「ネットワークオーディオとは音楽再生におけるコントロールの方法論である」と言っているのも、「ネットワークオーディオの本質はコントロールである」と言っているのも、「ネットワークオーディオの実践に必ずしも単体プレーヤーは必要ではない」と言っているのも、「PCを使わないことがネットワークオーディオなのではない」と言っているのも、他ならぬ私自身である。

 『サーバー』・『プレーヤー』・『コントロール』の三要素から成り、さらにネットワークを用いて再生機器からコントロールを独立させているのがネットワークオーディオのシステムであり、スタイルである。
 単体ネットワークオーディオプレーヤーやNASの使用はネットワークオーディオの実践をそれ自体では意味せず、ネットワークオーディオをネットワークオーディオたらしめるものはあくまでもコントロールである。

 「コントロール」という要素からネットワークオーディオという認識の領域を押し広げた結果、再生ソフトとUSB DACを用いるいわゆるPCオーディオのシステムも、サーバーとプレーヤーの機能を併せ持つミュージックサーバーを用いるシステムも、等しくネットワークオーディオの文脈で捉え、扱い、理解し、楽しめるようになった。

 これらの認識は揺るぎない。


 しかし。

 しかしだ。


 それでもなお、「単体サーバーと単体ネットワークオーディオプレーヤーを個別に用意するシステム」への思い入れが完全に消えたわけではない。

 これはつまるところ、以下の二つのシステムのことである。
 「サーバー」にNASを用いるか、オーディオ用に作られた単体サーバーを用いるか、サーバーソフトを入れたPCを用いるかは今となっては同じものと扱っていいだろう。

【ネットワークオーディオTips】全体の流れ――音源の管理運用・システムの構築・実際の音楽再生

ネットワークオーディオ虎の巻07

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 なんでこのシステムに心惹かれるのかは、結局のところ、私が出会った初めてのネットワークオーディオの姿であり、すべての思考の原点だからなのだろう。
 初めてLINN DSを体験した時の衝撃はあまりにも大きかった。

 だからこそ、USB DACとネットワークオーディオプレーヤーをどちらか選べと言われれば、後者を選びたいという想いが勝る。市場動向という名の現実に負けてUSB DACを選ぶことになるとしても、その想いは残る。
 もはや使う機器に関わらず「同じことができる」ことはわかりきっているのに、DELAやfidataを純粋にサーバーとして使って、LINN KLIMAX DSやSFORZATO DSP-01をプレーヤーに使いたいと思ってしまうのである。USB出力搭載のネットワークオーディオトランスポートは……アリだな。

 ちなみにUSBとLANではどちらが高音質とか、やっぱりPCでは駄目だとか、そういう話をしたいのではない。
 もっともっともっともっと単純で原始的な、それこそ理由もへったくれもなく都会より田舎の方が好きだとか、そういう次元の話である。


 時に私は自身を指して「ネットワークオーディオ原理主義者」なんて呼ぶ。
 その時は「ネットワークオーディオのコントロールは手元の端末でやるもんだからプレーヤーにディスプレイなんて要らん!」とか、「音源管理は結局PCでやった方がずっと便利なんだからオーディオ機器の側にそんな機能は要らん!」とか、そんなことを言いたい時である。

 が、それとは別に、コントロールだけでなく機器間の音声データのやり取りまで文字通り「ネットワーク」の枠内で完結する、いわば「純粋なネットワークオーディオ」への憧憬が、今も私の中に焼き付いて消えない。
 はたしてこのようなシステムを「純粋」と表現するのが妥当かどうかはわからないが、逆にこれ以外の言葉も思いつかない。


 とはいえ、私がネットワークオーディオを通じてユーザーに体験してもらいたいもの、それはひとえに「居ながらにしてすべてを見、すべてを操ることで得られる、音楽再生における筆舌に尽くしがたい快適さ」である。
 ネットワークオーディオとは特定の再生機器に限定されるものではない。私の個人的なシステム嗜好などどうでもいいのだ。

 オーディオ機器ベース・PCベース問わずミュージックサーバーが興隆し、再生ソフトはますます進化し、Roonだって登場した。
 ネットワークオーディオを実践する環境はソフトとハードの両面でかつてないほど整い、一年前と比べてもますますいい時代になった。

 体験して、味わってもらうことを願ってやまない。



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