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【BDレビュー】 第250回『おおかみこどもの雨と雪』

公開日: : 最終更新日:2014/04/19 BD・ホームシアター関連, オーディオ・ビジュアル全般

画質:14
音質:9


映像:AVC
音声:リニアPCM 5.1ch 24bit


○画質
 『時をかける少女』もそうだし、『サマーウォーズ』もそうだが、細田監督のアニメ作品のキャラは、作画において基本的に影がない。『獣兵衛忍風帖』とか『バンパイアハンターD』とかとは大違いである。また、妙に凝ったグラデーションやらテクスチャの類もない。その結果、デジタル制作のアニメで宿命的にありがちなマッハバンドは、本作においては皆無に等しい。あとはもう最初からHDで作っている高品位な映像があるわけで、必然的に評点はうなぎのぼりである。
 少々画面に変わり映えが少なかった前作とは異なり、本作の画は実に変化に富んでいる。殆ど緑の介在しない東京から、どこだか分からない田舎の山里、さらにはその山に突っ込んでいき、「もののけ姫かよ!」と一瞬思ったほどの緑の描写まで、次から次へと画面を彩る。
 極端に鮮やかな映像ではなく、思い起こすのはジブリ的な繊細さ。作中で幾度か挿入される夏の入道雲なんかはまさにそれ。
 映像的なハイライトは作中に二度ほど用意されている、“主観視点で突っ走っていく”シーン。音響におけるハイライトでもあり、心が躍った。
 ただし一点、雨のシーンの雨(誤植ではない)のシャツに、妙にノイズが出ていたカットが二つほどあった。別に大したことではないが、15点でないのはそれが理由である。

○見どころ
 吹き散らした雪に陽が当たって煌めくシーン
 稜線を駆け抜けた果てに見た泉の青


○音質
 いわゆるアクション映画ではないので、血沸き肉踊るドンパチは端から期待してはいけない。
 とはいうものの、静寂の使い方が非常に上手なこともあり、作品全体を通しての音響的なダイナミクスは大いに感じられる。都会の雑踏や雨の音など、マルチチャンネルの活用でも手を抜いている感はない。音楽も要所要所で大いに盛り上がる。
 ダイアローグはかなりくっきりと聴こえてくるが、刺さる感じもなく好印象。
 上でも書いたが、音響的ハイライトも主観視点で突っ走っていくシーン。主観視点になると、映像の展開と音の展開が完全に視聴者の感覚と一致するので、上手に作り込めばとてつもない没入感と臨場感が得られる。というわけで、話は変わるがFPSをやる人はぜひともサラウンドシステムを導入してほしい。
 声優陣の演技に耳を傾けて、しっかりと力の入った音響をじっくりと味わうべし。

○聴きどころ
 狼の視点で雪道/尾根を駆ける
 雨上がりの遠吠え


○総評
 監督の前作は個人的にあまり響かなかったのだが、本作は大当たりだった。
 作品としてはもちろん、BDとしてシビアにクオリティを見ても、画質・音質ともに申し分ない。
 決して安い買い物ではないが、ライブラリに加えるだけの価値は大いにある。


○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
OPPO BDP-103

・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC

・音響
Pioneer SC-LX85
Nmode X-PW10
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Focus200C
Dynaudio Audience122
Dynaudio Audience52




 祝・BDレビュー250回。
 足かけ6年と7か月。
 ここのところネットワークオーディオ関連記事に時間を割いていたのと、特に最近になって著しく時間が無くなったこともあってBDレビューはあまり書かなくなっていた。
 4Kが音を立てて立ち上がりつつある昨今、今までのレビューの蓄積はHD時代の決算という点で意味があるはず。手を抜かずに書いていくことにしよう。

 そして、どんな形になるにせよ、【BDの次】が楽しみでならない。



BDレビュー総まとめ

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Comment

  1. ボスケテ より:

    250回おめでとうございます。
    そしてお疲れ様です。
    私はイノセンス(無印)からROMらせてもらっていますが、早いものですね。

    4kは逆木さんのバンダイビジュアルに対してのコメントを見てから検討しますw

    • sakakihajime より:

      ボスケテさん
      早いもんです。

      バンダイビジュアルはどうなんでしょうね。
      HDとか4Kとか言う以前の問題だと思いますけど、色々と。
      デジタル制作になった以上、「オリジナル以上に綺麗になりようがない」という現実が襲い掛かってくるわけで、現状では「アニメの4Kソフト」というのは厳しい気がします。HDで作っているのならそもそも4Kで出す意味がない。ただでさえ、そもそもがSD製作の作品をアプコンしてBD化、なんて商法がまかり通る現状に辟易しているというのに。
      フィルム製作の作品ならまだ可能性はあります。それこそ、ディズニーの旧作が4K化されてソフト化されるならまた買うでしょう。
      しかし、スキャンやゴミ除去すら満足に出来ない・手を抜き続けてきたバンダイビジュアルが「新4Kマスターで高画質!」とか言ったところで、ねぇ。彼らの言う「高画質」はとてつもなくレベルが低いってことは、BDの7年間で散々思い知らされましたので。

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