*

激突! DELA N1Z vs LUMIN L1

20141211-4

 サーバー同士の音質対決。
 一昔前には思いもよらなかった展開だ。
 が、サーバーで音が変わるという体験をしてしまった以上、避けて通れない。



○再生環境

LUMIN A1
BENCHMARK DAC2 HGC(プリとして)
Nmode X-PW10
Dynaudio Sapphire


○ついでに比較対象に使ったNAS

QNAP TS-119 (SSD 600GB)
エーワイ電子/EL SOUND QNAP TS-119用アナログ電源を使用


 聴いた音源のごく一部
 上はTS-119、真ん中はDELA N1Z、下がLUMIN L1。
20141215-6


 それぞれ最高の状態で検証するため、DELA N1Zはプレーヤー直結状態、LUMIN L1はハブ経由に接続し直して聴いた。その都度Vodkaを抜き差し。N1ZもL1もネットワークへの接続と挙動が極めて安定しているからこそ、この比較ができる。
 両者の切り替えのたびにいちいち肉体作業が入ったため、音質評価の精度が落ちている可能性はあるが、DELA N1Zはプレーヤー直結状態の方が明らかに音が良かったため致し方なし。
 ちなみに、両者ともに使用した電源ケーブルは付属品である。検証用にもう2本くらい同じ尺の電源ケーブルを持っておいたほうがよさそうだ。

 なんにせよ、比較することでどちらに対する理解も深まる。喜ばしい。



○DELA N1Z

DELA N1Z 音質編

 DELA N1Zはひたすら黒子に徹している。
 音源を保存し、配信するというサーバーの本懐の理想形を志し、ひたすら透明であろうとする。
 DELA N1Zが到達した境地は、あくまでサーバーの領域に留まりつつも、その弊害を完全に排除することがいかにオーディオ的な恩恵をもたらすかということを実証している。
 何も増やさない。何も変えない。そのかわりに、何の邪魔もしない。
 その結果、システムは「PCの呪い」から完全に解放され、何にも邪魔されることなく本来の性能を十全に発揮することが可能となる。
 仮に「導入したけど音が良くならない!」と言われたとしても、N1Zは「そんなこと言われても……」と答えるしかあるまい。N1Zの仕事は音を良くすることではない。
 筐体の作り込みにせよ佇まいにせよ、そんじょそこらのオーディオ機器よりも遥かにオーディオマインドに溢れているのは間違いないが、はたして透明になることを美徳とするDELA N1Zをオーディオ機器と呼んでいいのかどうか、迷う。
 ただ、オーディオシステムの中にあって真に透明であることがどれだけ得難い資質であるか、あえて言う必要もないだろう。



○LUMIN L1(HDD 2TB)

LUMIN L1 音質編
LUMIN L1 続・音質編

 一方で、LUMIN L1は完全にオーディオ機器である。
 一聴してわかる“滲みの無さ”。
 音と音の間が完全な闇に見えるほどの異様な高S/Nと、闇があるからこそ浮き彫りになる目くるめく立体感、そして中低域の凄まじい解像度。音楽の聴こえ方がまるで違う。
 ただ、DELA N1Zを聴いた後だと、どうしてもこの音には意図の介在を見出さざるを得ない。
 LUMIN L1は出てくる音に明確なエンハンスを施しているように感じる。LUMIN S1でも感じた、音源に含まれる一定値以下のノイズを根こそぎ消し去っている雰囲気があり、その結果として異様な高S/Nが実現されているのだろう。峻烈、鮮烈、実に掘りの深い、ハイコントラストな音である。滲みが完全に取り去られた結果、わずかに響きは減退するように聴こえる。よって、あくまで耳あたりはN1Zの方がよい。
 しかし、この音は……魅力的である。同一メーカーの組み合わせという理想的な条件にあるとはいえ、凄まじいオーディオ的な快楽に満ちている。
 「音が良けりゃそれに越したことはない! さぁ聴け! そしてたまげろ!」と言わんばかりの、極めて明快な主張が聴こえてくるようだ。
 それでいて、L1にはさらにSSDへの換装や強化電源の使用といった音質向上の可能性が残っている。



 自ら存在を消して透明になるか、それともオーディオ機器として明快に主張するか。
 もはや出発点がサーバーというのが信じられないほど、極めて高い次元の話である。
 難しい。
 非常に難しい。
 そしてきっと、どちらも正しい。
 どちらも、方向性こそ違えど実にまっとうなオーディオマインドに溢れている。
 それを分かったうえで、善悪ではなく好き嫌いという点で、こと音質に限って言えば、LUMIN L1に軍配を上げたい。

 LUMIN L1の“高音質”は諸刃の剣だ。劇薬と言ってもいい。
 私の環境では効果的に働いたが、極限まで追い込まれたシステムに導入した結果、あまり嬉しくない化学変化を巻き起こす可能性もあるだろう。

 また、この記事はあくまで音質のみに着目して両者を較べてきたが、「サーバーとしての完成度」という評価軸を持ち出した途端、DELA N1ZにLUMIN L1は手も足も出なくなる。
 それでも、運用面に関する諸々を含め、何もかもを承知したうえで使いこなすことができれば、LUMIN L1が強烈な音質向上の手段になることは間違いない。


 ネットワークオーディオは純然たるオーディオとしても、まだまだ面白くなる。

 DELA N1Z。
 LUMIN L1。
 どちらも天晴れ!



DELA N1Z まとめ
LUMIN L1 まとめ

【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

スポンサーリンク


関連記事

【AV史に残るBD勝手に10選】第8位『007 カジノ・ロワイアル』 ― H.264/MPEG-4 AVCの夜明け

写真は後年のBOXセットのもの 【BDレビュー】第3回『007 カジノ・ロワイアル』

記事を読む

ネットワークオーディオプレーヤーにおける世代間断絶と、本当に求められるもの

 ネットワークオーディオプレーヤーとは、物凄く端的に言ってしまえばあらゆる要素をオーディオに特化させ

記事を読む

リファレンスBD10選・音質編

 オーディオ・ビジュアルの領域において、ハードの画質音質を評価するためにはソフトが必要になり、ソフト

記事を読む

【ハイレゾ音源備忘録】Bloodborne

・アーティスト / アルバムタイトル Various Artists / Bloodb

記事を読む

リッピングソフトで音は変わるか?

【ネットワークオーディオの魔境を往く】 - いったい何が始まるんです?  いよいよ魔境

記事を読む

Xbox One SはUHD BD普及の起爆剤となるか?

Xbox Oneの小型化新モデル「Xbox One S」海外発売日決定! - Game Spark

記事を読む

no image

【BDレビュー】 第157回『第9地区』 北米盤

画質:9 音質:12 映像はAVC、音声はDTS-HDMAの24bit 画質について

記事を読む

【ハイレゾ音源備忘録】 Joao Gilberto / Getz/Gilberto

・アーティスト / アルバムタイトル Joao Gilberto / Getz/Gilberto

記事を読む

Leema Acoustics Sirius audiophile music server

 日本未上陸のネットワークオーディオ関連機器をなんとなく紹介するシリーズ。 Leema A

記事を読む

【Dolby Atmos導入記】ヘラクレス堕つ

ドルビーアトモス第2弾 ! 『ヘラクレス』 (3D/2D Blu-Ray with Dolby At

記事を読む

スポンサーリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

スポンサーリンク

【UHD BDレビュー】第47回『トランスフォーマー/最後の騎士王』 英国盤 【Dolby Atmos】

画質:10 音質:14 (評価の詳細についてはこの記事

SFORZATO流「ネットワークプレーヤーの使いこなし」が掲載されたので

 我が身を振り返ってみた。 Netwok Audioについて

Bricasti Design M12 / M1 SE mk2のLAN入力がPCM 384kHz/24bit・DSD 5.6MHzに対応

M12およびM1 Special Edition mk2仕様変更のご案

ついに日本でロスレス音楽ストリーミングサービス「Deezer HiFi」が開始

日本初、ロスレス音楽ストリーミング「Deezer HiFi」開始。3,

【レビュー】日本テレガートナー M12 GOLD SWITCH

 魔境深淵注意。  みんなおこらずに楽しく読んでね。

【ハイレゾ音源備忘録】Nicogi / DigiFi No.28付録音源

・アーティスト / アルバムタイトル Nicogi /

「自分の音源ライブラリ」の未来

 言の葉の穴を本格的に始めてまだ間もない頃、こんな記事を書いた。

【Dolby Atmos/DTS:X】オブジェクトオーディオの威力を実感できるタイトル10選・2017年版

 せっかく、「さらなるサラウンド体験のために天井にスピーカーを付ける」

【BDレビュー】第353回『パトリオット・デイ』

 日本ではUHD BDが発売されないという悲劇。 https

LUMIN AppがiPad Pro 12.9インチにネイティブ対応

コントロールアプリのiPad Pro 12.9インチへの対応状況

【BDレビュー】第352回『バーニング・オーシャン』 【Dolby Atmos】

 日本ではUHD BDが出ないという悲劇。 https://

LINN KLIMAX DS/3・DSM/2(Katalyst DAC搭載モデル)がDSDの再生に対応

LINN FORUMS  LINN DSのファームウェア、Dav

WaversaSystems WCORE(Roon Server)

WCORE開発完了 - WaversaSystems  要は

【BDレビュー】第351回『ハードコア』

 一人称視点のアレ。 https://www.youtube.c

UHD BD化を待ち望む作品10選・2017年末版

BD化を待ち望む作品10選  未だBD化されていない作品も多いと

【UHD BDレビュー】第46回『スパイダーマン:ホームカミング』 英国盤 【Dolby Atmos】

画質:6 音質:7 (評価の詳細についてはこの記事を参

【UHD BDレビュー】第45回『ベイビー・ドライバー』 英国盤 【Dolby Atmos】

画質:7 音質:12 (評価の詳細についてはこの記事を

【BDレビュー】第350回『グレートウォール』 【Dolby Atmos】

同時にUHD BDが出ている作品のBDを評価するのはいささか心苦しいの

【BDレビュー】第349回『キング・アーサー』(ガイ・リッチー監督/2017年) 【Dolby Atmos】

同時にUHD BDが出ている作品のBDを評価するのはいささか心苦しいの

DigiFi No.28で記事を執筆しました

 本日発売。 DigiFi No.28 特別付録ハイレゾ

→もっと見る

PAGE TOP ↑