米国でCD/レコードの売上げがダウンロード販売を上回る – やじまPC Watch

 アメリカレコード協会(RIAA)は22日(米国時間)、2017年度の音楽業界の統計情報を発表。CDやレコードを含む物理メディアによる楽曲の販売額が、ダウンロード販売を上回ったことを明らかにした。おもな要因は、ストリーミングによる楽曲配信が急激に普及しており、ダウンロード販売にとってかわったこととされる。

物理メディアについてはCDとLP/EP、ミュージックビデオ、その他の物理メディアとあるなかで、CDは2017年度販売額が前年対比で6.7%減少し、LP/EPは逆に9.3%増加している点も特徴的だ。ただし、全体としては前年対比で3.7%の減少であり、漸減傾向であることに変わりはない。


 RIAAのレポートを見てのとおり、これは「物理メディアの売り上げが増えた」結果の話ではない。あくまでも「ダウンロード販売の売り上げが激減した」結果であって、物理メディアの販売額も減少しているのである。レコードが伸びていると言っても、市場規模的にはCDの下落をカバーしきれてはいない。ただ、前年から3.7%の減で済んでいる、というのが少々意外ではある。
 あと、既にアメリカではLP/EPの売り上げがCDの約37%になっているということは驚きだ。もし「どちらもメインの音楽メディアとしての役目を終えている」のだとしたら、CDよりも趣味性の高いレコードの需要が伸びる、ということなのか。

 ダウンロード販売の売り上げは2016年から24.7%の減。一方のストリーミングサービスは43.0%も増えている。
 ストリーミングサービスの伸び幅はダウンロード販売の下がり幅を遥かに上回っている。「ダウンロードしてまで聴かなくていいや」という層にまでストリーミングサービスは音楽を届けており、その勢いをもってアメリカの音楽市場は成長している。

 今後ダウンロード販売はどうなるのだろう。
 「手軽に聴きたい」という層がことごとくストリーミングサービスに移行する流れは止まりそうもない。
 しかし、売る側が「儲からないからもうDL販売サイトなんてやってらんねー!」となり、「スタジオマスター」を含むいわゆる「ハイレゾ音源」を手に入れる術がなくなるという事態は勘弁してほしい。TIDAL MastersやQobuzの頑張りにだって限界はあるだろう。

 レコード市場が残っているように、なんとか「ハイレゾ音源をダウンロード販売する文化」も(少なくともある時点までは)残ってほしいものだ。


「自分の音源ライブラリ」の未来



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