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【レビュー】LUMIN A1

 素材が出揃ったので、まとめ。

 ちなみに本国HP、あるいは国内のHPやメディアでは「LUMIN THE AUDIOPHILE NETWORK MUSIC PLAYER」との呼称のままだが、CES2014で上位機種・下位機種が発表されるとともに当機種の呼称も「LUMIN A1」に変更されているので、今後のことも考えて「LUMIN A1」に表記を統一している。



○導入・初期設定
 以下の記事も参照。

導入編
開梱編
初回起動編

 真剣にネットワークオーディオプレーヤーを選ぼうと思ったとき、残念ながらLINN DS以外の機種は私にとって選択肢にすらならなかった。
 ユーザビリティという点においてあまりにも完成度が低く、快適に音楽を聴くには使い物にならないからだ。どれだけ音が良かろうと……というより、音質ではなく快適さを求めてネットワークオーディオに取り組んでいるというのに、音楽を聴くという行為のレベルを下げてしまったのでは意味がない。
 一時はわりと本気でネットワークオーディオプレーヤーというジャンルを見限り、PC+USB DAC+再生ソフトの組み合わせにネットワークオーディオの活路を見出そうとも思ったのだが、結局「私がオーディオに求めるのは音楽を聴くことであってPC弄りではない」ということに気付いただけだった。研究は続けるけど。

 そこで、LUMINである。
 登場と同時期から重大な関心を持って追っていたのだが、いかんせん当時は日本に入ってきておらず、日本語でアクセスできる情報も皆無。個人輸入も考えたのだが、価格も価格なだけに実行には至らず。
 やがて日本での取り扱いも始まり、PC&USB DACの組み合わせに蹴り返されるに及んで、消費税も上がるということで一発逆転を期してLUMIN A1に意識を向けた。
 試聴機の手配にあたり、販売店様・輸入代理店様の双方に色々と御配慮を頂いた。感謝の念に堪えない。

 LUMIN A1の初期設定は、基本的に何も必要ない。
 別にLUMIN A1に限った話ではないが、ネットワークオーディオにおける「プレーヤー」とは、音楽を「再生する」以外に何もしない。ネットワークにきちんと繋がりさえすれば、あとはコントローラーとサーバーの仕事である。
 その点、LUMIN A1は繋いだら、繋がる。すぐ使える。原理原則に忠実な優秀なネットワークオーディオプレーヤーである。



○機能・使用感・コントロールアプリ
 以下の記事も参照。

動作編
機能編 LINN DSとの徹底比較
DSD編
LUMIN App
LUMIN App Version 2.0

半年経過して見えてきた諸々編
LUMINがTIDALに対応
LUMINがQobuzに対応

 ネットワークオーディオプレーヤーというジャンルに君臨するLINN DSという絶対的指標と置き換えた時、いったいどこまで「快適な音楽再生」のレベルを維持できるのか。これが最大の焦点だった。これが大きく劣るのでは、音質をどうこう言う以前の問題であり、即お別れである。よって、試聴機を迎え入れた際には、おおよそ考え付くあらゆる項目でLINN DSとの比較を行った。(詳細は「機能編」を参照されたし)
 その結果、LUMIN A1は「快適な音楽再生を実現するユーザビリティにおいてLINN DSと同等」という、最低限必要なラインにして最も高いハードルを(少なくとも私が必要とする範疇において)見事越えてみせた。

 純正コントロールアプリであるLUMIN Appは既にChorusDSに匹敵、あるいは凌駕する完成度を誇っている。さらに素晴らしいのは、完全に更新が停止してしまっているChorusDSやSongBookとは異なり、今後も機能拡張や改善が果たされていくだろうという確信があることだ。とりあえずiPhone版も欲しい所だが……

 一応付け加えておくと、LUMIN A1にはいわゆるハードウェアとしての「リモコン」は付属しない。
 「ネットワークオーディオプレーヤーが欲しいけどネットワークのことはよくわからないから付属リモコンと本体ディスプレイで操作しよう」という層は最初から切り捨てている。
 ネットワークオーディオの可能性を示すこの英断には敬意を表する。



○筐体・外観
DSC01547
DSC01533
 写真は以下の記事も参照。

外観編
6moons audio reviews: LUMIN THE AUDIOPHILE NETWORK MUSIC PLAYER

 どこかで見たような……というよりはKLIMAX DSそのまんまな造形である。
 とはいえ、ディスクトレイを必要としないネットワークオーディオプレーヤーで、アルミ削り出しの筐体を作ろうとすれば、必然的に似たようなデザインになってしまうものなのだろう。スフォルツァートのDST-01も結局似た形をしているし。
 ただ、LUMIN A1の表面仕上げは金属光沢を残した繊細なヘアライン処理となっており(雰囲気的にはPrimare製品のフロントパネルに近い)、KLIMAX DSやDST-01と比べるとシャープで精悍な印象を受ける。
 とにかくアルミ削り出しの揺るぎない筐体はオーディオ機器としての佇まいとして別格であり、理屈抜きで「いい音しそう!」と思ってしまう。持ち上げた時の、スリムな筐体に似合わぬ重量感と凝縮感は素晴らしい。
 別筐体の電源はさすがにアルミ削り出しの筐体ではないが、こちらはこちらで非常に頑強に作られており、手抜きや弱々しさは微塵も感じられない。今後下位機種として登場が予定されているT1やD1の筐体がこのレベルなのだとしたら、きっと面白いことになる。



○音質
 以下の記事も参照。

音質編
続・音質編

 少なくとも、MAJIK DS-IとDAC2 HGCの組み合わせと比較して劣るところは何一つなく、格の違いを見せ付けてくれる。
 とにかく熱い。厚い。エネルギーに満ち溢れた音。
 そのためか、曲ごとのダイナミックレンジや音圧の差が如実に表れるようになった。
 よく出来たハイレゾ音源の、傑出した音の純度や空間表現も闊達に表現する。
 音楽の熱を細大漏らさず拾い上げて出力してくれる素晴らしいプレーヤーである。

 DSD音源を聴けるというのはLUMIN A1の大きな売りとは思うが、残念ながら個人的にDSDには興味なし。PCMと比べて音質をアレコレ書けるほどDSDを聴いた経験もないし、そもそもDSDの音源をほとんど持っていない。興味もないくせにレビューしようとしてもロクなことにならないので、深入りはしない。DSDを再生した際の挙動については一通り確認しているので、「機能編」を参照されたし。 



○結論

 なぜLUMIN A1を選んだのか。
 KLIMAX DS/Kは高すぎて手が出ない。
 AKURATE DS/Kでは普通すぎる。
 また、そろそろLINN DS以外の可能性を追求したいというのもあった。
 スフォルツァートは残念ながらユーザビリティの完成度の点で脱落。
 しかし、決して消去法の結果としてLUMIN A1が残ったのではない。
 「ユーザビリティと音質の両立」を実現していることは当然として、その「オーディオ機器としての佇まい」に惚れたのである。
 音質にせよ、ユーザビリティにせよ、LUMIN A1への期待は最高の形で叶えられたと言っていい。

 問題もある。
 まずは約100万という定価。安い製品ではない。T1とD1が登場すれば状況が一変する可能性もあるが。
 また、自分でネットワークオーディオのシステムを構築したことのない人が、いきなり買うというのはなかなかハードルが高いと思われる。取扱店も限られているようだし、(役に立つかどうかはさておき)LINN DSのようなサポートも現状では難しいだろう。ネットワークオーディオのなんたるかをきちんと理解し、ユーザーひとりひとりが自助努力で使いこなしていくべき製品であるように思う。
 もちろん、ノウハウの共有に関しては私も全面的に協力する。

 あるジャンルのオーディオ機器を買う際、魅力的な選択肢が多いということは非常に素晴らしいことだし、そのジャンルが活況を呈するうえで絶対に必要だ。USB DACとネットワークオーディオプレーヤーの差はそこにある。
 LUMIN A1、そして近い将来登場するであろうS1、T1、D1はネットワークオーディオプレーヤーを買おうと思うユーザーにとって、きっと素敵な選択肢になる。音質……はさておき、ユーザビリティにおいてLINN DSと同等のレベルにあるということは間違いない。

 ネットワークオーディオプレーヤーというジャンルの可能性を、LUMIN A1は再び見せてくれた。


 素晴らしい製品と出会い、しかもその黎明に立ち会えることは、ひとりのオーディオ好きとしてこのうえない喜びである。
 これから何が起きるのか、楽しみで仕方がない。



【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

よくある質問と検索ワードへの回答

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