さて……



○再生環境

LUMIN A1
BENCHMARK DAC2 HGC(プリとして)
Nmode X-PW10
Dynaudio Sapphire


○比較対象に使ったNAS

QNAP TS-119 (SSD 600GB)
エーワイ電子/EL SOUND QNAP TS-119用アナログ電源を使用


 試聴は本体ディスプレイとLAN端子のランプを消灯した状態で行った。
 LANケーブルにはaudioquestのVodkaを使用。
 データ保存と動作検証の際に使っていたその辺のLANケーブルを電源も切らずにぶち抜き、そのままウォッカをぶっ挿しても、何事もなかったようにタイムラグゼロで動作し続けたことを書き添えておく。



○通常使用時(LUMIN A1⇔ハブ⇔DELA N1Z)

 DELAのNASは本体にプレーヤーと直結可能なLAN端子を備えているが、とりあえずハブを経由して普通にサーバーとして使った場合。

 聴いた音源のごく一部。ネタ混じり枠。
 上半分がTS-119で下半分がN1Z。
 どちらもトンキーなので曲の長さも一致している。
20141215-1

 んー……

 というわけでガチ枠。
20141215-2

 むむむ……


 明らかにノイズフロアが減る。
 音の雑味が取れ、耳あたりがよくなる。
 相対的に、TS-119で感じられた「ハリ」が薄まり、音にしなやかさが出ている。
 以前TS-119にアナログ電源を導入した際に感じたのと同系統の変化と言える。
 さして変化を感じられない曲がある一方で、Roundaboutなど、定位感と空間の広がりが明らかに改善される場合もある。TS-119ではどこか揺ら揺らしていた、ぶれていた感のある音がピシッと揺るぎなく空間にハマる印象。
 揺らぎがあった空間はより繊細かつ豊かになった響きが埋めている印象で、見通しが良くなった感じはしない。

 ノイズの低減と定位感の改善がDELA N1Zのハイライトと言えそうだ。
 丁寧に丁寧にノイズを取り除いたらこうなりました、という音。
 全体的に底上げされた感じで、特にコレ! というような格段の向上があるわけではない。音質的な副作用がないとも言えるが。

 それにしても、かつては散々QNAPの当て馬にされた感のあるBUFFALOが、逆にQNAPを相手に真っ向勝負どころか圧倒する日がこようとは。
 いやはや。
20141215-3


○ダイレクト接続時(LUMIN A1⇔DELA N1Z⇔ハブ)

 背面のLAN端子からプレーヤーにダイレクトに接続した状態。
 N1Z・A1ともに電源入れっ放しの状態でLANケーブルをぶすぶす抜き差ししても、やはり何事もなかったかのように安定して動作する。音質評価とは無関係だが、ネットワークオーディオという言葉の陰に見え隠れする不安定さとは無縁だということは書き添えておく必要があるだろう。普通にRCAケーブルを抜き差しする感覚で試せる。大好き。

 なお、一応書いておくが、[LUMIN A1⇔DELA N1Z⇔ハブ⇔他のサーバー]という構成でも、LUMIN A1は他のサーバーから音源を受けられる。
 また、ここからハブを外し、完全にネットワークと無縁な状態で聴くこともできる。できるらしいが、そんな状態は私にとって意味を持たない。試す理由も興味もない。



 さて、この状態で聴くと、ノイズフロアがさらに下がり、定位感も一層向上する。
 細部までの見通しが一気に良くなるほか、それでいて響きも上質なまま減衰しない。
 ここまでくると、「晴れやかで、透明感のある音」と言っていい。

 少なくともこの状態のN1Zを聴いて、PCの周辺機器がダイレクトにプレーヤーに繋がっていると思う人はいないだろう。
 まるで呪いのようにオーディオマニアの心中に暗い影を落とす「オーディオシステムにとってPC、あるいはPCの周辺機器はノイズを撒き散らす絶対悪である」という認識は、少なくともDELA N1Zには当てはまらない。
 DELA N1Zを聴く限り、「PCの呪い」が意識されることはまずない。

 DELA N1Zは清廉、透明、晴れやかでノイズレスである。
 PC的なハードが必然的に介在せざるを得ないネットワークオーディオの環境においても、オーディオシステムの邪魔をすることはない。
 しかし、それ以上のことは何もしない。
 「これがDELA N1Zの音だ!」というものが何もないのである。
 N1Zを導入することで、音楽の聴こえ方が変わるようなことはない。あくまでサーバーが発していたノイズが駆逐された結果が、音質の向上として認識されているのだと言える。
 DELA N1Zはその辺のオーディオ機器以上にオーディオマインドに溢れていながら、まるで「私はサーバーであってオーディオ機器ではありません」とでも言わんばかりに、音への積極的な関与を頑なに避けているように思われる。それでいて、オーディオシステムに果たす役割は巨大と言うほかない。

 ネットワークオーディオという領域において、仮にそれがPCであれNASであれ、サーバーという役割はどうしても必要となる。
 それにも関わらず、サーバーはノイズを撒き散らす必要悪のような見方をされ続けてきた。
 DELAはこの現状に風穴を開けようと試みた。
 オーディオ機器ではなくとも、出来ることはある。
 ハードとソフトの両面から、PCの周辺機器として抱え込む諸々のノイズを徹底的に抑え込み、排除し、自身の存在さえ消して黒子に徹する。
 「音源を保存し、配信する」というサーバーの本懐以外、何もかも透明になる。

 そしておそらくは、これこそDELAというブランドが目指したゴールなのではあるまいか。



DELA N1Z まとめ

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