HFS1000 – JS PC Audio
【レビュー】JS PC Audio NH100
【魔境】ハブで音は変わるか?
【魔境】ハブで音は変わるか? 完結編
魔境注意。
私には某氏の記事のように「ハブで音が変わるのはもはや常識」などと言う勇気はない。
魔境。
たとえ「ハブで音が変わる」という実感を得たとしても、それをもって「ハブで音が変わるからにはオーディオ用のハブを使わねばならぬ」などと煽るつもりはない。
「そんなことを気にする前にやることがある」というのが私の立場である。
もし、ネットワークオーディオの本懐を得るために必要な事柄をすべてこなし、システムの構築やセッティングで一通りのことをやって他にすることがなくなったのなら、試しに手を出してみるのもいい。ファイル再生の基礎基本となる音源管理はめちゃくちゃ、音楽再生の基礎基本となるスピーカーのセッティングもめちゃくちゃ、例えばそんな状況で「ハブで音が変わる!」なんて息巻いたところで、気にする順番がおかしいとしか言いようがない。
わざわざデモ機を送ってくれたメーカーには申し訳ないのだが、これが偽らざる私の立ち位置である。
というわけで、JS PC Audio HFS1000。
私の愛機NH100が発売から三カ月そこそこであっという間に販売終了してしまい、凄まじい勢いで代替わりしたモデルである。
DELAやfidataから次世代機あるいは上位機が登場し、「オーディオ用サーバーが製品ジャンルとして市場に受けれられたのだなあ」などとしみじみしている間に、「オーディオ用スイッチングハブ」が既に第三世代になっているという凄まじい世界である。しかもNH100のギガビット仕様よりも安くなっている……
基本的に使っている箱が同じなのでHFS1000とNH100の外見には間違い探し程度の違いしかないが、それでも違いはある。(電源LEDは有無を選べるので問題ではない)
まず、製品ページで「※ 2017年4月中旬出荷分より天板パネルの固定に小変更を加えております」とある通り、天板の真ん中にビスが追加されている。事実上のマイナーチェンジバージョンと言える。
このビスによって内部でどのような構造の変化があったのかはわからない。ただしひとつだけわかるのは、NH100(つまり以前のモデル)に比べて明らかに剛性が増したということ。NH100では叩けばペコペコ鳴いていた天板がHFS1000では鳴かない。だからどうしたと言われればアレだが、筐体の強化はオーディオ機器の大きなテーマである。これが最終的な出音に影響を及ぼしても不思議ではない。
背面はまぁ誤差の範疇。
なお、本機はオプションで銅板シールドを追加できるのだが、試聴機の仕様は不明。
たぶん追加してるんじゃないか。
で、音。
NH100と比べた、HFS1000の音。
…………
……
たしかに、良くなっている。
少なくとも悪くはなっていないし、同じ音でもない。
NH100の音が100なら、HFS1000はとりあえず101はあるかな。
「みゆはん / 自己スキーマ / ぼくのフレンド」のアレな音空間(察して)の中から、ボーカルに微かに重なるエコーめいたコーラスの存在を際立たせるくらいの効果はある。
かつて単純に必要に駆られて使っていたギガビットハブとNH100を比べた時は魔境の深みに恐れおののくレベルの差を感じたものだが、さすがに今回の比較ではそこまでの違いはなかった。
とはいえ、確かに違いはあるのだ。特定の要素が良くなるというよりも、全体的な底上げの方向で。
私は伊達と酔狂と理性のせめぎあいの果てに導入したNH100をもって、「これ以上ハブは気にしない」ことにしている。そして、NH100とHFS1000の差に再投資するかと言われれば答えは「否」である。しかし、これは既に私がNH100を使っているからこう思うのであって、Wi-Fiルーター直繋ぎやその辺で何気なく使われているハブと比べれば、HFS1000の価値は確かにある。
「オーディオ用スイッチングハブ」という製品ジャンルが存在し、モデルチェンジを続けて磨きをかけていっているという事実に、一人のオーディオファイルとして畏敬の念を抱かずにはいられない。
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