画質:7 音質:6


映像はAVC、音声はリニアPCMの24bitステレオ

画質について。
とりあえずこの記事を参照。
びっくりするくらいに鮮明なカットもあればなんじゃこりゃと首をかしげるくらい甘いカットがこれでもかと全編入り乱れる。
セルの揺れ、フォーカスむら、色むら、出るわ出るわ。
が、それら全てを含めてオリジナルの忠実な再現を目指しました、と言われてしまえばもうこちらとしては黙るしかない。なんにせよ圧縮における余計なノイズを出さないという点において、BD化の恩恵はある。
それでもDVDに比してディティールやら色彩やら情報量は明確に増大している。特に塗りのタッチの部分。これは冒頭の雲を見れば一目瞭然。
ディズニーのように魔法をかけないんじゃこんなもんか、というのが正直なところ。

音質について。
ナウシカの音ってこんなにキンキンしてたっけ? というのが第一印象。
音、特に声がくっきり明瞭の範疇を通り越して少々うるさく感じられる。全体的にダイナミックレンジは狭く、音圧ばかりが大きくなって飽和を引き起こしているイメージ。とにかく声優の演技がこれでもかと言わんばかりにクローズアップされている。作中で使われる全ての音の中で声が一番でかい。そのうえ口もでかい。
私のしっぽりディナウディオですら上記のように感じるので、JBLなんかで聴いた暁には一体どうなることやら。
ステレオ収録だが、ステレオの意味を感じるような音響効果は皆無。というより実質モノラル。BD化するんだから音声サラウンド化しろよ! という声もあるが、「当時と同じ」ということに監督が妄執を抱いている以上ほとんど実現不可能だろう。大人しくAVアンプ側で拡張するしかない。


映像も音声もひたすらオリジナルに忠実であることを意図して、それ以上のことはあえて何もしなかったように思える今回のBDだが、作品に対してよほどの思い入れが無いかぎりはDVDとの差異をさほど見出されないまま終わってしまうような気もする。
個人的には眠れる森の美女のごとく奇蹟のような高画質に生まれ変わり、AKIRAのごとく血と肉と骨を震わす驚天動地の音響に再編集したナウシカも見てみたかった。
ちなみにおまけで入っていたアリエッティの予告編は鬼のように高画質だった。



BDレビュー総まとめ