【4K/HDR環境の導入に伴い、2016/11/21初出の記事を更新・追記】
画質:8 (HD環境・BDと同じ土俵での暫定評価:15)
音質:13
(評価の詳細についてはこの記事を参照)
映像:HEVC 3.4K撮影・4Kマスター
音声:Dolby Atmos トップスピーカーの活用:中 オブジェクト効果:小
○画質
『ノーカントリー』を現代的かつ極めて高品質にした印象の画。一昔前からすれば想像もできないような恐るべき高画質である。
強い日差しが照り付け、充実した光量の得られるシーンの解像感は10点越えの超高画質タイトルの中にあってなお隔絶し、映し出される人物の立体感、実在感は計り知れない。陰鬱かつ光量に乏しいシーン(本作ではこちらが支配的)においても、夜闇の中にあっても、完璧な解像感が安定して維持される。おどろおどろしく、不健康で、血生臭く、克明。それでいて粒状感は極小に抑えられており、毒々しさよりもむしろ見通しの良さが勝る。
背景や小道具のディテール描写も極めて稠密。陽を透かしたカーテンが織り成す陰影などは迫真の表現を見せる。
【4K/HDR環境での追記】
やはり良い。
UHD BDとして突き抜けたレベルではないものの、解像感・情報量が全編通じて高度に安定しており、HDRらしい階調の豊かさも感じられる。
全体的にピーキーになりがちなUHD BDにあって、画質の諸要素が高次元でバランスした素晴らしいタイトル。
○見どころ
人物描写
○音質
これまた『ノーカントリー』を連想させる、静寂から一気に空間を切り裂く瞬発力に満ちている。本作はドンパチ映画ではないので銃撃の頻度・規模ともにそれほどでもないが、放たれる銃声はどれもこれも存在感抜群。物量には頼らずとも、聴いていて汗をかく類の音響である。
音楽は朗々と鳴って場を盛り上げるようなものではなく、密やかに、低音域を中心に脈打つ鼓動の如き旋律が緊迫感の醸成に大きな仕事をしている。小音量かつ輪郭明瞭な低音再生が求められる、なかなか難易度の高いサウンド・トラックと思われた。
オブジェクトオーディオについては、飛び去るヘリ、頭上への着弾と舞い散る砂礫、機会は少ないながらも非常に明瞭かつ的確な音がトップスピーカーから飛んでくる。環境音と音楽もトップスピーカーに振られている。
とはいえ、本作は基本的に静寂が支配する作品であり、要所要所でトップスピーカーの的確な活躍はあれど、全体として映像体験を激変させるものではない。
○聴きどころ
冒頭
高速道路での一幕
○総評
内容、画、音、いずれも非常にハイレベル。あまり一般受けする作品とは思えないものの、私にとっては充実した映画体験だった。
それはそうと、『ALL YOU NEED IS KILL』といい、本作といい、エミリー・ブラントってなんかマッチョな役が妙に多くなった気が……
○再生環境(詳細はコチラ)
・ソース
Panasonic DMP-UB90
・映像
Victor DLA-X30
KIKUCHI SE-100HDC
→LG OLED55BP6
・音響(センターレス6.1.4ch)
Pioneer SC-LX59
Nmode X-PM7
Nmode X-PW1 ×3(サラウンドにモノラル×2、サラウンドバックにステレオ×1)
Dynaudio Sapphire
Dynaudio Audience122(サラウンド)
Dynaudio Audience52(サラウンドバック)
ECLIPSE TD307MK2A ×4(トップフロント・トップリア)
ECLIPSE TD316SWMK2
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