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【レビュー】Nmode X-DP10 音質編

外観編

設定(主にJPLAY)・運用編



・再生環境詳細

canarino Fils + JPLAYStreamer(DAC Link 700Hz/PC Buffer 0.01sec)

Nmode X-DP10(純粋にDACとして使用)

Nmode X-PM7
Dynaudio Sapphire



・聴いた曲

いろいろ。



・音質所感

 Nmodeというブランドが持っている音のイメージや魅力――ハイスピード・豊かな情報量・粒立ちの良さ・清涼感を備えているのは当然として、それらを差し置いて真っ先に感じたのは「馬力」である。ボリューム位置を間違ったかと思うほどの、同ブランドの製品では今まで感じたことのなかった馬力、エネルギー感である。

 エネルギーに余裕があり、音楽の盛り上がりに軽々と追従するため、思わずオオッと唸ってしまうような偉力をも聴かせる。ダイナミックレンジおばけの「大植英次・ミネソタ管弦楽団 / レスピーギ:ローマの松」・アッピア街道の松は、かつてないほどのエネルギー感とまるで混濁しない凄まじいまでの見通しの良さを両立していた。圧巻。
 JPLAYの設定を350Hz/0.01secにして再生した「芸能山城組 / Symphonic Suite AKIRA 2016 ハイパー・ハイレゾ・エディション / KANEDA」(DSD256)では、ようやく、BDの衝撃を思い出すような、脳髄を焼き焦がす音が聴けた。私がAKIRAの音楽に求めていたのはこれだ。この音なんだ。

 とにかく音離れが圧倒的に良い。
 「Iona / Beyond These Shores / Treasure」や「真行寺恵里 / ブレンパワード Original Soundtrack 2 / IN MY DREAM」など、イマイチ前に出てこない音源でさえ一切不満を感じさせないくらい、スムーズに音が展開する。

 解像感や低域の見通しの良さは申し分なし。
 音の立ち上がりの峻烈さ、無駄な尾を引かない消え方は実に見事。
 加えて中低域の下支えがしっかりとしているため、放たれる音に強烈な実体感がある。この実体感こそが本機最大の魅力と言えるかもしれない。
 「光田康典・みとせのりこ / 同上 / RADICAL DREAMERS ~盗めない宝石~」なんかを聴くと、ギターの生々しさにゾクゾクする。

 音像は決して膨らまず、滲まない。輪郭は眠さとは無縁のシャープさで、この辺はNmodeならでは。とはいえキツくならず、うまい具合にまとめている。ただし、これはDynaudioと組み合わせた印象なので、もっと硬質で派手な音を出すスピーカーと組み合わせたらどうなるかはちょっと心配ではある。
 ゆるさやまろやかさといった要素とは無縁であり、システムに求める音次第では好き嫌いも出るだろう。それを踏まえてなお、ハマる人にはハマる。ずっとディナにNmodeをあてがってきた私のように。

 豊富な情報量の音がシャープかつ極めてハイスピードに飛んでくることで、立体感ともちょっと違う、独特の浮遊感が生まれる。音楽が完全にスピーカーから解放され、自由闊達に宙を舞う感覚。これまた本機の大きな魅力である。
 これはいつぞやX-PM100を聴いた時にも感じたもので、スピーカーとの関わりから、あくまでアンプがもたらした音だと思ったが、DACでも味わえるとは。というよりもむしろ、X-PM100の時よりも浮遊感は強い。
 結果的に「Kygo / Cloud Nine / Stay feat. Maty Noyes」や「Justin Bieber / Purpose / What Do You Mean?」といったトロピカルハウス勢との相性は最強に良い。異様なテンションで音が空中を跳ね回り、めくるめく昂揚感と異次元感を味わった。

 空間の広がりはそこそこ。
 一方で豊富な情報量ゆえに音源本来の響きを克明に表出するため、先述の浮遊感とあいまって、結果的にじゅうぶん広大なイメージが得られる。少なくとも窮屈さを感じることはない。

 全体的に「滝の飛沫」、あるいは「勢いのある渓流」のイメージを幻視した。存在感のある音の粒子を心行くまで浴びることができる。
 もとよりNmodeには「澄んだ水」のイメージはあったが、水質を損なうことなく俄然水圧が増した。

 「D’Angelo / Brown Sugar / Brown Sugar」を聴けば、低音の沈み込みや重みもしっかりとしている。しかしビシッと制動が効くために量感が豊かという感じはない。低音も含めてあまりにもスパスパ音がすっ飛んでくるため、「黒さ」は薄い。ねばねば、どろどろ、うねうね……そういう要素は皆無。この曲に限れば、これはいいのか悪いのか。

 音の粒子が細かく精緻・繊細ではあるが、滑らかともまた少し印象が異なる。
 馬力はあっても低音の量感はほどほどなので、粒子の細かさから線が細いと見なされる可能性はある。
 基本的に無色透明であり、音色に独自の魅力を求めるような代物ではない。


 私の好きな音だ。
 


【音源管理の精髄】 目次 【ネットワークオーディオTips】

【レビュー】 視た・聴いた・使った・紹介した機器のまとめ 【インプレッション】

よくある質問と検索ワードへの回答

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