画質:10
音質:11
(評価の詳細についてはこの記事を参照)

映像:AVC
音声:Dolby Atmos トップスピーカーの活用:大 オブジェクト効果:中


○画質
 動的なオブジェクトは基本的に3DCGながら随分と「しっとり」しており、ジャギーは皆無。バンディングも全編通じて(気になるレベルでは)見当たらなかった。
 「カリカリの画」ではないものの、画面全体のディテールは非常に豊富であり、各登場人物の視覚で展開されるデジタル情報の乱舞もぼやけず滲まず描かれる。ただ、「そういうデザイン」だというのはわかったうえで、どうしても緻密な背景とセルルックなキャラクターの乖離が気になってしまった。
 闇の中でも存在感を失わない都市のディテールから始まり、重力子放射線射出装置の紅い光条、焼き熔かした金属の切断面の光沢、空間を舞う粒子の煌めきなど、広いダイナミックレンジと緻密な階調表現が両立している。
 総じてデジタルアニメーションとしての画質の体力は相当に高い。

○見どころ
 都市
 重力子放射線射出装置


○音質
 日本のアニメとして初のDolby Atmos収録作品なのだそうだ。そういう意味では記念すべきソフトなのだろう。
 環境音の構築に相当な気合が入っており、閉塞と開放の両方を同時に感じられ、いたるところで「巨大な空間に居る」という感覚が醸成される。この時点で、作品内容的に大成功と言えるのではあるまいか。
 アクションシーンでの威力は総じて控えめ、というよりダイナミックレンジを広く取っているという印象。人間チームの主武器はレールガン的に撃ちだす「銛」であり、その音は「ずどん」ではなく「ぷしゅん」という具合でいまいち頼りない。一方、キリイの重力子放射線射出装置の一撃はマルチチャンネルとサブウーファーを総動員して地獄の釜が開いたかのような破滅的音響を提示する。後半に出てくる上位セーフガードの光線砲(と言っていいのか)の音は銛以上重力子放射線射出装置以下であり、兵器の威力ごとに順当な音作りが為されている。
 Dolby Atmosは当初想像していた以上に作り込まれていた。ヘルメット(?)内部の音は常にトップスピーカーも併用して空間性を演出し、声の反響や彼方から降り注ぐ金属音の存在はやはり「巨大な空間に居る」という感覚に一役買っている。駆除系が登場するアクションシーンではカメラワークと連動した見事な全方位音響が展開する。
 駆除系の四足歩行のマネキンは「金属の手足で床や壁を走る」、つまり「それ自体で音を立てながら空間を動き回る」という音響的には最高の素材なのだが、ガチャガチャギチギチといった類の足音演出はそれほどでもなく、全体的に恐怖を覚えるようなテンションの高さはなかった。そこだけが残念。

○聴きどころ
 都市
 重力子放射線射出装置


○総評
 作品内容への評価は原作未読なので控えるとして、画質音質はどちらも素晴らしい。Dolby Atmosであることの意義もじゅうぶんに感じられた。



○再生環境(詳細はコチラ

・ソース
Panasonic DMP-UB90

・映像
LG OLED55B6P

・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59(AVプリとして使用)
Nmode X-PM7(フロント)
Nmode X-PW1 ×4(フロント以外の全チャンネル)
Dynaudio Sapphire(フロント)
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2(サブウーファー)



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