【レビュー】Soundgenic HDL-RA2HF 導入・運用編
【レビュー】RockDisk for Audio
アイ・オー・データ祭り。
Soundgenicそれ自体の音を評価するために、前モデルにあたるRockDisk for Audio、上位ブランドのfidataとの比較は避けて通れまい。
RockDisk for Audioが妙に汚いが気にしてはいけない。
なお、Soundgenic HDL-RA2HF(HDDモデル)の動作音は1メートルも離れれば気にならなくなる。
・再生環境/ネットワーク(詳細)
RockDisk for Audio
Soundgenic HDL-RA2HF
fidata HFAS1-XS20
↓↓↓
JS PC Audio NH100(ギガビット仕様)
↓
SFORZATO DSP-Dorado
↓
SOULNOTE A-2
Dynaudio Sapphire
・再生環境/USB接続
JS PC Audio NH100(ギガビット仕様)
↓
Soundgenic HDL-RA2HF
fidata HFAS1-XS20
↓
SFORZATO DSP-Dorado(USB入力を使用)
↓
SOULNOTE A-2
Dynaudio Sapphire
・聴いた曲
なんとなくゲーム縛りで。
こういう風にぱぱぱと音質比較ができるというのもネットワークオーディオの強みなのである。
・音質所感
まず、素のRockDisk for Audio(HDDモデル)は、SSDを積んでアナログ電源を使ったQNAP TS-119に匹敵する音を出していた。RockDisk for Audioの時点で既に、「その辺のNASやPCをサーバーとして使った時とはレベルの違う音」が出ていたのである。
で、Soundgenic HDL-RA2HFは、RockDisk for Audio以上に音が良かった。
もうこれだけ言えばじゅうぶんじゃないのか。
「過ぎ去りし時を求めて」では、RockDisk for Audioに対して粗さが抑えられて滑らかさが出る。音像は引き締まる。そのぶん、冒頭のトランペットはRockDisk for Audioの方が元気だったりする。「子午線の祀り」も「ハルカナルトキノカナタへ」も同傾向。
Puddle of Muddの「BLURRY」では歴然たる差があった。RockDisk for Audioではバックの演奏がぐちゃりとなってしまったのに対し、解像感高く各楽器をほぐして描き分ける。空間の広がりも特筆できる。
そしてfidata HFAS1-XS20との比較は……
そりゃもう、fidata HFAS1-XS20の方が圧倒的に良い。
まぁ、20倍近い価格差に何言ってんだ、という当たり前の話である。
USB接続時は、Soundgenic/fidataが「サーバー」だけでなく「プレーヤー」も担うようになる。
Soundgenicは解像感はそれなりにあるが、妙に響きが薄い。音も滲んでいる……というより、ノイズが纏わりついているイメージ。
USB接続時のSoundgenicとfidataの音質差は、純粋に「サーバー」として使った時以上に大きく感じられた。USB接続では「ネットワークオーディオプレーヤー」であるSFORZATO DSP-Doradoの「おいしいところ」が活かされない、という理由もあるのだろう。
というわけで、少なくとも私の環境で試す限り、Soundgenicは純粋にサーバーとして使ったほうが音質的に有利だった。
さて、こんなことを言うと、「Soundgenicは音が悪いのか!」などと捉える人もいるのだろうが、そんな単純な話ではない。
Soundgenic HDL-RA2HFは税別35,000円。一方のfidata HFAS1-XS20は税別648,000円。これでSoundgenicとfidataの音が同じだったら、それこそ大変だ。
「エントリークラスのCDプレーヤーと同程度の価格で買えるまともなミュージックサーバーがついに登場した」という衝撃、そして「fidataと機能的には同等」という衝撃は大きかった。
確かに嬉しい。私も嬉しい。しかしその嬉しさがが先行するあまり、「Soundgenicはオーディオ機器としてはあくまでもエントリークラスである」という肝心の事実が置き去りにされるのはよろしくない。
例えば、35,000円のCDプレーヤーが320,000円のCDプレーヤーや648,000円のCDプレーヤーより相対的に音が悪かったところで、文句を言う人はいないはずだ。
エントリークラスのCDプレーヤーをはじめ、「スタートライン」となるオーディオ機器に求められるのは、絶対的な音質以上に、「好きな音楽をいい音で楽しむという体験」そのものだろう。機器やグレードによる音の違いを云々するのはそれからでいい。
逆に、安いCDプレーヤーだからといって、「CDの再生が始まらない」「一時停止ができない」「スキップができない」「リモコンが機能しない」「しょっちゅうバグる」「常にリモコンの再生ボタンを押し続けないと一曲で再生が止まる」なんて事態になれば、それはおかしい、という話である。価格帯が違えど、製品の世代が変われど、ひとえに「音楽を快適に聴けること」だけは保証されなくてはならない。
Soundgenicはオーディオ機器としてはあくまでもエントリークラスである。
そしてそれゆえに、「fidataと同じレベルの音」を求めること自体に無理がある。
過剰に持ち上げる必要もなければ、期待しすぎて落胆する必要もない。
しかし、Soundgenicは音質的にも機能的にも、「好きな音楽をいい音で楽しむという体験」を与えてくれるし、優れた完成度のfidata Music Appとあわせて、「ネットワークオーディオならではの快適な音楽再生」も実現してくれる。
そしてそれゆえに、「ついに登場したエントリークラスのミュージックサーバー」として、Soundgenicに大きな賛辞を贈ることはできる。
この価格で、USB DACと繋げればOpenHome対応のフル機能のネットワークオーディオプレーヤーとして機能するのだから最高だ。
Soundgenicの導入によってネットワークオーディオのいいスタートを切れたなら、電源やらUSB出力のケアやらアレやらコレやら、色々と手の加えようもある。
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