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※この記事はFAN AKITAプロジェクトページ「活動報告」への投稿と同内容です


小町ゆかりの地「真澄と歩く」出版プロジェクト – FAN AKITA


 江戸時代の紀行家・菅江真澄(すがえますみ)が残した文章と絵をもとに、秋田県雄勝郡を歩いた彼の足跡を辿り、その行程を綴った紀行文を本にするプロジェクトです。



菅江真澄と歩く
二百年後の勝地臨毫 出羽国雄勝郡

第七章
「風渡る山姫の幽谷」



 湯沢市の最たる観光地はどこだろうと考えると、真っ先に浮かぶのは皆瀬の「小安峡」でしょうか。



 長い時をかけて刻まれた落差60メートルのV字谷の底には、熱湯が岩の割れ目から勢いよく噴き出すその名もずばり「大噴湯」があり、地球の息吹を直に感じられる場所です。
 小安峡は真澄の関心も大いに引いたようで、大噴湯を含め、複数の絵が残されています。






 小安峡には能恵姫の物語にも登場する「不動滝」をはじめ、数々の滝があります。
 その中のひとつ、小安峡で最大の落差を誇る「女滝」について、真澄は『雪の出羽路 雄勝郡』の中で以下のように記述し、歌を詠んでいます。


「女瀧あり、裡(うら)見瀧ともいう。高さは三十尋(約55メートル)、糸雨のようにはらはらと落ちるしぶきに、紅葉が散りまじる様は言いようもなく見事である」

山姫の 織りや掛(かく)らし 一反(ひとむら)の 滝の錦の うらをこそ見れ








 小安峡は紅葉の名所としても有名で、真澄が訪れた時も紅葉の盛りでした。絵からもその様子が見て取れます。
 もちろん、私も紅葉のタイミングを狙いました。






 真澄は小安峡だけでなく、皆瀬の奥宮山や奥宮神社といった今に残る信仰の地や、点在する湖沼についても絵に描き、伝承を記しました。
 ともすれば有名な観光地である小安峡が注目されがちですが、真澄の足跡を丹念に追うことで、より深く地域の実装に触れることが可能になります。


 是非、完成した本の中でお確かめください。