HDRやら色域の拡大やら、業界はBDに対するUHD BDの優位性は解像度だけではないとしきりに叫んでいる。わからないわけではない。私自身HDプロジェクターでUHD BDを何枚か見て、そのことは理解しているつもりだ。
しかし、2Kマスターの作品をアプコンした映像が「4K UHD」として売られるのは、消費者からすれば決して気持ちのいいものではない。端的に言ってしまえば、「がっかり」である。しかも、現在売られているUHD BDの大半は2Kマスターというありさま。マスターの解像度どころか、撮影したカメラや解像度さえ、調べればすぐにわかってしまう。愛してやまない、もしくはBDでは素晴らしく高画質だった作品が2Kマスターだと知った時の……悲しみ!
もっとも、「そもそもの解像度が足りていない」という問題はBDの時代から、特にアニメにおいて散々目にしてきたし、今に始まったことではないのだが……
音声仕様についてはBDと同じなので特に言うことはない。ただし、これはBDでも同じことが言えるが、“劇場公開時に使われている”にも関わらずオブジェクトオーディオを収録しないというのは納得できない。「最後の映像ディスクメディア」としての誇りをしっかり持って、中途半端な仕様にはしないでもらいたい。
後からオブジェクトオーディオ収録バージョンを出してさらに儲けようという姿勢は極めてクソッたれである。どのみちUHD BDなんて大量に売れるわけがないんだから下手な欲は出すだけ無駄。それどころか、買う可能性のあるマニア層を落胆させるだけで、全方位的に破滅的な結末を迎える。
というわけで、現時点ではおぞましい値付けがされていることもあり、UHD BDの購入は様々な点で慎重にならざるを得ない。
とりあえず、
・BDを持っていないこと
・映像のマスターが4K以上であること
・オブジェクトオーディオを収録していること
・強烈な作品愛があること
これらの内二つ以上に当て嵌まらないと、UHD BDへの投資は正直辛い。
例えば『マッドマックス 怒りのデスロード』は既にBDを持っているし、2Kマスターだし、BDにもDolby Atmosが収録されているので、手が出辛い。
手持ちのUHD BDを見てみると、
『デッドプール』
4Kマスター(3.4K撮影、一部フィルム)
Dolby Atmos収録
『キング・オブ・エジプト』
2Kマスター(6K撮影) ←Oh…
DTS:X収録
『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』
4Kマスター(フィルム色々、一部3.4K撮影)
Dolby Atmos収録
『チャッピー』
4Kマスター(5K/HD撮影)
Dolby Atmos収録
『インデペンデンス・デイ』
フィルムからのリマスターによる4Kマスター……と信じたい
DTS:X収録
『クリード チャンプを継ぐ男』
2Kマスター(2.8K撮影)
DTS-HD Master Audio 7.1ch
こんな具合である。なるべくUHD BDのフルスペックを活かせるようなタイトルを選んではいるが、なかなか難しい。
映像的にも音声的にも、うちでは当面バットマンとチャッピーがひとつの基準になると思われる。
4Kディスプレイもオブジェクトオーディオ環境もないくせにこんなことを考えてどうすると思わなくもないが、それはそれ。
将来への展望はいつだって大切である。
続編:HDR考/続・「4Kマスターではない」等のUHD BDをどう捉えるべきか
【Dolby Atmos/DTS:X】オブジェクトベースシアターへの道・まとめ
【UHD BDレビュー】総まとめ
【BDレビュー】総まとめ
【レビュー】 視た・聴いた・使った・紹介した機器のまとめ 【インプレッション】
「4Kマスターではない」等のUHD BDをどう捉えるべきか
スポンサーリンク