の明るさなのだ、ということなのか? とりあえず暗いとはいえ、BDのように暗部にノイズがざわつくこともなく、凄まじく暗い領域の中でもきっちりと階調が出ているため、そういう画だと思えば普通に見られる。むしろ、非常に暗いために見る側も集中力を最大限発揮させているのか、余計に見入る。
 フィルム撮影の往年の名作も、4K/HDRリマスターで化ける。BDとはまるで別物であり、今後の(特にフィルム撮影作品の)UHD BD化に大きな希望を持たせることとなった。本作は『インデペンデンス・デイ』より古いが、それよりも高画質である。
 
○見どころ
 屋外の風景
 崖での銃撃戦


○音質
 BD版はHなんとかのせいで圧縮音声オンリーという許されざる仕様だったのが、ようやく晴れてロスレス音声での収録がなされた。まずはそのことを喜びたい。
 ロスレス音声の威力は音楽の浸透力・ダイアローグの迫真性・銃声の威力と全領域に渡っており、作品を鮮やかに彩る。
 環境音は想像以上に存在感を増している。夜の酒場、屋外の激しい雷雨は全チャンネルを活用して空間を濃密な音で満たし、落雷は強烈な重低音を発して続く破滅的な展開を示唆する。
 これ以上は望むまい。

○聴きどころ
 クライマックスの酒場


○総評
 かつてリリースされたBDはHなんとかのせいで、映像面でも音声面でも煮え切らない仕様になってしまったが、『許されざる者』の映像ソフトはUHD BDで、ついに完成形となったのである。
 買おう。



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DMP-UB90

・映像
LG OLED55B6P

・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59(AVプリとして使用)
Nmode X-PM7(フロント)
Nmode X-PW1 ×4(フロント以外の全チャンネル)
Dynaudio Sapphire(フロント)
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2(サブウーファー)



【Dolby Atmos/DTS:X】オブジェクトベースシアターへの道・まとめ

【UHD BDレビュー】総まとめ

【BDレビュー】総まとめ

【レビュー】 視た・聴いた・使った・紹介した機器のまとめ 【インプレッション】

スポンサーリンク


関連記事

no image

【BDレビュー】 第26回『インデペンデンス・デイ』

画質:9 音質:11→12 映像はAVCでビットレートは30前後でうろうろ。 音声はDT

記事を読む

レーザー光源プロジェクターと有機ELテレビとブラウン管の呪縛

ホームシアターにおけるプロジェクターの行く末  上の記事ではいささかプロジェクターの将来に

記事を読む

【BDレビュー】第300回『ぼくのエリ 200歳の少女』

 足かけ8年以上、とうとう300回到達。  今までにいったい何千枚のBDを見てきたかわからないが、

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第112回『許されざる者』

画質:8 音質:8 映像はVC-1でビットレートは高くて20Mbps程度。旧きワーナー仕様

記事を読む

SFORZATOに行ってきました

 こないだの東京インターナショナルオーディオショウにあわせて。  2010年のハイエンドショウの時

記事を読む

【ハイレゾ音源備忘録】大植英次・ミネソタ管弦楽団 / Stravinsky: The Song Of The Nightingale, The Firebird, Rite of Spring 176.4kHz/24bit

・アーティスト / アルバムタイトル 大植英次・ミネソタ管弦楽団 / Stravins

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第166回『美女と野獣』

画質:15 音質:10 映像はAVC、音声はDTS-HDMAの24bit、7.1ch

記事を読む

【OpenHome】TEAC NR-7CD

 せめて私だけでも、OpenHomeはいいぞと言い続けよう。  それはそうと、(わりと前から)

記事を読む

【BDレビュー】第291回『新世紀エヴァンゲリオン TVシリーズ』

画質:7 音質:8 映像:AVC 音声:リニアPCM 5.1ch 16bit

記事を読む

4年以上前のノートPCでRoon Remoteは快適に使えるか?

 公式によるRoonの推奨環境は以下のとおり。 Recommended Hardware In

記事を読む

スポンサーリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク

【地元探訪・神様セカンドライフ編】アオのふるさと:鬼越蒼前神社(岩手県滝沢市)

 既に地元ではない気もするが別に構うまい。  というわけでひ

NetAudio vol.28で記事を執筆しました

NetAudio vol.28 - Phile-web  昨

4,000,000PVを達成しました

 言の葉の穴は2017年10月19日をもって、4,000,00

SFORZATO DSP-Doradoとfidata HFAS1-XS20を導入した

「純粋なネットワークオーディオ」への憧憬 続・「純粋なネットワークオ

月刊HiVi 2017年11月号に記事を執筆しました【おまけつき】

月刊HiVi 11月号 10/17発売 「ロマンポルノ」を

【ホームシアターでゲームをしよう!】第3回『ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン』

https://www.youtube.com/watch?v

TIAS2017の思い出

 色々あるが、最も印象に残ったのはナスペックブースでのPlayback

【イベント報告】東京インターナショナルオーディオショウ2017 於:トライオードブース

予告:東京インターナショナルオーディオショウに参加します  

【ホームシアターでゲームをしよう!】第2回『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて』

https://www.youtube.com/watch?v

【ハイレゾ音源備忘録】Nicogi / 蜃気楼

・アーティスト / アルバムタイトル Nicogi /

【ホームシアターでゲームをしよう!】再始動

 諸事情により、第1回『The Last of Us』以来

【ハイレゾ音源備忘録】Nicogi / Precious Morning

・アーティスト / アルバムタイトル Nicogi /

【BDレビュー】第345回『RWBY Volume 4』

画質:8 音質:6 (評価の詳細についてはこの記事を参

JPLAYの入門ガイドを作成しました

JPLAY日本語公式ページ →PCオーディオ入門者向け設定ガイド

月刊HiVi 2017年10月号に記事を執筆しました【おまけつき】

月刊HiVi 10月号 9/16発売 祝35周年・UHDブ

【ハイレゾ音源備忘録】Helge Lien Trio / Guzuguzu

おまえの新譜グズグズじゃねーか(歓喜) ・アーテ

【ハイレゾ音源備忘録】Tingvall Trio / Cirklar

・アーティスト / アルバムタイトル Tingvall

【ハイレゾ音源備忘録】Julian Lage / Arclight

・アーティスト / アルバムタイトル Julian La

【レビュー】DSP-Dorado 音質編

外観・導入編 設定・運用編 ・再生環境(詳細)

【UHD BDレビュー】第33回『ザ・コンサルタント / The Accountant』

画質:6 音質:8 (評価の詳細についてはこの記事を参

→もっと見る

PAGE TOP ↑