善いものがあれば、悪いものもある。
 目を逸らすわけにはいかない。

 なお、この記事の各項目の数字は便宜的につけたものであって、順位ではない。
 また、“がっかり”なのはあくまで“BDとしてのクオリティ”に対してであって、決して作品の価値そのものを貶める意図があるわけではないので、その辺りは了解していただきたい。
 むしろ、“作品の価値を認めるからこそ、ふざけた仕様のBDでリリースされたことにがっかりしている”と思っていただければありがたい。



『ドリームガールズ』

 HD DVDとの規格争いの渦中でリリースされた悲劇のソフト。
 詳細はリンク先のレビューにて。



②『ダークシティ』 日本盤

 『ダークシティ』は私の“ベストオブベスト”映画である。
 そんな作品がようやく日本でも発売されると聞いて、私は小躍りして喜んだ。
 ところが、蓋を開けてみたら、ディレクターズ・カット版と聞いていたのに劇場公開版しか収録していないではないか。しかもその情報が出されたのは発売後
 挙句の果てに、画質も音質も北米盤(発売はずっと前)に比べて大幅劣化という全方位的な駄目っぷり。
 さすがの私も怒り心頭でワーナーにどういうことかと電話をかけたのだが(こんな真似をしたのは後にも先にもこの一回のみ)、「すみません。でも何もしません」という対応に絶望し、考えることをやめた。
 チューンで記憶を消してほしい。



『七人の侍』 東宝盤

“マニアの思想”で生まれたBlu-ray版「七人の侍」
-東宝・黒澤映画BD化を支える「FORS system」


 この記事を読んだ時から、なんだか嫌な予感がしていた。
 御影石? は?
 当時のAV雑誌等でもえらく褒められていた記憶はあるが、実際に発売されたBDを見ても、「こんなもんか」としか思わなかった。
 この東宝盤しか知らなければ、それ以上何も思うことはなかっただろう。
 しかし、クライテリオン盤を輸入してしまった。そして、そこに収録されていたのは、“FORSとかいうシステムを使ってAV的にこだわって作られて評論家にも大好評だった東宝盤”が悪い冗談にしか思えなくなるほどに素晴らしい映像だったのである。
 これ以上は何も言うまい。



④『KICK-ASS』 日本盤

 日本盤と海外盤で、BDの映像や音声の仕様が違うということは往々にしてある。そしてその場合、日本盤がスペックやクオリティ的に不利になることが多い。
 BDの黎明期では日本盤と海外盤の乖離が多く見られたのだが、時が経つにつれてそのようなことはだいぶ少なくなっていったように思う。
 ところがこの『KICK-ASS』の日本盤は、悪い意味で我々の度肝を抜いてくれた。
 5985円、一層、そして音声はロッシーのみ!
 ちなみに北米盤はDTS-HD Master Audio 7.1chである。
 我々を爆笑の渦に叩き込んでくれたこの日本盤は、発売前に申し訳程度の仕様変更があったものの、2011年においても日本のソフト会社のレベルがいかに低いままかを強烈に印象付けてくれた画期的なソフトとなった。



『超時空要塞マクロス ~愛・おぼえていますか~』

 詳細はリンク先のレビューにて。
 それにしても、なぜ日本は製作側の「BD化ではこんな風に頑張りました!」という部分ばかりをクローズアップするのだろうか。
 最終的な画質音質が酷ければ、そんなものには何の意味もない。
 馬鹿にするのも大概にしろと言いたい。



『風の谷のナウシカ』

 かっこつけて大口叩いた割に全然大したことなく、実際に見る側の満足度など考えず、ひたすら製作側の自己満足に終わっただけという印象。
 ただし、ジブリ作品に関しては、ラピュタ以降のBD化はどれも盤石な出来であることも付け加えておきたい。



『ブラックホーク・ダウン』

 なぜ……



⑧日本のAV業界(特にメディア)

 BDにハマり、AV“業界”というものを意識するようになった時から、なんだかこの業界はおかしいぞ、と思うようになった。
 BDとHD DVDが規格争いをしていた時も、どっちつかずの煮え切らない反応を示し続け、HD DVDに引っ張られてBDの仕様まで悪化するような事態に対しても何も言わない様を見て、「あ、この業界は“批判する”という機能を持ってないんだな」と思った。金をもらって記事を書いているのだから当然と言えば当然なのかもしれないが。
 別にBDに限ったわけではなく、言いたいことは腐るほどあるが、これ以上は何も言うまい。



⑨高解像度で作られていなかったアニメ作品

 BD時代になって初めて気付いたことでもある。
 非常に素晴らしい作品であっても、実はSDで作ってました、なんてことが知れた時のがっかり感は筆舌にしがたい。勿論、BDにすれば潤沢なビットレートを使ってDVDでは避けられなかった圧縮ノイズから解放されたり、最大限気を使ってアプコン収録するということもできる。
 しかし、残念なことに、アプコンはどこまでいっても所詮アプコンでしかないのである。
 今でも3DCGの解像度が足りていなかったり、作画素材の解像度が足りていなかったりということが散見されるが、4K時代のアニメはいったいどうなるのだろう。



⑩バンダイビジュアルという企業そのもの

 恥を知れ。




BDレビュー総まとめ