画質:10
音質:9
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:AVC
音声:DTS-HD Master Audio 7.1ch


○画質
 単なるノスタルジーの表出ではなく現代に通用する基礎体力を備えた盤石のフィルム画質。解像感も情報量もばっちり、切れ味鋭いながらも決して硬質に転ばずしとやかな質感を残すあたりは、やはりフィルムならではと言える。とはいえ『イミテーション・ゲーム』『鑑定士と顔のない依頼人』のような、最先端のデジタル撮影に伍するほどの隔絶した画とまではいかない。
 アメリカにおける画は色がしっかり乗ってコントラストが高く、デジタルとは異なる重厚さが見もの。冷戦下のベルリンにおける陰鬱で怜悧な質感は『善き人のためのソナタ』の画を思わせる。
 いかにもヤヌス・カミンスキーな光が溢れる様は相変わらず美しい。

○見どころ
 法廷
 

○音質
 全編通じてサラウンド感は極小。7.1chというスペックが例外的に活躍するのはスパイ飛行を行っていた偵察機が撃墜されるシーン。特に何かが爆発するわけでもない展開の中で鬱憤を晴らすかのように荒々しく音が咆え猛り、脱出を選ばざるを得なかったパイロットの心境を否応なく追体験させ得る素晴らしいものとなっている。
 それ以外はひたすら物静かな展開であり、会話劇が続く。幸いにして本作のダイアローグはじゅうぶんに高品位であり、登場人物の心情の襞を感じさせるに足る。やはり白眉はドノヴァンとアベルの対話であり、淡々とした口調に滲む二人の強固な意志を聴き取ることができる。
 ただ、音楽や効果音の使い方に関しては、スピルバーグ映画としてはイマイチ印象に残らなかった。

○聴きどころ
 Will it help?


○総評
 作品としてもソフトとしてもさすがの完成度。『イミテーション・ゲーム』や『善き人のためのソナタ』と一緒に並べておきたくなる。
 ヤヌス・カミンスキーならではの光が溢れる映像表現って、HDRになるといったいどうなるんだろう?



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
OPPO BDP-103

・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC

・音響(センターレス6.1ch)
Pioneer SC-LX85
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122
Dynaudio Audience52
ECLIPSE TD316SWMK2



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