【レビュー】逢瀬 AK4495S試作DAC 外観編


 本機のUSB入力はAmanero Combo384を使用している。
 私の場合Windowsと組み合わせるのでドライバをインストール。DSD256までの再生を確認した。AKIRAのハイレゾも問題なく再生できた。
 いつものノートPC、SOtM sMS-1000SQ Windows Editionで共に接続は問題なし。

 使用中は結構な発熱がある。


 というわけで聴く。
 フィルターやら何やらはすべて推奨設定のまま。

 まずはフルボリュームで、純粋なDACとして聴く。
 例によってスピーカーはDynaudio Sapphire、アンプはNmode X-PM7。

 せっかくなので、同時期に聴いたCHORD DAVEと比較しつつ。


 ……

 …


 素直に素晴らしい音だ、と思った。
 色々と表現のしようはあるが、総じて生気に満ちた音と言うべきか。

 一聴して最も印象的なのは全帯域に横溢するエネルギー感。特に低音の厚みと量感は素晴らしい。公式曰く「DACとしては大容量のトランスを搭載し安定感のある低音を実現」とのことだが、その言葉に偽りはない。だからと言って不必要に膨らむ低音ではなく、制動はびしっと利き、輪郭もしっかりしている。
 安定した低音の支えのおかげで、中高音は悪目立ちすることもなく、実に伸び伸びとしている。ことさらに存在感を主張するような音色ではないが、それでもごく自然に、意識して聴こうとせずとも耳に入ってくる。

 解像感と音の分離も非常に優秀。
 この二点はさすがにDAVEの次元には及んでいない(特に低域の見通しの良さ)ものの、価格差を考えれば大大大健闘であることは間違いない。

 空間の広さとS/NはDAVEを凌駕する。
 音そのものの情報量で言えばDAVEに分があるが、DAVEがややこぢんまりした超精密オブジェめいた空間を描くのに対し、本機は音場が広く展開する。そのため、スピーカーで聴く空間表現を含めた「体感する情報量」という点では、同等の絶対値を持つと言える。

 そして何より、空間表現以上に素晴らしいのが、静寂の表現。
 音の間隙がきちんと黒い。
 私が欲してやまない闇が聴こえる。

 X-PM7のボリュームをフルにして本機をDACプリとして使うと、ごく僅かの繊細さと引き換えにごく僅かの力感の向上が得られた。ボリュームの操作感も悪くないので、システムによっては本機をDACプリとして使うというのも悪くない。
 アナログ入力……いや、なんでもないです……


 本機の音はDAVEのような「異次元の音」ではなく、良い意味で「今までのオーディオ機器の範疇」にあるとも感じる。耳馴染みの良い自然さ、それが良いのである。DAVEと逢瀬の試作DACのどちらの音が好きかと問われれば、私は逢瀬を選ぶだろう。

 実にいいものを聴いた。
 本機はあくまでも試作機で、きたるべきAK4497搭載機への布石という立ち位置だが、この音を聴く限り、完成品の仕上がりにも大きな期待を抱かずにはいられない。



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