どれだけ筐体のクオリティがオーディオ的に優れていたとしても、ネットワークオーディオにおけるNAS/サーバーの使い勝手を決定付けるのはサーバーソフトである。
言い換えれば、どれだけ見た目や筐体を豪華にしたところで、サーバーソフトの出来が酷ければ使い物にならないのである。
この記事ではネットワークオーディオにおけるサーバーとしてL1を検証する。
クイックスタートガイドに従い、USB経由でPCからデータを入れた後、ネットワークに接続する。
サーバー一覧の中に現れたL1。
A1/S1同様、LUMIN Appの中で、サーバーの表示名変更やファームウェアアップデートも行えるようになっている。
LUMIN S1 with LUMIN L1
さて、本題はここから。
昨日正式リリースされた情報によれば、L1のサーバーソフトはメーカーオリジナルとのこと。TwonkyMediaやAsset UPnPといった見慣れたソフトが入っているわけではない。個人的にL1の中身はメーカーが公式に推奨しているMinimServerでも入れてくるものだと思っていたのでちょっと意外。
サーバーが担うユーザビリティの肝、L1のナビゲーションツリーはどうなっているのか。
ナビゲーションツリー??? となるような人は、先にこの記事を参照のこと。
これがL1のナビゲーションツリーである。
「Artist」、「Album」、「Genre」、「Folder View」。
以上。
これだけ。
なんという思い切りの良さだろうか。
ツリーの詳細は以下の通り。
LUMIN L1 Music Server
→Artist
→すべての「アーティスト」
→選択した「アーティスト」のすべての「アルバム」
→選択した「アルバム」内における「アーティスト」の「タイトル」
→Album
→すべての「アルバム」
→選択した「アルバム」内のすべての「タイトル」
→Genre
→すべての「ジャンル」
→選択した「ジャンル」に該当するすべての「アルバム」
→選択した「アルバム」内のすべての「タイトル」
→Folder View
→監視している音源フォルダの構造の通り
(いわゆるフォルダで見ていくという方法)
Folder Viewを除けば、用意されているのはアルバム/アーティスト/ジャンルという三大基本要素のみ。
これ以上の設定項目は何もない。
とはいうものの、「Aritst」も「Genre」も、アルバム単位の表示に行き着くため、決して使い勝手は悪くない。これはTwonkyMediaの「アーティスト/アルバム」、「ジャンル/アルバム」と同等の挙動である。
ただ、並び順はアルバムタイトルのA-Zではなく、アーティストのA-Zとなる。
すなわち、例えばLUMIN L1における「Genre」というツリーは、実質的に「ジャンル」と「アーティスト」でもってソートが可能となっている。
百聞は一見に如かず。
あとは、当然ながらDSDにも対応。
アルバムアートの高解像度配信も問題なし。
以上が、UPnP/DLNA対応サーバーとして見た時のL1の挙動である。
実にシンプル。
一般的なコントロールアプリと組み合わせたなら、ナビゲーションツリーの選択肢の少なさに物足りなさを感じる人も多いだろう。
しかし、LUMIN Appと組み合わせるとすれば、事情は変わってくる。
LUMIN Appは大半のコントロールアプリとは異なり、サーバーソフトが供するナビゲーションツリーを表示するだけに留まらず、アプリ自身でもナビゲーションツリーを用意している。(むしろ、当初は後者がメインだった)
詳細はこの記事を参照してほしいが、LUMIN Appを使用することで、L1のナビゲーションツリーは実質的に「Song」・「Album」・「Aritst」(アルバムアーティスト・ソングアーティスト切り替え可能)・「Genre」・「Composer」・「Year」・「Folder View」となる。ここまで選択肢が広がれば満足という人も多いのではないか。どのみち私は「Genre」以外ほとんど使わないだろうが……
問題もある。
とにかく不安定なのだ。
エラーが出る。
幾度となく唐突にサーバーがオフラインになる。
サーバーソフトのナビゲーションツリー(LUMIN Appにおいては「UPnP Browse Mode」と呼ばれる)において、全曲スキャンが終わっているにも関わらず、「Artist」と「Album」が一部項目しか表示されない。
もしかしたら困る人がいるかもしれないので、こまめに改善していってほしいところだ。
ファームウェアのバージョン1.02の出来立てほやほやなので、ある程度は仕方がないのかもしれないが。
とにかくシンプル。
この一言に尽きる。
「サーバー」というより「ライブラリ」である。
UPnP/DLNA対応サーバーとして他のネットワークオーディオプレーヤーでも使えることは使えるだろうが、現状では謳い文句のとおり、アプリ自身でライブラリを覗きにいくLUMIN Appとの組み合わせでもって十全に機能を発揮するという印象。
L1のLはLibraryのL。
LUMIN L1 サーバーソフト編
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