L1における最大のツッコミどころ。


 あらためてL1のクイックスタートガイドを見てみる。
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・ADD MUSIC
 PCからUSB経由でデータを入れてね、と。
 まぁ、NASよりUSB3.0の方が速いし、そういうこともあるだろう。

 というわけで接続すると、なんてことなく外部ストレージとして認識される。
 ここに音源を突っ込む。
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Simply drag and drop your music onto LUMIN L1 like a USB disk drive




 ……あまり速くなかった。
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・SHARE MUSIC
 音源を入れたところで、今度はネットワークに接続する。
 音源のスキャンが始まる。所要時間はアルバム100枚/2分。結構待たされる感。ただし一度スキャンが終われば、電源を入れ直しても起動時間のみで再スキャンは必要ないようだ。
 ここでアプリ上にL1が現れる。挿せば繋がる。
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 では、ネットワーク経由で音源を見てみよう。
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WS000465

 と、ここである事実に愕然とする。

 L1はネットワーク経由でファイルをやり取りできない。
 上記画像で見えているL1と中身のフォルダは、あくまで“こんな音源が入っている”と確認するためのものでしかない。
 すなわち、新しく音源を入れたり編集したりしようとするとき、L1はそのたびにいちいちPCとUSBで接続する必要がある。
 L1の背面にあるLAN端子は“音楽を再生するためだけ”にある。



 整理しよう。
 L1をミュージックサーバーとして使うためには、

1.PCとUSB接続して音源を入れる

2.ネットワークに接続する

 音源を増やしたり編集したりといった変更があるたびに、この二つを繰り返す必要がある。


 意味が分からない。
 なぜこんな仕様にしたのだろうか。

 「どうせ大多数のオーディオマニアはネットワークのことなんてさっぱり理解してないだろうから、データはUSBで入れるようにしてその都度繋ぎ変えさせればいい」とでも思っているのだろうか。

 ……実際その通りなのかもしれない。
 ネットワーク、NAS、サーバーソフト。ネットワークオーディオの快楽を享受するために把握すべきことは多岐に渡る。元々そういった分野に精通している人ならともかく、研究や追求が苦にならない人であっても、正直言って大変である。現に私も、恥ずかしながらネットワークオーディオの文脈で初めてNASという言葉を目にしたくらいで、ネットワークの諸相を理解・把握するために相当苦労した。

 ショップでネットワークオーディオプレーヤーを聴いて、「いい音だな」と思っても、ネットワークやサーバーを構築するのが導入の足枷になっているという人の話はよく聞く。
 きっとL1は、そんな人たちのための製品なのだろう。

 とにかくシンプル。
 繋ぐ。音源を入れる。繋ぎ直す。
 それ以外は何もできないくらいシンプル。

 しかし、LUMINのネットワークオーディオプレーヤーは本体に一切操作ボタンを持たず、ハードリモコンも用意せず、コントロールは全てアプリ上で行うようになっている。
 L1を使おうが使うまいが、どのみちネットワークの構築は必須である。“サーバーに音源を入れる”という一点だけネットワークを不要としたところで意味がない。

 せめてネットワーク経由でもファイルのやり取りが出来るようにしてもらいたい。
 現状の仕様ではあまりにも運用がめんどくさいし、なにより無意味。



 純然たるオーディオのためのストレージ、それがL1である。

 LUMIN L1はNASではない。

 繰り返す。

 LUMIN L1はNASではない。


 搭載しているサーバーソフトは極めてシンプルで、機能拡張の余地もない。
 PCとネットワーク経由でファイルをやり取りするという、NASとしてあまりにも当たり前の機能すら備えていない。
 “シンプル”と言えば聞こえはいいが、これではあんまりだ。


 それでは、L1の価値とはいったい、どこにあるのか?


 続く。