UPnP/DLNAにあって、OpenHomeRoonReadyのプラットフォームにないもの。
 それはひとえに製品層の厚みである。

 RoonReadyはRoonならではの優れたユーザビリティを、AirPlayとは異なり音質を担保したうえで、ネットワークオーディオプレーヤーでも実現することに意味がある。
 そしてユーザーレベルでの一工夫によって価格に関係なく製品層の厚いUPnP/DLNAプレーヤーをそのまま流用可能なOpenHomeとは異なり、RoonReadyはプレーヤー自身が対応していなければどうにもならず、そのうえ、RoonReady対応を表明しているプレーヤーは現状ではいかんせん高額な製品が多く、おいそれと手を出せない。
 RoonReadyの意義を語るにもUPnP/DLNAと比べた際の音質的優位性を語るにも、まずはRoonReadyプレーヤーの製品層が厚くならなければ話にならない。もっとも、仮にRoonReadyというプラットフォームが広まらずとも、Roonの真価にはさして影響があるわけではないが。


 というわけで、安価なRoonReadyプレーヤーとして、Sonore Sonicorbiter SEを紹介する。


Sonore Sonicorbiter SE

A Quick Spin With The RoonReady Sonore Sonicorbiter SE – Computer Audiophile


 見た目はまんま小さな黒い箱。
 ネットワークでデータを受けて、USBまたは光で出力するレンダラー。
 PCMは768kHz、DSDはDSD512まで対応というおばけスペック。
 それ以上に面白いのが、内部的にシステムを切り替え、プレーヤーとして複数の振る舞いが可能なこと。その中の一つにRoonReadyプレーヤーがあるという寸法だ。これは「一つの機器でサーバーソフトを複数同時運用」の理念と重なる部分がある。あるいは、PCで何気なくやっている複数の再生ソフトの使い分けと同じことを、単体オーディオ機器の中で行っているということになる。
 「SqueezeLite Output」、「ShairPort Output」(AirPlayのエミュ)、「DLNA Output」(中でBubbleUPnP Serverが走っているので実質的にOpenHome&TIDAL対応)、「MPD Output」、「HQ Player NAA Output」、そして「RoonReady Output」。これらが一台で使用可能。
 お値段は298ドル。iFI Audioのパワーサプライを付けても355ドル。
 ちょっと欲しい。

 中身を覗けば実態はつまるところLinux的なアレなのだろうが、設定のためのGUIもきちんとしていて、剥き出し感はない。オーディオ機器として広く使ってもらうためには、言うまでもなくこういったパッケージングが大切である。
 なお、Roonの公式HPには載っていないが(まだ認証が取れていないからだろう)、同社のmicroRenduもRoonReadyプレーヤーとなるようだ。一応Sonore Sonicorbiter SEの上位モデル……になるのかな?

 AURALiCしかり、IQaudIOしかり、SONOREしかり、ここにきてますます新しいプラットフォームへの対応でメーカーごとの速度差・温度差が出ている気がする。
 優れたユーザビリティが担保されるとすれば、あとは音質的にどうかだが……



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