外観・導入編
設定・運用編
・再生環境(詳細)
fidata HFAS1-XS20
↓
DSP-Dorado(NH100経由/fidata直結)
↓
Nmode X-PM7
Dynaudio Sapphire
・音質所感
少なくとも現時点で私はDSP-DoradoをUSB DACとして認識するつもりはないので、試聴はあくまでもネットワークオーディオプレーヤーとして行った。
そして同じくガチのネットワークオーディオプレーヤーとして、LUMIN A1との比較は避け得ない状況だった。音質所感はそのつもりで読んでもらいたい。
また、直前にBricasti Design M1 SE mk2で強烈に感動してそれが耳に残っている、というかなり不利な状況だったことも付記しておく。
……第一印象は「寝起きが悪い」。
電源を入れて一晩寝かした後で聴いたらんーー? となったが、約三日放置した後で聴いたらウヒョーとなった。
発売直後で、試聴機自体のバーンインもあまり進んでいないというのもあるのだろう。
というわけで、ハブ(NH100)経由での真・第一印象は、「濃厚」。
まず低域に厚みがあり非常に安定感がある。太い。重い。沈む。それでいて輪郭は明瞭でありしっかりと見える。
情報量は非常に豊富であり濃密な空間が広がる。空間の広がり自体も優れている。
ピアノは引き締まりつつ輪郭が強調されることもなく、細部の細部に至るまでしっかりと響きが描かれ、聴いていて痛くない。これはお見事。
高音はそうでもないが中低音は粒が大きく、空間にみっちりと敷き詰められるイメージであり、分解能に比して見通しの良さはそれほどでもない。膨大な情報量を引き出しつつも、それを完璧に空間に展開できていないというか、そんなもどかしさも若干感じる。
そこでfidataとDSP-Doradoを直結して聴く。
過剰にみっちりとした感覚が軽減されるとともに、さらに情報量が増える。溌剌、快活、瑞々しい。そんな言葉が浮かぶ音だ。
やはりこうでなくては。
いつ頃からか個人的にSFORZATOのプレーヤーには生真面目なイメージを抱いていたのだが、実際はそうではなかった。ただ、いつぞや我が家で聴いたDSP-01の音を思い返すと蛇口全開生命力炸裂といった感じだったので、方向性としては変わっていないのか。
試聴機自体ほとんどおろしたてという状態なので、これからもっともっと音がほぐれていく可能性も大いにある。
曲がどのように展開しようとエネルギーに不安が一切なく、ダイナミックレンジが広大。微細な音の掘り起こしに優れるのはもちろんのこと、高音圧時にあっても分解能は落ちず、強大な音の奔流を多種多様な音の重なりとして明快に描写し得る。そして埋もれることなく耳に届く。
エネルギーの余裕は、激しい音調の曲ほど大きな表現力の違いとなって表れる。「TOTO / 35周年ライブ」や「鬼束ちひろ / Tiny Screams」といったライブアルバムでは圧巻の表現を聴かせる。一音一音のエネルギーの充実もさることながら、「場」の雰囲気が実に濃密に再現される。
それにしても、DSP-Doradoに限らずここんとこいろんなDACやら何やらを聴いて思うのだが、LUMIN A1ってこんなに薄かったっけ……?
ディテールの掘り起こしや微小領域の再現性だけでなく、重厚さやエネルギーの余裕も併せ持つというのは、昨今のデジタル再生機器にある程度共通する特徴なのかもしれない。SOULNOTE D-1なんかもまさにそうだった。
最後に、せっかくなのでと同時に借りていたマスタークロック、PMC-03を繋ぐ。
霧が……晴れる…………!!
これは耳に毒だ。
豊富な情報量そのままに音像がビシッと引き締まって細部の見通しが著しく向上し、あわせて立体感も強まる。
良くも悪くも付属クロックで聴いた時の溌剌とした印象や音が押し寄せてくる感覚は薄れ、総じてクールなイメージとなる。
間違いなくPMC-03を使った時の方がオーディオ的にはレベルの高い音なのだが、少なくとも私には素の状態のDSP-Doradoの音とは方向性がだいぶ違うと感じられ、絶対にこっちがいい! とは必ずしも言えない。
音の方向性的に、素の音とPMC-03を使った時の音のちょうど中間くらいが理想なんだがなあ。
Bricasti Design M1 SE mk2のおかげで(せいで)音質に感動するハードルが一気に高まっているという不利な状況下でありながら、DSP-Doradoは見事にそのクオリティを証明した。特にPMC-03と組み合わせた時の音は、文句なしで我が家で聴いた最高峰のひとつである。
canarino Fils改 + Bricasti M1で約180万。fidata HFAS1-XS20 + DSP-Dorado(オプション込み) + PMC-03も約180万。まさか我が家で、立て続けにこんな恐ろしいレベルの機器を聴く日がこようとは。
狭義のPCオーディオと狭義のネットワークオーディオの垣根が崩れて久しく、RoonやJPLAYをはじめとして再生ソフトがユーザビリティと再生品質の両面で進歩し続ける昨今、単体ネットワークオーディオプレーヤーという製品ジャンルが相対的にますます苦しい立場に立たされていることは、素直に認めなければなるまい。
それでもなお、SFORZATOが単体ネットワークオーディオプレーヤーの血統を絶やすことなく作り続け、さらに音質と機能の双方で存在感を示し続けていることが、「純粋なネットワークオーディオ」への憧憬を抱く身として、たまらなく嬉しいのである。
【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】
【レビュー】 視た・聴いた・使った・紹介した機器のまとめ 【インプレッション】
【Roon】関連記事まとめ
よくある質問と検索ワードへの回答
【レビュー】SFORZATO DSP-Dorado 音質編
スポンサーリンク