画質:10
音質:10
(評価の詳細についてはこの記事を参照)
映像:AVC
音声:ドルビーTRUEHD 5.1ch 24bit
○画質
穏やかな絵本めいた背景美術と、壮絶なキレと滑らかさを両立した作画(キャラクターの描線)の併せ技。特に後者は『君の名は。』という完成形を知ったうえでなお、限りなくそれに近いと思える素晴らしい仕上がり。いかにも沖浦啓之監督らしい、感情と共に表出するリアルな顔の骨格描写も冴え渡る。
キャラは滑らかな描線のおかげで背景とよく馴染み、背景美術は必ずしもディテール志向ではないにせよ素晴らしい解像感のおかげで、情報の欠落を感じさせない完璧な姿を示す。
大平晋也による妖怪大集結のシーンは「雨が降る暗い背景の中を大量の小さな物体がもぞもぞと蠢く」という、映像圧縮にとって激烈に難しいシーンのはずだが、そこも含めて圧縮の不備を感じることはなかった。
総じて極めて高い水準に仕上がった画質ながら、淡い色使いや牧歌的な背景美術が支配的でパッと見のインパクトには欠けるため、玄人向けの画と言える。
○見どころ
作画
妖怪大集結
○音質
ダイアローグは明瞭、かつ肥大せず自然な印象を終始保つ。
とにかく効果音や環境音にやたらと気合いが入っている。箒をぶんぶん振り回す音から台風の落雷に至るまで迫真。ドンパチは皆無な作品だが環境音の表現はマルチチャンネルが効果的に活用され、濃密な空気感が味わえる。映像の展開と併せて、天井裏からの音が本気で上から聴こえてくるレベル。音での物足りなさは一切感じない。
全体的な音へのこだわりは生半可なものではなく、この辺は押井守作品に幾度となく参加してその音へのこだわりを間近で見てきた監督だからなのかもしれない。
○聴きどころ
声
濃密な環境音
○総評
『人狼 JIN-ROH』から随分と丸くなったもんだ……
きちんと筋が通ったいい話だなあとは思うものの、結局作画の素晴らしさが全部持っていってしまう。そういう意味では『スチームボーイ』に近いのかもしれない。というわけで、個人的には「アニメ映画」というより、「極上のアニメーションを楽しむ映画」である。
BDとしてのクオリティは盤石なので、特に『人狼』を持っているアニメーションファンは手に入れよう。
○再生環境(詳細はコチラ)
・ソース
Panasonic DMP-UB90
・映像
LG OLED55B6P
・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59(AVプリとして使用)
Nmode X-PM7(フロント)
Nmode X-PW1 ×4(フロント以外の全チャンネル)
Dynaudio Sapphire(フロント)
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2(サブウーファー)
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