別に無理して「プレーヤー」にしなくても……

 NetAudio vol.24を読んでいると、とあるメーカーの非常に気合いの入ったDACの紹介記事の中に、興味深い記述があった。
 かいつまんでまとめるとこんなことが書いてある。

(DAC搭載型の)ネットワークオーディオプレーヤーは便利だが、新たな伝送形式やファイル形式に対応させていくのは困難。よって、現時点でネットワークオーディオプレーヤーを製品化しても、ソフトウェアの更新だけで長い製品寿命を持たせられるかは甚だ疑問である。
ただしDACを積まず「プレーヤー」の機能のみを備えた機器(このメーカーは「ネットワーク・ブリッジ」と呼称しているが、要はネットワークオーディオトランスポートのこと)が存在しているので、再生機能をそちらに任せれば、単体DACの製品寿命は大きく伸びる。


 例えばSFORZATOのように、プラットフォーム化によってその困難を可能にしているメーカーもあるので、「作る前からそんなこと言ってもなあ」と思わなくもない。それならばネットワークブリッジを自前で作るかというと、その様子もないし。

 とはいえ、現にリリースされているネットワークオーディオプレーヤーの大勢――新たな伝送形式やファイル形式への対応どころか、そもそもまともな音楽再生機器とはとても呼べない――を見る限り、実際に困難であることは否定できないのだろう。
 JRiver Media Center/JRemoteもJPLAYStreamer/Kazoo/BubbleUPnPもRoonも存在する現状で、まともなユーザビリティも担保できないまま「無理してプレーヤーにした」ところで、誰も得をしない。

 さらに、国産製品に多い「USB DACとしてもネットワークオーディオプレーヤーとしても使えます」という製品を作ったとしても、USB入力とネットワーク入力で対応フォーマットに明らかな差――大抵ネットワークの方がしょぼい――がある場合、本当に「どちらも使える」ことが製品価値の向上に繋がるかは甚だ疑問である。OPPO Sonica DACのように、(→/(^o^)\)USBとネットワークで同等のスペックを実現できないのなら、「ユーザーにより多くの選択肢を与える」なんて言ったところで、実際は使い方に制限をかけているに等しい。


 以上のことから、「プレーヤー」に関するリソースがないのなら、潔くそこは他所に任せて、自らはひたすら高品質な単体DACを作ろうという姿勢は理に適っている。
 あれもこれもと欲張った挙句要領を得ない製品を出されるくらいなら、あくまでも得意分野で存分に強みを発揮してもらった方が、オーディオファンとしても満足なのである。



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