画質:11
音質:11
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:AVC
音声:Dolby Atmos トップスピーカーの活用:大 オブジェクト効果:中


○画質
 wikiによれば、「全編4K撮影およびポスプロ・フィニッシング」とのことで、実際の画もそのスペックに恥じない凄まじい切れ味を見せる。彩度を欲張らない色調に強烈なコントラストが合わさった非常に硬質な画である一方、高輝度方向にも低輝度方向にもダイナミックレンジは広く、白潰れ・黒潰れを起こしそうなぎりぎりの諧調の中にもしっかりとディテールや色味が残っている。私は邦画をあまり見ることがないので「邦画にしては」なんてことは言えないにしても、昨今の超高画質タイトル群と比べ得る立派な仕上がりであることは間違いない。
 が、良いシーンは実に素晴らしい画を見せるものの、総じて暗いシーンになると解像感が一気に減退し、さらにノイズまで現れる場合があるなど、完璧とは言い難い。色調といい、広大なコントラスト&ダイナミックレンジといい、BD版で暗部が荒れる様といい、『エクソダス:神と王』の画を思い出した。

○見どころ
 東京舟巡り


○音質
 wikiによれば「邦画初のドルビーアトモス音声上映」とのことで、BDにもきちんとDolby Atmos収録。素晴らしい。しかし、Dolby Atmosであることは良い音であることの証明にはならない
 で、実際の音はというと、劇場版二作目からの映画音響の質的変化を見事に反映した隙のない仕上がりとなっている。強烈な低音や容赦のない銃声などはアニメ劇場版の時代にはなかったもので(『AKIRA』のような突然変異はあったが)、音で認識される火砲の威力は時代の変化をじゅうぶんに感じさせるものだ。東京上空を我が物顔で飛び回るヘリの飛行音もまた、複数のスピーカーの活用を前提とした精密な移動感が実現されている。
 トップスピーカーは主としてヘリに関する音が徹底的に割り振られているほか、面白い試みとして「声」での活用がされている。具体的には、無線通信の音声など、「画面に直接の話者が映っていない」場合の声がトップスピーカーに割り振られており、独特の緊張感を醸成している。また、劇場版二作目そのまんまの「東京舟巡りをしつつキャラクターのダイアローグが流れる」場面において、二人の声は露骨に天井から降り注ぐようになっている。映像演出や劇伴とも相まって、非常に記憶に残るシーンと言える。
 これらのトップスピーカーへの声の割り当ては終始徹底されており、活用のレベルはイマイチ声で何がしたかったのか不明瞭な『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を上回る。

○聴きどころ
 東京舟巡り
 ヘリ全般


○総評
 画も音も素晴らしい。もっとも、『イノセンス』の前例があるので想定内とも言える。
 話は……実質的に劇場版二作目を実写で撮り直したってだけなんじゃ



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DMP-UB90

・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC

・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire(フロント)
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2



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