一週間、時間とやる気の許す限り色々と試してみた。



○外観・機能

LUMIN S1来たる

 「金ぴかバッジ装備」
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「外部電源が大型化」
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「DSD 5.6MHzが聴ける」
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 あとは基本的にA1と同様。
 よって、A1のレビューを参照。



○使用感
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 A1と何も変わらない。

 何気なく言っているが、これがどれだけ大きな業績であるかわかるだろうか?

 ネットワークオーディオプレーヤーにおける世代間断絶がないのである。

 「DSD 5.6MHzに対応するか否か」という一点を除き、A1とS1は同等に機能し、同一のユーザー・エクスペリエンスを提供する。
 ユーザーは「同じメーカーなのに世代によってあまりにも出来ることが違う」などということを気にする必要もなく、完璧なアップグレード・パスを手に入れることになる。

 おめでとう、LUMINファミリー。
 T1とD1の登場がますます楽しみになった。

 ただ、さすがに出たばかりということもあってか、動作に関して少々不安定な部分もあるようだ。
 早期の改善を期待したい。



○音質

LUMIN S1を聴く
LUMIN S1でDSDを聴く
続・LUMIN S1でDSDを聴く

 到着直後に聴いた感じだと、端的に言って「A1より音はいいが音が引っ込む」という印象を受けた。
 一歩間違えば「音はいいが面白味がない」という評価になるところだ。

 一週間ほど通電しっ放しで聴くと、かなり様相が変わった。
 ちなみにネットワークオーディオプレーヤーは365日24時間電源入れっ放しが基本だと思っている。


 再生環境

 再生音源
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 S/Nの高さや音の立体感はますます向上し、透徹した空間の中に磨き抜かれた音が峻厳と立ち上がる。上にも下にも淀みなくレンジは伸びており、微小領域のディティールの表出は音楽にさらなる陰影を与える。
 何より素晴らしいのは、一週間の通電の結果、A1と比べて失くしてしまったと思っていた「熱さ」、そして「勢い」が復活したことだ。さすがにA1ほど楽しげに炸裂するような音ではないが、音楽の躍動をありありと伝えるには十分。声にもだいぶ力が宿った。
 単なる「知的な音」から、「内なる熱を秘めた知的な音」への変貌である。



○結論

 DACにせよプレーヤーにせよ、デジタル・ファイルを音源とする機材として、LUMIN A1は私が今まで聴いてきたなかでもっとも“熱い”音を出す機器だ。それは今も変わらない。
 オーディオ機器として優秀な基本性能を備えつつも、これ見よがしに“音の良さ”を押し出さず、音楽の熱、エネルギーを大切にするのがA1である。

 一方でS1は、A1の美点である“熱さ”を内に秘めつつも、より知的かつ高品位な音に仕上げられている。DACの違いも大いにあるだろう。
 “音楽を躍動感たっぷりに聴かせる”という点ではA1に譲るが、解像度にせよレンジにせよS/Nにせよ音の立体感にせよ、オーディオ的諸性能では間違いなくA1の上を行く。
 その差は必ずしも大きなものではない。しかし、その大きくない差に、決して小さくない価値を見出すのがオーディオという趣味の面白いところだ。業の深いところでもあるが。
 正直に言えば、もはや私の再生環境では両機の差を云々するには不足な気もしている。
 もっと凄まじいシステムに組み込んだ時にS1がどのような音を提示するのか、興味は尽きない。

 S1は究極を目指す人々にとって魅力的な選択肢となり、A1は極めて優れた筐体やユーザビリティをS1と共有し、CPの点でますます魅力的になる。互いが互いを引き立てる良い関係である。
 当面はS1ばかり注目されるだろうが、A1の価値が下がるわけではない。この価格帯でこれだけ豪華な仕様を纏ったネットワークオーディオプレーヤーは、私の知る限り他にない。そんなにDSD 5.6MHz対応が大事か?

 S1の国内価格がいくらになるのかはわからない。
 A1からS1相当へのアップグレードが行われるのかどうかもわからない。

 間違いないのは、音質的にS1はA1を多くの点で上回っているということ。
 そして、LUMINというネットワークオーディオプレーヤーが優れたユーザビリティを実現するプラットフォームとして完成されたということである。


 今はただ、ネットワークオーディオプレーヤーという領域にまた素晴らしい製品が登場したことを喜びたい。

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