前日:天明4年9月25日/平成30年11月7日


天明4年9月26日(新暦換算:11月8日)

秋田県にかほ市象潟町小砂川




【飛嶋を語る】(※これらの見出しは『秋田叢書』にあるものをそのまま使っている)

 この日は波風激しく、雨も降ったので、同じ家に泊った。
 写真は小砂川海水浴場を別角度から。


 真澄は家の老主人から色々な話を聞く。

 沖に見える飛島の「尾がみが島」には、黄金の龍が岩の面にわだかまっているようで、その鱗まで作ったかのようである。夏の海ならば誘って見に行きたいところだが、折が悪い。

 船みちはたいそう近い。九里あまりだそうだ。
 この春行ったとき、大きな鯨が八頭、背中を並べて浮き出てきて、これは船がひっくり返ると梶を止め、恵比寿神に守ってくれるよう頼むと、鯨は海底に隠れていった。
 また、トド、アザラシなどという海の獣もとびあがりとびあがりして、数多く住んでいるという。

 写真は小砂川海水浴場から見た飛島。


 主人が語った「尾がみが島」が何なのかはわからない。情報求む。



【風の様々】

 風が吹き起こってきた。

 これは「だし」(東風をいう)である。日和がよくない。
 「だし」、「山ぢ」(北風である)、「ぢみなみ」(南風をいう)、このような風を総じて「浦西」といい、四方の空に雲が集まって天気が荒れ、船の遭難が起きる。
 こうなってしまっては、二、三日は良い日もないだろう。
 しかし天気が回復すれば、明日は「あゆの風」が吹くだろう。 ※あゆの風=東風
 そうなったら出発するといい。

 真澄は主人からこんな話を聞いた。

 私が取材で訪れた平成30年11月6日は朝からどんよりとして冴えない日だったが、真澄のように雨風に襲われずには済んだ。



【くだり穴】

 夜が更け、真澄は雷の音を聴く。

 そのことを言うと、主の翁は寝たまま、「くだり穴」という穴の開いた岩があり、そこに荒波がぶつかる音だと答え、鼻を鳴らした。

 小砂川の浜辺のどこかに、今でもくだり穴は残っているのだろうか。





……



※この記事の写真は平成30年11月6日に撮影したものです



……



 昨日に比べてずいぶんと記述が減ったな、と思われるかもしれない。

 基本的に毎日マメに日記を書いている真澄とて、特にネタがなかったり、気分が乗らなかったり、体調を崩していたりすると、すごく雑な記述でその日が終わることもある。
 逆に、どんだけ書くんだ、いったいいつ書いたんだと思えるほどの量が書かれていたりもする。



翌日:天明4年9月27日/平成30年11月9日



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