【レビュー】Bricasti Design M1 Special Edition mk2 音質編

外観・運用編

ネットワーク編
 
 
 
・再生環境詳細

canarino Fils + JPLAY/JPLAYStreamer 700Hz/0.01sec

Bricasti Design M1 Special Edition mk2(純粋にDACとして)

Nmode X-PM7
Dynaudio Sapphire

 PCMのフィルターはMinimum0、DSDのフィルターは2で聴いた。
 
 
 
・音質所感

 まず一言。

 圧倒的に良い
 
 
 M1との出会いはオーディオアクセサリー誌166号の取材。LUMIN U1と組み合わせるUSB DACとしてだった。
 そこで聴いた音があんまりにも素晴らしくて、Bricasti Design M1 Special Edition mk2おそるべし! となり、是非ブログに単独で書きたいとなって今に至る。LUMIN U1と組み合わせた時のインプレやら何やらは紙面に書いているので、買おう!(ダイレクトマーケティング)

 さて。

 M1を聴いて最も感激したのは、ダイナミックレンジの圧巻の広さである。
 曲の展開に応じてとにかく音が伸びる。伸びる。伸びる。いつもならこの辺が天井かなというところになってもまだ伸びる。天井をぶち破ってさらに伸びる。伸びていく。かつてないほど鮮やかに、生き生きと、輝かしく音楽が鳴っている。
 底抜けかつ天井知らずのエネルギーが音楽に注ぎこまれ、それでいてまったく飽和しない。狂喜乱舞する音の奔流の中でも音像はブレず、滲まず、分解能も極めて高度に保たれる。曲の展開により音数が増え音圧が猛烈に高まった状態、他の機器では分解能が追随せず混濁してしまうような局面にあっても、個々の音が明晰に解きほぐれている。その結果、聴いたことのない(あるいは意識できなかった)音楽の襞を様々な曲のあちらこちらに、幾重にも見出すこととなった。素晴らしい情報量と言うべきである。
 ぐいっと音量を上げた状態で、「レスピーギ:ローマの松」は私の部屋史上最高の充実感と明晰さを両立して鳴り響いた。そして「toe / songs, ideas we forgot / Leave word」の1:30の一撃の鮮烈さたるや! また、往々にして音圧が高止まりして「うるせえ!」に陥ってる曲……例えばアニソンとか……であっても、強力に音を解きほぐして立体感を醸成してみせた。R&BとかEDMとか、その辺の中低音がビシバシ飛んでくるジャンルとの相性の良さも言わずもがな。

 帯域バランスとエネルギーバランスは共に上から下までフラット。
 ただしこれは機器の側で何かしらの演出が行われていないという意味で、音楽の表情が平坦に塗り潰されることを決して意味するものではない。
 音楽の熱は既に音源に入っているのであり、M1は底知れないエネルギーをもってその熱を再現して解き放つ、ただそれだけ。この辺の性格はSOULNOTE D-1と似たものを感じる。

 私の中で恒例となっている「CHRONO CROSS ~時の傷痕~」による分解能チャレンジでは、Chord DAVEにも匹敵する強烈な性能を示した。
 音場はM1の方が明らかに上にも下にも横にも奥にも広く、さらに高音圧下においての優位性もあり、「情報として意識される音の数」ではM1がDAVEを上回る。
 ただし、DAVEを聴いた時はまだcanarino Filsを導入しておらず、当時と今とでは「DAC以前」の部分で大きな差があり、DAVEにとってだいぶ不利な比較となっていることも併記しておく。

 ダイナミックレンジは上だけでなく下にも広く、一様に音楽を派手にするなんてことはせずに、音の消え際の揺らぎまで大切に再現する。「Helge Lien Trio / Natsukashii」のように繊細さと静寂感が肝になる曲や、「Radka Toneff / Fairy Tales / The Moon Is a Harsh Mistress」のようにシンプルなピアノ&ボーカルの曲の表現力も卓越している。

 オーディオ機器/DACとして高度な性能を持っていることは疑いようがない一方で、その性能をやたらに誇示するようないやらしさ、押しつけがましさ、違和感、冷たさは感じられない。それでいてオーディオ的快楽も十分すぎるほど味わえる。
 持てる性能のすべてが音楽を聴いた時の「あぁーーーーーーーいい音だなあ」という実感に結実している。見事というほかあるまい。

 32bitがどうしたとかDSD256がこうしたとか、その辺のうんたらかんたらは音を聴けば吹っ飛ぶ。聴いた途端に吹っ飛ぶ。

 最後に一言。

 圧倒的に良い
 
 

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