日本のネットワークオーディオシーンで、これほどまでに「サーバーソフト」という単語が飛び交ったことが今まであっただろうか。
 いや、な…………ある?


 あちらこちらから聞こえてくる、QNAPのファームウェアをアップデートするとTwonky Serverが使えなくなる、というおはなし。
 LUMIN L1とcanarino Filsがあるおかげで、何らかの検証の機会を除きQNAP TS-119は普段押入れの住人になっており、今回の騒動にも乗り遅れてしまった。

 前述の通りQNAPのNASがシステムから外れているため私個人としては特段影響はないのだが、QNAPのNASをオーディオ用サーバーとして運用している人にとっては大問題だろう。また、ネットワークオーディオの歴史的展開から考えてもなかなかに大きな事件である。

 というわけで、実際のところはどうなのか、遅まきながら話題に便乗する。



【2017/02/03追記】

 現状わかっていることはあくまで「QNAPからのTwonky Serverの提供が終了した」ということだけの模様。

 現時点でTwonky Serverを使えているなら(使っているQNAP製品にTwonky Serverがインストールされているなら)、そのまま使うことが可能
 無闇なアップデートはしないに越したことはない。

【追記おわり】



 押入れから引っ張り出してきたTS-119のバージョンは4.2.2。


 毎度おなじみTwonky Serverの姿もちゃんとある。


 細かいことは抜きにしてアップデートしてしまおう。


 そしてバージョン4.2.3。


 む、トンキーがまだある。
 アイコンは変わっているけれども。


 普通にプレーヤーと組み合わせて使えることも確認した。
 とりあえず、バージョン4.2.3ではまだTwonky Serverが使えるようだ。→追記参照
 念のためバージョン4.2.3のファームウェアをダウンロードして持っておくといいのかもしれない。

 機種やシステムによっては先行してバージョン4.3(現時点ではまだベータ)になり、Twonky Serverが消え去るという寸法か?
 →追記参照


 トンキーとの縁切りに動いたQNAPの内部事情は知る由もないが、そもそもQNAPはオーディオ用途のためだけにNASを作っているわけではなく、Twonky ServerもQNAPの中で動く一アプリに過ぎない。オーディオユーザーとして残念がることはできても、QNAPを批判することはできない。

 ちなみにTwonky Serverの現行バージョンである8.○○は既にQNAPのダウンロードセンターから姿を消しており、特定機種でのみ使えるDTCPバージョンが残るだけとなっている。





 ネットワークオーディオはTwonky Serverと共に歩いてきたと言っても過言ではない。
 LINN DS登場後、オーディオ用途に供し得るNASとしてQNAPが見出された時、QNAP製品にサーバーソフトとして採用されていたことで、Twonky Serverはオーディオ用サーバーソフトの事実上の標準となった。

 Twonky ServerはWAVのタグを滅茶苦茶に扱ってアルバムの曲順が崩壊したり、アルバムアートが汚くなる持病を抱えていたり、なにかと問題も多いサーバーソフトだった。しかし今思えば、音源フォーマットの対応やナビゲーションツリーなど、必要な機能を過不足なく備えたサーバーソフトであることも間違いない。WMPをDLNAサーバーにしましょう、なんて恐ろしい展開が広がるよりは百億倍良かった。
 私もTwonky Serverのおかげで随分と勉強することができた。canarino Filsをサーバーとして運用する際もTwonky Serverがメインに使っているくらい、使い慣れているし思い入れもある。

 ただまぁ、QNAPで使えなくなってしまうというならそのことに文句ばかり言っていても仕方がないので、次なる策を考えるしかない。



 一応、結構前から、QNAPにはTwonky Server以外にも自前のDLNAサーバー機能が備わっている。
 コレ。


 かつて試しに使った際はあまりの駄目さ加減に「検証にすら値しない」と判断して意識から削ぎ落としたのだが、こういう展開になってしまったからには仕方がない。
 QNAPとて改善もせず放置しているわけではないだろうし、事情が事情なので検証することにした。


 まずは有効にして、初期状態のまま使ってみる。


 えぇ……



 設定、設定……




 とりあえず。


 最低限の項目は揃った。


 ナビゲーションツリーはジャンル/アーティスト/アルバム。
 頑張ってネットからアーティストの画像を引っ張ってくる系のようだ。



 それにしても動作が重い。重すぎる。まるで苦行である。
 今となってはスペックが心許ないTS-119を使っているせいだろうか? しかしTwonky ServerもAsset UPnPもMinimServerもまともに動くぞ。


 …………


 ………………


 ……………………


 ※本来の姿(拡大推奨)



 駄目だろこんなもん。
 何が悲しくてこんなのを使わなければならんのだ。



 (いずれ)QNAPでTwonky Serverが使えなくなる可能性がある。
 そしてQNAP自身のDLNAサーバーは現時点では地獄。


 QNAP側からなんらかの方針が示されるのを待ってもいいが、素直にAsset UPnPMinimServerKazoo Serverのいずれかを後釜に据えるという手もある。Kazoo Serverを含め、いずれもQNAPで使用可能。

参考:QNAP TS-119でKazoo Serverを使う


 ただ、乗り換えにあたって問題がないわけではない。

 Asset UPnPはDSD対応といったフル機能を使おうと思えば有料だし小難しいし、MinimServerは設定のためにQNAPとは別にPCのMinimWatchが必要になるし小難しいし、Kazoo ServerはコントロールアプリもKazooを使わなければ真価を発揮しないしWAVを音源として完全に無視しているし……

 ん?
 Twonky Serverって実は物凄く優秀なサーバーソフトだったのでは?



 とにかく、QNAPでTwonky Serverが使えなくなったとしても、道はまだある。

 この際、他にどんなサーバーソフトがあるのかアレコレ物色してみるのもよいだろう。
 もしかしたら、Twonky Serverに抱いていた不満が解消されるなんてこともあるかもしれない。
 特にAsset UPnPは凄いぞ。お試しあれ。



サーバーソフトとナビゲーションツリー


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