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    |  (‘A`)        カントリーロー
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画質:15 音質:8


映像はAVC、音声はDTS-HDMAの24bit

画質について。
最後期のセルアニメ作品を鬼気迫る情熱でもってソフト化した結果、“なんてこたーない”と涼やかに爽やかに見ていられる、極めつきに高品位な映像となった。
まず、フィルムマスターに起因するゴミ、傷、ノイズの類がまったく見られない。マイナス要素を全て取り去ったうえで、ひそやかにたおやかに息づくフィルムグレインが作品全体におごそかな気品を与えているという理想的な例。
同年代のアニメ作品、たとえばバンダイビジュアルから出ているパトレイバー2やら攻殻機動隊やらと比べるとその差は一目瞭然である。ほんのわずかに撮影由来の揺れが見えるが、気になるようなことは皆無。とにかく映像の安定感が尋常ではない。マスターフィルムの保存状態の差か、オーサリングにかける労力の差か、なんにせよソフト化にあたってこのレベルを実現したスタッフの熱意には最大限の賛辞を送りたい。
記憶の中の映像と比較して意外?だったのが、かなりディティール志向の作品だったということ。時として実写かと思わんばかりの背景美術をはじめ、男爵のクローズアップ、雫の脳内映像など、素晴らしい精緻さと繊細さに目を見張る。攻殻機動隊の偏執的ディティール志向とはまた路線が違う視覚の御馳走である。
とりあえず把握できた分でデジタル撮影のカットが2つあったが、この後もののけ姫でジブリにおけるデジタル活用が本格的に始まると思うと色々と感慨深い。この辺の質感をきちんと見分けられるのもBDならではというもの。
正直なところ、アニメ作品のBD化に当たり、自らにこのレベルを課すのはディズニーだけだと思っていた。しかしジブリもその域に到っているんじゃないかと思い始めてきた。ナウシカではちょいと首をかしげたが、ラピュタで見事に軌道修正し、アリエッティで高品位を見せつけ、耳をすませばでBD化にかける情熱を証明してみせた。
ジブリ作品のBDは決して安くはない。しかし、それだけの価値はある。
見どころ:
丘からの景色
男爵

音質について。
ステレオと5.1chを収録しており、視聴したのは5.1ch。
5.1chと言っても、サラウンドを活用しているのは冒頭のカントリーロードのみ。それ以外は基本的にアンビエンスとしての活用と考えていい。
爆発も炸裂もしない作品なので、必然的に音響は日常の機微を伝えるものが中心となり、BGMとダイアローグが肝となる。
サラウンドとまではいかないが、BGMも含めて基本的な音響はステレオ環境をきちんと駆使した満足度の高いもので、物語中盤で演奏されるカントリーロードもすこぶる良好。
ダイアローグに関しては、声のハリが少々強めな気がするが、ナウシカの時ほど露骨かつ不自然でもなく、明瞭さという点で個人的には好印象。
聴きどころ:
カントリーロード



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