【レビュー】Aurender N10 外観・導入編
【レビュー】Aurender N10 運用編 ←専用アプリについてはこちらを参照
【レビュー】Aurender N10 音質編


 Aurenderのエントリークラスに相当するモデルにはX100Lという製品も用意されているが、N100Hはその後に出てきたモデルである。
 多くの人にとって必要十分であろう2TBという容量やリニア電源の搭載など、エントリーモデルとしてよりシンプルかつ上手にツボをおさえた仕様となっている。



【外観・運用】



 Aurenderの製品哲学はエントリーモデルであるN100Hでも徹底されている。
 イメージ的には「ハーフサイズになったN10」であり、分厚い金属の鎧を纏ってかたくてごつくてずっしり、モノとしての安っぽさは皆無。


 デジタル出力はUSB単独となっている。
 この御時世、エントリーモデルとして真っ当な判断である。


 ディスプレイは一つだけになり、結果的に情報表示の密度が増しているが、視認性は依然として良好。



 専用のコントロールアプリ「Aurender Conductor」はN10と同様にスムーズに動く。
 同一ネットワーク内に複数のAurender製品があれば、アプリの側で操作する機器を選択する。



 N100Hは搭載するSSDの容量がN10の半分の120GBになっているものの、操作や音楽再生のレスポンスにおいて何かしらの劣化を感じることはなかった。
 音楽再生時はN10と同様、プレイリスト(キュー)に曲を放り込んだ時点でHDDからSSDにキャッシュが始まり、気付いた時には無音となっている。



【音質】



・再生環境詳細

Aurender N100H

OPPO Sonica DAC

Nmode X-PM7
Dynaudio Sapphire



・聴いた曲

いつもの



・音質所感

 N10との比較が念頭にある。

 N10の美点を正しく継承する「Aurender」の音と言うべきで、音楽に積極性を付加する陽性の音は健在。
 しかし、オーディオ的な諸性能――情報量・解像感、くわえて静寂感や空気感の表現では価格なりにN10とは差がある。結果的にメリハリのきいた「陽性の音」――Aurenderならではの色はN10よりも濃く感じる。オーディオ機器は価格が上がれば上がるほど、基礎性能の上昇と共に音色的には無色透明清廉潔白になっていく傾向がある(ように感じる)ので、N10とN100Hの関係もこれに沿って理解できる。

 ただしなんでも明るく楽しく聴かせてはいおしまい、という短絡的かつ特徴的なだけの代物ではなく、ネットワークオーディオトランスポートとして相応の実力は持っている。滲みやノイズ感の無さ、空間の広がりなど、普通のPCをそのままUSB DACに繋いだのでは到底出せないレベルにある。USB DACとの接続にあえて「PCを使わない」という選択をした甲斐があった、と思えるほどには。

 機能・音質・価格面で直接的な競合は再びDELAのN1ZHかfidata(通常モデル)ということになろうが、やはりどれを選んだところで後悔はするまい。
 ただ、ミュージックサーバーとしては基本的に汎用アプリで操作することになるDELAとfidataとは異なり(fidataは専用アプリを作っているようだが)、Aurenderはコントロールアプリも含めて自社で完結している。そのため、実際にAurender製品を触ってみないことにはアプリを試すこともできず、その人にとって感触が合うか否かがわからない。
 というわけで、導入に際しては、とにかく一度触ってみることをおすすめする。ネットワークオーディオは触ってナンボ、実際に使ってナンボだ。



 上位機種に当たるN10の価格は999,000円。
 それに対してN100Hの価格は421,200円。

 価格だけを見れば半額以下だが、N100Hはミュージックサーバーとして、Aurender製品としてのエッセンスを何ひとつ取りこぼしてはおらず、製品価値まで半分以下なんてことには絶対にならない。
 音質はホレ、当然ながら良いものは高い、ということである。


 N10にせよ、N100Hにせよ、Aurender製品を導入すれば、その時点で「DAC以前」は終わる。
 「サーバーソフトは何を使うべきか」とか「使いやすコントロールアプリは何か」とか、その辺のことをいちいち考える必要がないのである。
 「これ以上気にしなくていい」、なんと素晴らしいことか。

 それでも気になるとしたら、あとは音質面だけだろう。
 そしてその場合でも、現状で享受している音楽体験を一切損なうことなく上位機種への道が用意されているのだから、ユーザーにとってこんなに喜ばしいことはあるまい。



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