第四回はこれまた説明不要のビックタイトル、ディズニーの実写映画史上最高にヒットしているらしい海賊映画を取り上げます。
BDのリリースでは各社に遅れること半年以上、待ちに待った感じでのリリースと相成ったディズニーの第一弾がこのソフトです。007と同様各所で散々評価されており、クオリティ、特に画質面での評価が非常に高かったのが印象に残っています。


パイレーツ・オブ・カリビアン
画質:10 音質:8

パイレーツ・オブ・カリビアン2 デッドマンズ・チェスト
画質:10+→11 音質:9


とりあえず概観として、とにかく超絶高画質なソフトです。前回で007の画質をべた褒めしましたが、一作目については総合的にはそれと互角、二作目では凌駕しています。

まずは一作目。
映像コーデックはAVCでビットレートは10台から30台までめまぐるしく変化します。
音声はリニアPCMでビットレートは4.6Mbps。リニアPCMとしては標準値です。

既に散々言われていることですが、素晴らしい高画質です。007とは対照的に非日常的な空間・場面が頻出することになりますが、その全てがもはやありゃこりゃ難しいことを考えずに綺麗だなあと思えるレベルに達しています。
またこれは画作りの違いでしょうが、007のハイコントラスト志向に対してこちらはそれほどそうでもなく、もっと柔らかい、滑らかな感じの画となっています。といっても決して中明度ばかりに力が入っているわけではなく、海面に反射する眩い日光や、月明かりの下の幽霊船など、明るい・暗い場面でも素晴らしい表現を見せてくれます。

一方、音質に関してはそれほど凄いとは思いませんでした。もちろんリニアPCMでの収録で、全体的には高い水準にはあるのですが、007に比べれば大したことはありません。
なお、実は結構音響効果が地味です。映像の派手さに音響が負けているような感覚が何度かありました。やはり音響というものは大事ですね、物凄く。


次に二作目。
映像コーデックはAVCで10台前半から30台後半、時として40台まで、前作以上に激しく変化します。特に注目すべきは、わりと静かな場面ではほとんどビットレートが10台で抑えられていることです。そのうえでこれだけの高画質を実現しているあたり、AVCの使いこなしではやはりPHLがソニーPCLの一歩先を行っているようです。今後もBDの画質の進化はこの二社と共にあるでしょう。
音声仕様については前作と同様です。

画質についてですが、これはもう、現時点での究極的な画質だと言って間違いないでしょう。007と海賊1については、今まで見てきたBDから想定できた最高の画質でした。それが海賊2については、「そもそもこれだけの画質は想像もできなかった」というレベルです。一般向けにリリースされるパッケージソフトが実現した史上最高の画質ではないか……何の根拠もなくそんな風に思えてしまうだけの力があります。もはやノイズがどうとか言っている次元ではありません。それでいてビットレートをこれだけ抑えられている。なんだか凄すぎて眩暈がします。
10ではもはや役不足ですので、10+です。

☆テレビ買い替え後。
やっぱり海賊の画作りはシャープな感じとは無縁のソフト路線。しっとりなめらか。
でも、甘くなるというわけでもない。


音質そのものは前作とさして変わらないとは思いますが、音響効果がかなり進化しており、派手な画面とようやく釣り合ったという感じです。
この作品については頭を空にしてげらげら笑いながら見るというのがある意味では正しい見方だと思いますので、滅茶苦茶に派手な音響は嬉しいものです。とりあえず、音の存在感がぐっと増しているということで前作より得点を高くしてみました。

兎にも角にも画質はもはや超絶的なレベルであり、音響も二作目はかなり派手ですので、とりあえずBDの実力を見てみようと思われる方にも文句なくお勧めできるソフトです。
海賊二本と007が奇しくも同日リリースとなり、恐らくその日をもってBDは本当の意味での次世代クオリティを実現するに至ったと言えなくはないでしょう。今後、現状の評価基準では軽く10点を超えるようなソフトが続々と出てくると思うと非常に楽しみです。




おまけ

いわゆるインタラクティブ面でも相当凝ってます。
BD-JAVAで作ったゲームとかもあるみたいです。やってませんけど。
正直、インタラクティブ面とかどうでもいいです。
画質音質が最優先でしょう、やっぱり。

「ウチの規格ならインターネット経由で音声やら何やらが追加ダウンロードできる! 便利!」
とか言ってる人達もいますが、そんなこと言うくらいなら最初から全部入れろよ、と。

容量が足りない? そうですか、失礼しました。



BDレビュー総まとめ